ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

創作小説 SUNSET CHAPTER12 PART.10

2012年06月27日 07時03分48秒 | 創作小品
 それからみんなで新年会みたいにぱっとやることになった。店長たちはあれこれあったし、お昼ご飯を食べてたのは結局センセイだけだった…アタシもココ当て込んでたから実は昼ごはんまだでしたしぃ。それに和佳菜さんたちは遠くからおいでなので、あまり遅くなるのも差し支えるということで、夕食時を待たずに早く始めちゃおうということになった。なので、買出し半分店長の手料理(ホントにお上手でアタシは激しくコンプレックス)半分でたちまち宴会! お酒なんてなくっても、十分楽しいお食事会はできますよお~! 
 でも、ホントに良かったとアタシは思った。だって、店長のおば様を見る目は全然優しいもの。もちろんその逆も。あれだけ大変な経験をしてきたのに、乗り越えた人って強いんだなあ。そして、強い人はやっぱり優しいんだな…。しみじみ実感。
その宴も大盛り上がりになったところで、突然一陣の風が吹き込んできた。ドアがいきなり開いて、すごく能天気で大きな、すっごく通る声が…
「あけおめーーー!! ことよろーーー!!」
うわあああ~! このヒトには毎度圧倒されちゃいますう~! そう、
「うお! みゆ希ちゃんだああー!!」
……センセイ、引っ込め…。
「あっはっは~! さっすが、あいかわらずみんな来てるんだねえ~! うん? 初めてお目にかかる方もいらっしゃる?」
店長が苦笑いしながらみゆ希さんを迎えた。
「ああ、紹介するわ。…妹の和佳菜ね。後ろがそのお父さん。それから、こっちが…」
と、店長はカウンター越しにおば様の肩に手を置いた。
「おふくろだ。」
 みゆ希さんは――一瞬目を大きく見開き、小声で
「そっか…。」
とつぶやいてから満面の笑顔になった。
「初めまして。カズの第一夫人候補の小城みゆ希です! どうぞよろしく!」
と、丁寧に頭を下げた。
「ちょ…! 何よ、第一夫人て!!」
店長があわててみゆ希さんを押さえるように手を伸ばした。
「あはは~! あたしの妄想だから気にしない!」
「だったら俺、みゆ希ちゃんの第二主人にして欲しーなっと!」
だからセンセイ引っ込めってば!
「え? あはは、それって愛人じゃないのかな~光栄だけどどのみちパスね。」
「やーん、悲しい…。」
も、いいから引っ込んで…。
 「あなたが小城みゆ希さんですか! あの、アナウンサーの!」
おじ様がなんか嬉しそうに声をかけた。そりゃ、有名人だものね~! きれいな人だし!
「はい! 見てくださってるんですか? ありがとうございます。」
「ああ、ええ。いやあ、あなたが和行君のね…。娘から聞いてますよ。娘も…お会いするのは初めてだよね。」
「うん! あの、小城さん…初めまして。妹の和佳菜です。あの、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。カズ、ホントだ、妹さんめっちゃ可愛い! それにそっくりだね。」
「ん? そうかな…。血は半分だけど。」
「ん~ん~、似てるって! ねー、リョウちゃん、似てるよね?!」
みゆ希さんがアタシにそう振った。(こないだっからアタシをリョウちゃんと呼んでくれるの、なんか斬新で嬉しいな~。)アタシも頷き、
「うんうん、似てますよ! 目元がそっくり。ていうか、ふたりともそのへんがおば様にそっくりなんですよね!」
と言っておば様に目を向けた。おば様はちょっと恥ずかしそうに微笑んで席を立ち、
「小城さん…あなたでしたの、和行さんの恋人っていうのは。」
「うはは~…そうしっかり言われると照れちゃいますが…。まあ、そんなとこです。かな?」
「お会いしましたね…ずっと以前。」
と、みゆ希さんの顔がちょっとマジ顔になった。微笑んではいるけど…。そりゃそうだよね。店長の話だと10年前におおごとになった時、二人ともいあわせてるんだもの…。
「はい。あたしのこと覚えておいでなんですね。そです、あの時あそこにいたの、あたしです。」
「そうですね…。私のかわりにこの子に付き添ってくださったのでしたね。本当にありがとうございました。何もできないどころか…ひどいことをしてしまった私に代わって…。」
「母さん、あなたのせいではないって言ったでしょ?」
店長はやんわりとおば様をたしなめるように言った。
「ええ、でも…。」
「いいんですよ。まあ、アレがあったおかげで? みゆ希とくっついたようなもんだから。雨降って地固まるって感じかな?」
「まあ…。」
おば様はびっくりしている。ただ、本当はそれからめちゃめちゃ紆余曲折があったのだけど、店長はどうやらそれは話してないみたいだ。
 ていうか、わざと話さないんだろうな…。本当はおば様の話のせいで自分の目を潰そうとまでしたんだけれど、わざわざそれを知らせて、おば様を苛む必要は全然ないもの。ううん、店長なら絶対話さないだろう。知らせないほうがいい事も世の中にはあるもんね。
「そうでしたか…。みゆ希さん、これからもこの子をよろしくお願いします。」
「あ、はい! どうも…至りませんけど頑張ります!」
「…何をだよ…。」
店長が呆れたように突っ込んだ。


・・・TO BE CONNTINUED.

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