猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

リトル・ミス・サンシャイン

2016-03-09 04:55:04 | 日記
2006年のアメリカ映画「リトル・ミス・サンシャイン」。
アリゾナ州に住む7歳のオリーヴ・フーヴァー(アビゲイル・ブレスリン)の夢は、
小太りのメガネっ子にも関わらずミス・コンテストで優勝することだ。ニーチェに
傾倒している15歳の兄ドウェーン(ポール・ダノ)はテストパイロットになるのが
夢で、その日までしゃべらないという誓いを立てている。フーヴァー家の主婦
シェリル(トニ・コレット)は夫リチャード(グレッグ・キニア)の反対にも関わらず、
自殺未遂で病院に入院していたゲイの兄フランク(スティーヴ・カレル)を自宅
に連れ帰る。リチャードの口汚い父エドウィン(アラン・アーキン)は麻薬中毒
のエロじいさんで、老人ホームを追い出されて一家と同居している。ある日オ
リーヴはカリフォルニア州レドンドビーチで開催される美人コンテスト「リトル・
ミス・サンシャイン」の予選を通過したことを知り、大喜び。しかし費用や諸々
の事情により、一家は全員でおんぼろのフォルクス・ワーゲン・マイクロバスに
乗り込んでカリフォルニアを目指す。

家族の絆の再生を描いたロード・ムービーである。家族6人みんな癖があって
おもしろい。と言っても母親と娘は普通の人だが。一家の主リチャードは何で
も勝ち負けで考える主義で、「負け犬」という言葉を連発する。突然同居する
ことになった妻の兄フランクはその様子を見てうんざりする。長男は全く口を
きかず、必要な時はメモに書いて見せる。リチャードの父親は退役軍人だが、
麻薬やポルノ雑誌が大好きな不良エロじいさんである。でもオリーヴとは仲が
いい。
そんな変わった家族だが、なんとオリーヴにミス・コンテストに出場するチャン
スが巡ってきた。家族全員で飛行機に乗るのは費用的に無理だし、また自殺
をするかもしれないフランクや年寄りを置いてはいけないし…ということで、マ
イクロバスで全員行くことになる。アリゾナ州とカリフォルニア州の位置関係が
私にはわからない。何100kmとか言っていたが、キロで言われてもわからない。
とにかく遠いようだ。そしてバスでの旅の途中やコンテスト会場に着いてからも、
一家は色々と悲しい思いをするのである。
古い黄色のマイクロバスが印象的だった。割とおもしろかったけど、突っ込み
どころも多い。まず、シェリルとフランクがとても兄妹には見えないのだ。ブロ
ンドのシェリルに対し、フランクは髪も眉も黒で、違う人種のように見える。俳
優について調べてみたら、シェリル役の人はオーストリア出身で、フランク役
の人はイタリア、ドイツ、ポーランド系だという。イタリアの血が入っているから
あんなに濃い顔なんだな~と納得した。もうちょっと2人を似た雰囲気の俳優
にした方が良かったんじゃないの。次に気になったのが、ドウェーンは15歳に
なるまで色弱だということを本人も家族も気づかなかったのだろうか、というこ
と。15年間生きてきた中で、何か変だなと思う機会はなかったのだろうか。それ
からコンテストでオリーヴがストリップまがいのダンスを踊って、審査員や観客
たちが憤慨するのだが、オリーヴのダンスの振り付けをしたのはエドウィンで、
あのじいさんがどんなダンスを教えているのか、家族は1度も確認しなかった
のだろうか、ということ。ミスコンに出たいのだったら、親は娘にダンスを習わせ
たり(普通のダンス教室で)するでしょー、と思った。
ちょっとここは…というところばかり書いてしまったが、全体的にはいい映画な
のだと思う。俳優たちの演技も皆良かった。とても好きなシーンがある。口をきく
ようになったドウェーンが、フランクと2人きりの時に、「18歳まで何もしたくない
と思ってしまう。家庭や学校から逃げ出したくなる」と胸の内を打ち明けたら、
フランクが「幸せな月日は無駄に過ぎて何も学ばない。18歳まで怠けていたら
苦悩できなくなるぞ」と諭すシーンだ。フランクはずっと苦悩してきた人だ。この
会話がこの映画の言いたいことなのかもしれないと思った。
エドウィン役のアラン・アーキンがアカデミー賞助演男優賞を受賞したそうだが、
私はフランク役のスティーヴ・カレルの方が良かったと思った。あまり表情はな
いが、1番存在感があった。



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