猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

17歳

2021-02-03 22:47:40 | 日記
2013年のフランス映画「17歳」。

パリの名門高校に通うイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、医師の母シルヴィー
(ジェラルディン・ぺラス)とその再婚相手のパトリック(フレデリック・ピエ
ロ)、弟のヴィクトル(ファンタン・ラヴァ)と何不自由ない生活を送っていた。
イザベルは夏のバカンス先で出会ったドイツ人青年と初体験を済ませ、数日後
に17歳の誕生日を迎える。パリに戻ったイザベルは、SNSを通じて様々な男
を相手に売春を始める。ある日時々会っていた初老の男ジョルジュ(ヨハン・
レイゼン)が心臓発作を起こす。イザベルは人工呼吸や心臓マッサージを試み
るが、ジョルジュはベッドの上で死んでしまう。動転したイザベルは逃げるよ
うに部屋を立ち去る。

フランソワ・オゾン監督作品。裕福な家庭に暮らし名門高校に通う17歳の少
女が、初体験をきっかけに売春をするようになる姿を描いている。高校生のイ
ザベルは夏に家族と行ったバカンス先で、気になっていたドイツ人青年と初体
験を済ませるが、何故か彼に対して冷めてしまい、自分の誕生日にも呼ばなか
った。その後パリに戻ったイザベルはSNSを通じて不特定多数の男を相手に売
春を始める。イザベルがどうして売春をするようになったのかよくわからない。
早く大人になりたい、という気持ちでドイツ人青年と関係を持ったのはわかる
が、それがどうして売春に結びつくのだろう。お金が欲しい訳でもなく、その
お金で何を買う訳でもない。もらったお金はクローゼットに隠していた。
売春も特に楽しいと思ってしている訳ではなく、時には嫌な思いをすることも
あった。客の中でジョルジュという初老の男性は若くて美しいイザベルを気に
入り、時々彼女を呼び出していた。既婚者だが穏やかで紳士的なジョルジュに
はイザベルも安心感を抱いており、ジョルジュの世間話を聞いたりしていた。
ところがある日ジョルジュは心臓発作を起こし、ベッドの上で死んでしまう。
動転したイザベルは慌てて部屋を立ち去るが、ホテルの防犯カメラにはイザベ
ルの姿が映っていた。
イザベルの母シルヴィーの勤務先の病院に警察がやってくる。防犯カメラの写
真を見せ、「娘さんの裏の顔は娼婦です」と言う。信じられないシルヴィーだ
ったが、警察の家宅捜索に立ち会い、クローゼットから大金が出てきて、自分
が娘のことを何もわかっていなかったことにショックを受ける。シルヴィーは
「私にこんな思いをさせて」と言いながらイザベルを何度も叩いた。イザベル
は何も答えない。どうしてこんなことをしたのか、恐らく彼女にもわからなか
ったのではないかと思う。イザベルは精神科医の元にカウンセリングに通わせ
られるようになる。だがそこでもイザベルは肝心なことは答えなかった。
イザベルはその後も義父のパトリックに挑発的な態度を取ったりして、シルヴ
ィーは「イザベルに吐き気がする」と言う。イザベルの気持ちは私にもよくわ
からないが、シルヴィーは離婚して再婚して、更に浮気までしており、イザベ
ルはそのことに勘づいていたので、母に対する反発心もあったのかもしれない。
ラスト近くでイザベルが精神科医に「ジョルジュを死なせてしまった。もう売
春はしたくない」と言って涙を流すシーンは救われた気がした。イザベルはあ
る日ジョルジュの妻アリス(シャーロット・ランプリング)に呼び出される。ジ
ョルジュが死んだ部屋にである。アリスはイザベルを責めるでもなく、冷静に
「夫の最後の女を見たかった」と言う。このシーンがとてもいい。シャーロッ
ト・ランプリングは最後に少し出演するだけだが、その存在感はすごいと思っ
た。


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コメント (4)
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