猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

嘆きのピエタ

2013-07-16 02:16:49 | 日記
韓国映画「嘆きのピエタ」を見にいった。
天涯孤独な30歳の男イ・ガンド(イ・ジョンジン)は、借金の取り立て屋をしている。
雇われている悪徳金融会社は、3カ月で利子が10倍にもふくらむという悪質なやり方を
している。
ガンドは、債務者に重いケガをさせ、身体障害者にさせ、その保険金で返済させる、非情な
男である。何人もの債務者が、障害者になっている。
ある時ガンドが仕事に行く途中に、見知らぬ中年の女(チョ・ミンス)が近づいてきた。
女は「イ・ガンド」と呼んだ。「なぜ俺の名前を知っている?」と聞くガンドに、女は
「ごめんね、あなたを捨てて」と言った。ガンドは「俺に母親はいない」と言って、仕事に
行った。再び女がガンドの住むビルの一室を訪ねてきて、ビニール袋に入れたウナギを渡し
、去った。ウナギには、「チャン・ミソン」という名前と、携帯電話の番号を書いた紙が
付いていた。ある日酔ったガンドはその番号に電話をかけた。「あんたが俺を捨てた母親
か?」と言うと、電話から子守歌が聞こえてきた。ミソンはガンドの部屋の前まで来ていた。
ガンドはミソンを部屋に入れるが、「母親の証拠は」と迫り、乱暴しようとするが、泣き
叫ぶ彼女を、次第に母親として受け入れていく。
ミソンはガンドの部屋に住み着くようになった。食事を作り、一緒に食べる。孤独だった
ガンドにとって、ミソンは大切な母親になっていた。

2012年ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品。すごい迫力。すごくおもしろかった。
冒頭からショッキングなシーンがあり、その後も残酷というか目を覆いたくなるようなシーン
が続き、私は見ていて動悸がしてきた。映画館の中で気分が悪くならないだろうかと不安に
なったほど。
ガンドとミソン役の俳優の演技がすごい。血も涙もない、平然と人を障害者にするガンドが、
少しずつ優しい顔つきになっていく、その表現力がすごいと思った。
親の顔も知らず、不幸せに育ったであろうガンドは、ああいう生き方しかできなかったの
だろう。
そしてミソン役の女優の圧倒的な存在感。母親の慈愛の深さをよく表現していたと思う。
ラストも衝撃的。
1つ気になったのは、あんな取り立てのやり方が、韓国ではまかり通っているのだろうか?
ということ。映画の中だけの話ならいいけれど。
この映画の監督がキリスト教徒なのかどうかはわからないが、キリスト教的な物語だ。ラスト
近くの、ミソンのせりふにそれは表現されている。

韓国の映画はおもしろいものが多い。特にミステリーやサスペンスだと、日本映画よりも
レベルが高いと思う。この映画はサスペンスではないが。
「オールドボーイ」という映画が私はすごく好きなのだが、その映画もカンヌ国際映画祭で
審査員特別賞を受賞している。「オールドボーイ」は本当におもしろいミステリーだ。
日本のサスペンス映画がちゃちな感じがしてしまうのは何故だろう。いい監督がいないと
いうことなのだろうか。
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