猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

Winny

2023-03-21 00:29:10 | 日記
2023年の日本映画「Winny」を観に行った。

2002年、データのやりとりが簡単にできるファイル共有ソフト「Winny」
を開発した東大大学院特任助手の金子勇(東出昌大)は、その試用版をイン
ターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」に公開する。公開後、瞬く間に
シェアを伸ばすが、その裏では大量の映画やゲーム、音楽などが違法アッ
プロードされ、次第に社会問題へ発展していく。違法コピーした者たちが
逮捕される中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑で2004年に逮捕
されてしまう。金子の弁護を引き受けることとなった弁護士・壇俊光(三
浦貴大)は、金子と共に警察の逮捕の不当性を裁判で主張するが、第一審
では有罪判決を下されてしまう。

ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇氏が、著作権法違反幇
助の容疑で逮捕された経緯と、彼の弁護団が逮捕に対する不当性を訴えて
警察・検察側と全面対決し、無罪を勝ち取った裁判の行方を描いた作品。
私はコンピューターのことはほとんどわからないので、「Winnyって何?
」「金子勇って誰?」という具合なのだが、東出昌大目当てに観に行った
この映画、おもしろかった。ファイル共有ソフトとか言われてもさっぱり
わからないが、インターネットの世界ではかなり画期的なものだったよう
だ。
金子氏は自分が開発されたものが違法に利用されるとは思っていなかった
のだろう。それが突然逮捕となって、金子氏も弁護団もとても理不尽に思
う。物語の中で弁護士が言っていたが、「金子さんはそこに山があったか
ら登っただけ」だったのだろう。生粋の研究者というかコンピューターオ
タクの人だと思う。子供の頃から電器屋の店先に置いてあるパソコンをい
じっていた、オタク少年がそのまま大人になったような人だ。弁護士たち
も金子氏の逮捕の不当性を強く感じ、刑事事件のスペシャリスト・秋田真
志弁護士(吹越満)を主任弁護士に迎える。
キャストが皆とても良かった。金子氏役の東出昌大は「何か太ってる?」
と思ったら役作りのために18kgも増量したそうだ。天才プログラマーを
ひょうひょうと好演していると思った。壇弁護士役の三浦貴大の若い熱血
弁護士役も良かったし、主任弁護士役の吹越満の存在感もすごい。渡辺い
っけい、吉岡秀隆といったベテラン実力派も脇を固めていて、なかなか骨
太の社会派ドラマに仕上がっていると思った。Winny事件の裁判と並行し
て、愛媛県警の裏金問題が描かれているのだが、こちらは私はよくわから
なかった。
弁護団の事務所には、金子氏を応援する2ちゃんねるの住人たちを中心に
銀行口座開設の要望があり、弁護士費用の支援金が集まっていたという。
金子氏は2ちゃんねるの住人たちに支持された人だったんだなあ。金子氏
は2006年に京都地方裁判所で有罪判決が下され、罰金150万円を言い渡
されるが、2008年に大阪高等裁判所で逆転判決を経て、2011年に最高
裁で無罪が確定した。けれども2013年に急性心筋梗塞で42歳の若さでこ
の世を去っている。短い生涯の中で、金子氏が裁判に費やした7年間は何
だったのだろう。研究者たちの夢を、オタク少年たちの夢を摘み取らない
世界であって欲しい、と思った。


アフターヌーンティーに行きましたいつもデザートばかり食べている
ので、今回はお食事をとてもおいしゅうございました

コメント (12)
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