猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

殺されたミンジュ

2016-02-20 05:04:53 | 日記
韓国映画「殺されたミンジュ」を観にいった。
ある夜、女子高生ミンジュが男たちに無残に殺害された。1年後、ミンジュの
死の真相を執拗に追いかける謎の集団が、暗闇の中で不気味に動き始める。
謎の集団は、ミンジュ殺害に関わった7人の男たちを1人、また1人と誘拐して
「去年の5月9日を覚えているか」と拷問を加えながら問いただす。

キム・ギドク監督作品。私はこの人の作品を観るのは「嘆きのピエタ」以来2
作目なのだが、本当に凄い映画を作る人だと思う。「嘆きのピエタ」を観た時
は、こんな映画作る人いるんだ!と衝撃を受けたが、この「殺されたミンジュ」
も凄かった。ストーリーとしては「嘆きのピエタ」の方がおもしろかったが。
ある日突然殺された女子高生ミンジュだが、彼女の死は闇に葬られた。殺害
に関わったのは7人の男たち。そして1年後、復讐のためなのかよくわからな
いが、7人の男女のグループが加害者たちを1人ずつ拉致し、薄暗い部屋の
中で、1年前に自分がしたことを紙に書かせ、血判を押させる。向こうも7人、
こちらも7人。
もちろんただの復讐劇ではなく、謎のグループのメンバー1人1人の生活に
ついて掘り下げて描かれているのでおもしろい。この7人は、いわば社会の
底辺に暮らす人々だ。貧しく、仕事でも辛い目にあい、暴力を振るわれてい
る。彼らを駆り立てたものは何だったのか。ただの正義感や政治への不満
だけではない気がする。このグループに所属することで、自分もこの社会で
生きている、価値があるのだという思いを実感したかったのではないだろうか。
でも、ミンジュを殺した7人も、謎のグループ7人も、どちらも加害者であり被
害者でもある。人間とはあっさりと加害者、被害者になってしまう生き物だ。
キム・ギドク監督らしく"痛い"シーン満載の映画だが、ラストの問いかけは
重い。
ミンジュは漢字で書くと「民主」らしい。韓国では民主主義が崩壊しつつある
という(本当?)。だから冒頭で殺される女子高生は、その象徴だというキム
監督の言葉である。やっぱりこの人はただ者ではない。


良かったらこちらもどうぞ。キム・ギドク監督作品です。
鰐ーワニー
嘆きのピエタ




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