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ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2008年2月号

2008年02月03日 | 2008年

「この方は、どのような人なのですか?」
先月、店内に展示してあった上の写真に目をとめた、
多くの人たちから訊ねられました。
女性の眼差しを、それぞれの人が自分に引き寄せて受け止めていたようです。
写真の女性は、考古学者でベリーダンサーの
アテ・アル・ハザーリさん(タシナ・ワンブリさんともいう)。
アメリカ先住民の思想に共感して野生動物の保護活動をしている方だそうです。
ポートレートを撮ったのは、写真家の小浜はるみさんです。
小浜さんとは、昨年の秋、タウン紙の取材で初めてお会いしたのですが、
そのときこの作品を見せてもらいました。
女性がじっと見つめる目。
どこかで以前にも会ったような目。
心の奥を覗き込まれているような目。
気になるこの感覚は何だろう…… 今でも分りません。

実際のところ、「写真」というものはどう見たらよいのか、
よく分からないところがあります。
以前、鳥取県の美術館で見た植田正治の演出写真。
砂丘・家族・子ども等々、構成の巧みさに感心しつつも、
どこか「つくりもの」の違和感が残ってしまいました。
そのあとに見たのが、京都の何必館でやっていた木村伊兵衛展。
そこに写し出された秋田や沖縄の昭和の風景と人々の姿には、
心を揺さぶられました。
どちらも、日本の風景と人を撮っているのに、
感じ方はずいぶん違うものですね。

今年は、早くも大風邪に見舞われて、二週間も体調不良が続いています。
そんな中で、先月末に終わった、
『使ってみたい、古いうつわ』展は、共催の「飾り屋」さんの奮闘のおかげで、
無事乗り切ることができました。
「違ったギャラリーに来たみたい」と何人ものお客さんから言われた楽しい展示会でした。

ブリキ星通信/2008年1月号

2008年01月03日 | 2008年

新しい年が明けました。
除夜の鐘とともに家を出て、松庵稲荷神社に初詣。
道すがら、商店街には電気が煌々と点いている店が何軒もありました。
昨年の9月、ホテルマンになったO青年も、
お正月はずっと仕事だろうなあと思いを馳せながら、
深夜の街を歩いてきました。
二日は、お正月の雰囲気を感じたくて(おせちの食べすぎ解消も兼ねて)、
昼下がり、近くの善福寺公園を散歩しました。
前月行ったときは紅葉が終わりかけていた頃で、
木々は荒々しくザワザワして恐ろしささえ覚えた公園の風景が、
今は落ち着いて、なんとも静かな冬景色(写真)。
池にはカモやアヒルがのんびりと泳ぎ、
水辺の茂みにはバリケンくんも元気にいました。
このバリケンくん、捨てられていたという南米産の大きな鳥で、
数年前から公園の人気者になっています。
それにしても、街中のお正月風景はどこにいってしまったのでしょうか。
からくも残る家々の門松以外は普段どおりの顔。
「お正月には凧あげて、独楽をまわして遊びましょ~」は
遥か昔のことになってしまったなんて、
今さらですが、さみしいことです。

さて、新年の「ブリキ星」店内には、爽やかなフィンランドの風が流れます。
フィンランドの作家、アンッティ・ユロネンさんの器が、少しですが並びます。
(HP現代作家のページをご覧ください)
平面作家の浅野壽里さん(来年ブリキ星で個展の予定。現在はフィンランドで働きながら制作に励んでいます)からの紹介で、アンッティさんの器と出会ったのですが、その器の魅力は素直な形と色。
鮮やかなブルーは、フィンランドのオーロラを連想させられます。
(見たことないのですが…)
フィンランドといえば、「ムーミン」の国。
そして福祉や教育で話題になっている国。
授業時間は少なくて、テストや宿題もないのに義務教育の学力は世界一だとか。
答えを教え込み、記憶力を試す教育ではなく、
一人一人の能力を伸ばしていく教育がされているとは、うらやましい。
子どもの頃から記憶力が人一倍悪い私は、
それだけで、フィンランドにあこがれてしまいます。
アンッティさんの器のように、今年は明るい年になりますように。