goo blog サービス終了のお知らせ 

猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

セイジ-陸の魚-

2012-03-13 04:56:48 | 日記
先週、「セイジ-陸の魚-」という映画を観にいった。
私はこの映画を一昨年から楽しみにしていた。一昨年、映画が作られていると
いうことを知って、ずっと観たかったのだ。監督は伊勢谷友介。
レディスデーだったのもあり、すごく多かった。男性はちらほら。
予想以上に素晴らしい映画だった。今でも、もう1回観にいきたいくらい。
西島秀俊と森山未来の共演なのだが、2人とも力のある俳優さんだなあ、と思った。
セリフが少なく、暗ーい映画なのだが(私はそういう映画が好きだが)、まず
映像の美しさに惹き込まれた。
僕(森山未来)は大学最後の夏休みに、自転車旅行をしていた。
そこで、ひょんなことからあるドライブインで働くことになる。
そのドライブインの雇われ店長がセイジ(西島秀俊)。無口で何を考えてるのか
わからない男。過去に何かがあって、それを今でも抱えているのが見てとれる。
ドライブインの経営者(裕木奈江)、酒屋、ドライブインに集まって騒ぐ人たち、
みんな魅力的。
私はお酒が飲めないので、飲みにいってワイワイやるという経験がほとんどないので、
こういう場面はなんだか別世界のよう。
「僕」も次第にみんなと打ち解けていく。セイジとも。相変わらず無口だが。
セイジは村に住む5~6歳の律子という女の子ととても仲がいい。律子もとても
なついているし、普段は無表情なセイジが律子と遊ぶ時は笑っている。
そんな時、村で凄惨な事件が起き、律子が巻き込まれてしまう…

静かに流れていた映画が、一変してものすごく重たくなる。
そしてセイジが律子のためにとった行動とは…
ネタバレになるので書かないが、あの時セイジにはああするしかなかったのだろう、と
思った。律子のために自分ができることはそれだけなのだと。
衝撃的だったが、セイジという人の人間性を思えば、あの異常な行動も理解できる。
話が前後するが、この映画は20年後の「僕」が回想する場面から始まる。
そして、20年ぶりにあのドライブインを訪れて、物語は終わる。
「僕」にとって20年前の夏は、人生の中で辛い思い出だっただろうか。
辛い思い出だっただろうな。でも、最後には自分の中で昇華する。
セイジやみんなが今どこでどうしているのか、描かれていない。でも、きっと生きている
と思う。どこかで、きっと。

もう1度観たい。叙情的な映画だった。
ところで私は昔から裕木奈江さんのファンである。この映画に興味を持ったのも、彼女が
出演しているからである。久し振りの日本映画への出演。
昔とちっとも変わらない。きれいで可愛くで、存在感のある人だ、と思った。
是非観てください。