猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

評決

2013-12-21 03:44:33 | 日記
1982年のアメリカ映画「評決」。
弁護士のフランク・ギャルヴィン(ポール・ニューマン)は、昼間から酒を飲み、荒れた
生活をしていた。昔のある事件がきっかけで全てを失い、転落の一途をたどっていた。
友人の弁護士ミッキー(ジャック・ウォーデン)もフランクに手を焼き、ある事件を紹介し、
それで立ち直れなければもう見放すと言ってきた。
出産で入院した主婦デボラ(スーザン・べネンソン)が、麻酔のミスで植物状態になっていた。
デボラの妹夫婦が聖キャサリン病院と、担当した2人の医師を訴えたのだ。フランクは原告
側の証人である麻酔科の権威、グルーバー医師(ルイス・スタッドレン)に会い、医療ミス
だと確信した。フランクは聖キャサリン病院を訪れ、デボラの病室に行き、デボラの写真を
撮影した。彼女のかわいそうな姿の写真を突きつけて、多くの示談金を出させるためである。
だが写真を撮り続けるうちに、出産のために病院へ行っただけなのに、自力呼吸もでき
ない植物状態になり、夫と子供たちは去り、全てを失ってしまった1人の主婦の哀れな姿を
痛ましく思い、怒りが湧いてきた。フランクの心の中に、無くしていた何かが蘇ろうと
していた。
一方聖キャサリン病院はカトリック教会の経営であり、評判が悪くなることを恐れた司教は
フランクに21万ドルの示談を申し出た。が、フランクは断り、裁判へ発展することに
なった。教会側は敏腕弁護士のコンキャノン(ジェームズ・メイスン)を雇う。

これは、ポール・ニューマンの映画の中で1番好きな映画だ。物語も感動的だし、ポール・
ニューマンの演技も素晴らしい。アカデミー賞の作品賞や主演男優賞にノミネートされた
が、惜しくも逃してしまったそうだ。
特に好きな場面は、フランクが病院へ行ってデボラの写真を撮影するところ。示談で使う
ために撮っていたのだが、デボラの姿をじっと見て、撮影するのをやめ、怒りと悲しみが
混じったなんとも言えない表情で彼女を見る。この表情がとてもいい。落ちぶれていた
弁護士が、昔の自分を取り戻す瞬間だ。
この映画の時のポール・ニューマンは50代後半くらい?かな。あんなかっこいい50代の
おじさんはそういない。タバコを吸う仕草、机に足を乗せるシーンなど、細かいところが
かっこいい。
デボラの夫はひどいと思った。自分の妻が昏睡状態になったというのに(胎児は死亡)、
子供たちを連れて離婚するなんて…しょせん他人なのかな、と思った。病院や医師を訴え
たのは、血のつながりのある妹。かわいそうなデボラ。
「レインメーカー」でも思ったけど、アメリカの法廷ものの映画っていい作品が多いなあ。
この「評決」の監督はシドニー・ルメットだそうで、「十二人の怒れる男」の監督だと後で
わかった。そういえば雰囲気が似ていた。
ラストシーンはどうなるのかな?という終わり方だったけど、私はあのままでいる方が
いいな、と思った。

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