猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

バニー・レークは行方不明

2021-07-21 22:33:56 | 日記
1965年のイギリス・アメリカ合作映画「バニー・レークは行方不明」。

アメリカからロンドンにやって来たシングルマザーのアン・レーク(キャロル・
リンレー)は、特派員をしているロンドン在住の兄・スティーブン(キア・デュ
リア)が前もって手配してくれた保育園に娘のフェリシア(愛称はバニー)を預け
る。アパートで荷物を解いた後、バニーを迎えにいくが娘の姿はどこにもなく、
保育園の職員たちも姿を見ていないと言い、名簿にもバニーの名前は記載され
ていなかった。通報を受け、捜査に当たったニューハウス警部(ローレンス・オ
リヴィエ)に求められ、バニーの写真を見せようとするアンだったが、写真どこ
ろかバニーの存在を示すものは何1つ見つからなかった。バニーを目撃した者
がいないため、警部はそもそもバニーは存在していなかったのではないかとの
疑念を持つ。

ヒッチコック風のサスペンス・ミステリー。子供が行方不明になるというのは
フライトプラン」「プリズナーズ」など題材としてたくさんあると思うが、
この映画が他の映画と違うのは、最初から子供の姿を見せていないという点だ。
母親がいくら娘がいなくなったと訴えても、誰も姿を見ていないので、警察は
「娘は本当に存在しているのか?母親の妄想ではないのか?」と考える。そし
て観ているこちら側も母親の妄想?と思ってしまう。いやでも兄も捜査に協力
しているし、やっぱり娘は存在するんだよね…?とも思う。この演出が秀逸だ
と思った。
兄を頼ってイギリスに娘とやって来たアンだが、保育園の初日に娘がいなくな
ってしまう。職員や園児や母親たちに聞いても見ていないと言う。アンは何が
何だかわからず、非常に精神不安定になる。それは当然だろう。警察から娘の
存在を怪しまれ、アンも兄のスティーブンもとても不快になる。当時は未婚で
子供を産むというのは少なかったのか、警察はアンが独身であることにも不信
感を持つ。ニューハウス警部はスティーブンにアンとの子供の頃の生活ぶりを
聞く。孤独だった兄妹はとても仲が良かったらしく、アンはバニーという想像
上の友達を作って遊んでいたと話す。そのことで警部は余計にアンが捜してい
るバニーの存在を訝しむことになってしまう。
保育園の職員たちの無関心、無責任ぶりにはイライラした。自分の保身のこと
しか考えておらず、事情聴取の時も態度が悪い。そして怪しい人が次々に登場
するのだ。アンが話をした園の女性コックが姿を消したり、担任の先生がいき
なり歯科医院に行ってなかなか戻って来なかったり、元園長がとても変な人だ
ったり、アンの家の大家が勝手に入り込んで長々と居座る気持ち悪いおっさん
だったり(いくら大家で鍵を持っているからと言って普通は勝手に入らないだ
ろう)。
アン役のキャロル・リンレーはきれいで、ヒステリックで不安定になっていく
演技がとても良かった。警部役のローレンス・オリヴィエは素敵なおじさまだ。
ラストのブランコのシーンは狂気を感じて、怖かった。モノクロ映画なのも相
まってサスペンス・ミステリー要素がより強く感じられた。これは傑作だと思
う。




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4 コメント

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Unknown (いごっそう612)
2021-07-22 06:15:07
これ面白そうですね!
リメイクとか出ないかな~。
いずれ観てみよう!
ご紹介ありがとうございます。
返信する
写真は梱包の中なんじゃ・・・。 (ウラジーミル・アスポン)
2021-07-22 10:28:54
1965年と言えば、ほとんどの映画は
カラーな中シックなモノクロなんですね。
有名なローレンス・オリヴィエも出てくるんですね。

アンは未婚の母なんですね。
娘が実は存在していないと周囲に妄想扱いされちゃうとは凄いストーリーですね。
兄スティーブンが妹のアンはバニーという空想の友達を作って遊んでいた話をしたら、警部にアンが妄想女だと思われるのも致し方ないかも・・・・。

アンは、娘の写真を一枚も警部に示せないのは失くしたのか、
撮っていないのか、あるいはアメリカからロンドンにやってきたばかりで
引っ越ししたてなので、荷物の梱包を全部とけてないのですぐに
写真を出せる状態ではない可能性もありますね。

私など白状すると、引っ越しから10年は経過したのに
解いてない段ボールもあります……^_^;。

最初から娘の姿が出てこないし存在を示す証拠ないんなんて・・・。
荷物の中に幼児の服とかで、存在の証拠や
母子手帳みたいな公的な証拠はないんでしょうか。
(母子手帳は日本だけかも・・・)

荷物や部屋に幼児の物があっても、妄想傾向の人は、自分で
妄想にひたって用意したかもしれないと思われるだけなんでしょうかね。
写真や保険証など、公的な証拠あってなんぼですね。
引っ越したばかりでは、周囲も親子が一緒な所、みてませんね。
返信する
Unknown (杏子)
2021-07-22 16:19:47
>いごっそう612さん
コメントありがとうございます。リメイクはどうですかね〜。
古い映画ですが充分おもしろいですよ!とても意外な事件の真相で、お勧めです!
返信する
Unknown (杏子)
2021-07-22 17:07:15
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。最初から観ている側に子供の姿を見せていないのがポイントなんですよね。
それでこちらも「警察が考えているようにアンの妄想かも?」と思ってしまうんです。
珍しい演出で、おもしろいなあと思いました。
写真は梱包の中かもしれないですね。アンも焦っていてすぐに探し出せる状態ではないですし。
ウラジーミルさんは10年以上解いてない段ボールがあるのですね(笑)
そんなに使わないものが入っているのでしょうか(^o^)
アンは途中で娘の人形や娘用に買ったお菓子があるのを思い出すのですが、
それでは娘がいるという証拠にはならないですよねえ。
怪しい人が次々に出てきて混乱します。事件の真相はとても意外で驚きます。
ヒッチコックが好きな人はこの映画も楽しめると思います。かなりの傑作です!
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