猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

香港画

2021-06-04 22:45:15 | 日記
2020年の日本映画「香港画」を観に行った。

2019年2月、香港政府が逃亡犯条例及び刑事相互法的援助条例の改正案提出を
発表したことをきっかけに、香港全土で大規模な反対運動が巻き起こる。運動
は徐々にエスカレートし、6月には103万人の市民による逃亡条例反対のデモ
行進が行われる。同年10月、仕事で香港に滞在していた堀井威久麿監督は、
デモに参加している人々の若さに驚き、彼らが何を考え、何を発信しているの
かを知るために記録を始める。若者たちの声を聞きながら、デモ隊と警察が衝
突する中でも撮影を続けた堀井監督は、デモ隊と共に催涙ガスやペッパースプ
レーを浴びながらもカメラを回し続けた。そうして完成した28分の迫真の映
像から、香港の若者たちが何故戦うのか、またメディアを通じてその様子を目
にする人々が、彼らの声にどう向き合い、応えるのかを問う。

2019年の香港民主化デモを記録した短編ドキュメンタリー。門真国際映画祭
2020でドキュメンタリー部門・最優秀賞を受賞し、地元・香港でも注目を集
めている。香港のデモの様子は日本でもニュースで何度も目にしているが、こ
うして映画にまとめられると圧巻であり、とてもショッキングだった。堀井威
久麿監督は別件の仕事で香港に滞在していた際、偶然にも香港の中心街でバリ
ケードを作るデモ隊と遭遇した。混乱の中、半ば興味本位で彼らの後をついて
いくにつれ、大学生、高校生や下は中学生と皆年齢が若かったこと、武勇派(
戦闘部隊)に女子も多く含まれていたことに驚かされたとのこと。
ものすごい数の人、人、人。本当に学生が多い。ケガをすれば救護係が飛んで
くる。警察はとても乱暴だ。デモ隊は警察のことを「ブラック・ポリス」と呼
び、必死の抵抗をしていた。堀井監督はその様子を撮影せずにはいられなかっ
たのだろう。多くの人にインタビューをしていたが、日本語が話せる人が多い
のにびっくりした。しかもとても流暢だ。香港の人はどうしてあんなに日本語
を話せるのだろう。通訳を職業にしている人もいたが、もうネイティブ並みだ
った。
大したこともしていないのに逮捕されてしまう。彼らは「どこが公務執行妨害
なのか」と訴えていた。頭が血まみれになっている人や、壁に飛び散った血や、
ストリート・ミュージシャンが歌う「イマジン」などがとても印象に残った。
デモの最中に亡くなった人もいる。香港の人たちの叫びや悲しみが聞こえてく
る。そして2019年11月27日に香港人権・民主主義法案にトランプ大統領が署
名し、同法が成立したことを受けて、人々が歓喜に沸き、アメリカ国旗を掲げ
てアメリカの国家を歌う姿は忘れられない。私たちは香港の民主化デモのこと
を忘れてはいけない。壁には「PLEASE REMEMBER WHO THEY ARE」と書
かれていた。




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コメント (2)
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