命日

気が付くともう一年。
家族が集まった。

何も覚えてない。
こんな早い一年は初めてと皆が言った。

秋があった
冬が来て
春が来て
また夏が終わった。
確かに一年だった。

娘が言った。
小学校の卒業式と
中学校の入学もあったよ。

そうだった。
まだまだあったはずだった。
大切な思い出
楽しいことが
沢山あったはずだった。

こころの中の整理整頓が出来ていないのだ。
思い出が直ぐにとりだせなくなっている。

忙しくワイパーが動く
この大雨の中お墓に行くの?と娘が聞いた。

父のところに行けば
雨は止むと知っていた。

打ち付ける雨は
墓地の駐車場でピタリと上がり
雲の間から薄明かりが見える。

やっぱりね。
嬉しそうだお父さん。

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