猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

BOY A

2018-03-27 22:14:41 | 日記
2007年のイギリス映画「BOY A」。

少年時代にある事件を起こし、10年の刑期を終えて釈放された青年(アンドリュー・
ガーフィールド)。監察司のテリー(ピーター・ミュラン)は「過去の君は死んだ」と
力強く言い聞かせ、青年にジャック・バリッジという名前を名乗らせる。更生の道
を歩み始めたジャックは運送会社に勤め、クリス(ショーン・エヴァンズ)という友
人もでき、ミシェル(ケイティ・ライランズ)という恋人もできた。ある日クリスと
共に配達している途中、自動車事故に遭った少女を発見して命を救い、新聞の取材
を受ける。そんな新しい世界は何もかもうまくいっているかのようだったが、過去
を隠して偽りの自分でいることは、ジャックにとって耐え難い苦悩でもあった。

少年事件の加害者の更生を描いた人間ドラマ。ジャックは少年時代に友人と共にあ
る事件を起こして逮捕され、服役する。2人は恵まれない家庭環境で育ち、孤独だっ
たため親しくなり、いつも学校をさぼって一緒にいた。しかし根は優しいジャック
と違い、友人はかなり悪い少年だった。気弱なジャックはつい友人の犯罪に加担し
てしまったのだった。そんなジャックに対して監察司のテリーは親身になって面倒
を見、仕事も住む場所も与えた。ジャックもまたテリーに深く感謝していた。
物語の所々にジャックの少年の頃の場面が挟まれ、ジャックは決して悪い子ではな
かったということがわかる。幼さゆえ悪い友人に同調してしまったのだ。それでも、
彼が絶対に許されない大変な罪を犯したことには違いない。社会復帰して楽しい生
活を送る中で、ジャックは過去を隠していることに罪悪感を覚え、恋人にだけは打
ち明けたいと思うようになるが、テリーは絶対に駄目だと止める。
日本でも少年事件は多く、そのほとんどが「少年法は甘すぎる」と思えるような事
件だと思う。被害者遺族にとっては一生許せないことであり、永久に苦しみは続く
だろう。だが、加害者は社会復帰してはいけないのだろうか。更生の道を与えられ
てはいけないのだろうか。もちろんそれは事件の内容にもよるし、加害者がどれだ
け後悔し反省しているかにもよると思う。実際に起きた事件を見る限り、あまり反
省している元少年はいないように思う。
ジャックはどうだろうか。主犯である友人はともかく、ジャックがずっと世間から
許されないのは少しかわいそうだと思った。でも私が被害者遺族だったとしたらそ
んなふうに思えるだろうか。思えないだろう。被害者側と加害者側がどうやって折
り合いをつけるのかはとても難しい問題だと思う。ことによると折り合いをつける
のは不可能だろう。色々考えさせられた映画だった。ジャック役のアンドリュー・
ガーフィールドの演技が良かった。澄んだ瞳の彼だからこそ成り立った物語だと思
う。




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コメント (4)
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