拡大鏡


これはフロントに置いてある拡大鏡付き電気スタンド
芳名帳の記帳の際、
時々ご不自由そうなお客様を見て置きました。

そろそろ管理人も危なくなりました。
針に糸を通すのが下手になりました。
キャー白髪!・・・一本抜いたらその脇にもあり
これって!!老化です。

年を重ねる事がいつも幸せでした。
きっと数年後にはこんな素敵な私が居ると。
でも老化については他人事でした。

老化現象は実体験すると、
なんだかとても落ち込むものです。

ちょっと思い出しました。
結婚後、近くのお茶のお稽古場に代させてもらいました。
ここの先生は、かなりお年を召していらっしゃいました。
お手前はいつもお弟子さんが見て下さいます。

でも、ある日一度だけ先生の
幻のお手前を見たことがあります。

心に残る素晴らしいお手前でした。
茶巾で清めると言うより
心で清めるようなお茶碗の扱い。

所作の静かでいて、重くなく
圧倒されると言うのではなく
控えめと言うのでもなく
上手く言葉が見つかりません。

空気と一つになったような
そんなお手前でした。
年老いた手の美しいこと
枯れると言う事の美しさを初めて知りました。

この先生も、今はいらしゃいませんが
可愛いお婆ちゃんもいいけど
静かに美しく枯れて行きたいと思った事を
思い出しました。

老いを認め、共に歩むと言うのもまんざら悪くないかなぁ
枯れてゆく中でしか見つけられない美しさもあるから・・・


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