父のお見舞い

今日、由仁まで病院に行ってきた。父の容態がかなり悪い。
寝ている父の耳元で「じいちゃん、来たよ～」というと
「や～」と目を開けるが、そのままいびきをかいて眠り続けた。
看護婦さんが来て、血圧を計り、体温計を脇の中に入れても、うっすらと目を開け
「なんだ～」と言ってそのまま眠ってしまった。
肺炎もおこしているので、鼻に管を付け、点滴をつけている。

若い頃から、病気のデパートという位、数々の病気をしては蘇る父は
２０年前からリュウマチになり、その後胃がんで全的手術している。
昨年、脳梗塞をし、何日も眠り続け、目が開いたときは誰が誰だか判らなくなっていた。
完全にボケてしまったのかと思っていたが月日が経つにつれ記憶が戻り
「俺は不死身だからね」と冗談を言うまで回復していた。
今年の初め、癌が再発して、長くて６ヶ月の命と言われた。
でも、合う度に顔色も良くなり、もしかしたら誤診だったんじゃないの？と
思わせるほど元気になっていた。
でも、今度ばかりは、ちょっと様子が違う。

数日前に入院したと聞いて、行ったときには、「や～良く来たね」と言っていた父。
その前に行ったときには、「まだまだ、生きるようだよ。中々お迎えが来ないんだな～」と冗談を飛ばしていた父。
その前に「ちょっと着てくれないかな～」と電話が来て、ビックリして行ったときには、「誰も来てくれないから、電話掛けたんだよ」と言っていた父。
これ全てが、今月の話。

父はこの数年の間に数々の病院を入退院している。
超我がままな父は、少しでも気に入らないことがあれば「帰るから直ぐに迎えに来てくれ」と病院を脱出してくる常習犯で満期まで病院にいたことはない。
今回も２,３日したら「迎えに来て～」となるでしょうと、母や兄と話していた。
でも、この度はそうも行かない様である。

後ろ髪を惹かれる思いで実家を後にして帰宅したら
「今日、NHKで恵庭が出るらしいよ」と主人が言うので、食事をしながら見ていた。

NHKのひと物語　「生きる喜びを、支えたい」という番組の後半に
柴田岳三先生が出演していた。柴田先生は恵み野病院に勤務していたときから、病気と向き合う患者さんと家族の集まりを定期的に持っていて、１０年以上前に私も講師として呼ばれたことがあった。
そのときに来ていた、スナック経営のマスターと奥さんは以前から知っている人で、数日後、彼女に合ったとき、マスターが癌であると聞かされた。その翌年に、マスターが亡くなったと聞き、それから数年後、彼女も同じ病気で天に召されて逝った。

柴田先生は病院から離れた場所で、病気と闘う家族が、その人らしく生きる暮らし方を患者と家族と一緒に考えて来た人である。今回の番組を見て、改めて知ることが出来た。
柴田先生は尊敬できる青髭先生みたいな方ですね。

■ひと物語　「生きる喜びを、支えたい」（NHKのHPから抜粋）

道内では数少ない「在宅ホスピス」を専門にする医師・柴田岳三（しばた　たけみ）さん（６３歳）。
外科医として大学病院でがん治療の最前線を走ってきましたが、「もっと患者の尊厳を大切にした医療が出来ないか」と６０歳を越えてから、在宅ホスピス医に転身しました。
最後まで、住み慣れた自宅で"自分らしく生きたい"と願う患者の思いを支えようと模索する柴田さんを通して、終末医療のあり方を考えます。


この番組を見て改めて、父と母の事を考えて見た。
でも、今の状況では、母の負担を考えると、家での看病は進められない。
今日も、看護婦さんが来たときに、いつもこうして眠っているのかと聞いてみたら、
「夜になるとかなり興奮してオムツを外してベットが濡らしてしまったり、鼻の管を外して呼吸が乱れたりと結構大変なんですよ」と話してくれた。

オムツでおしっこは、したくない無いのでオムツを外し、降りようとしても体が自由に動かない。そうこうしている内におしっこが出てしまうのだろうと思う。昼と夜も逆転しているようである。
胸に張っている痛み止めのモルヒネが父の頭を朦朧とさせているのかも知れないが、話す言葉の意味も全くと言っていいくらい聞き取ることが出来ない。
リュウマチで体が痛い母が、このような父を看病出来る筈がない。

ベットの上で眠りながらも、痛いという腕や、冷たい手足を１時間ほどさすり続けた。
父が目をうっすらと開けたとき
「じいちゃん又来るね」と言うと、手を上げて「や～」と笑った笑顔が可愛かった。

明日は苫小牧でイベントがある。
時間がある限り父に会いに行かなければ・・・




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