IC製造はウェハーにICの動作のもととなる回路を作るまでの前工程と、ウェハーからチップを一つずつ切り離し、端子を付けてパッケージに封入するする後工程に分けられる。
前工程はウェハー上にトランジスタを形成し、それらの金属の配線で接続したり、絶縁が必要な個所に絶縁物を配置するといった作業が行われる。
手順としては、ウェハー上に酸化シリコンの保護膜を作る酸化膜や絶縁膜、導電体膜などの薄膜形成から、マスクのパターンを感光材を塗ったウェハー上に露光転写するフォトリソグラフィー、トランジスタを形成する場所の酸化膜を除去するエッチング、半導体の特性や抵抗を持たせるために不純物を注入するイオン打ち込みなどの作業を繰り返す。
薄膜には銅やアルミニウムなどの金属、シリコン化合物の膜があり、絶縁や配線などの機能を持つ。金属薄膜形成に多く用いられるのが、真空蒸着によるスパッタリングである。
アルゴンなどの不活性ガスに直流高電圧を加えると、真空放電によりアルゴンがイオン化し、強いエネルギーを持って金属ターゲット材料に衝突する。
これによって弾き出された金属原子がウェハー上に付着して薄膜となる。
ターゲット材にはチタンやタングステンや、微細線幅LSI用の高純度銅などが開発されている。めっきの技術も最先端の多層配線での銅配線形成に利用されている。
また、ガス状にした膜原料の化学反応を利用するCVDは、導電性のポリシリコン膜や、絶縁のためのシリコン酸化膜形成を中心に活用されている。
【記事引用】 「日経産業新聞/2007年8月21日(火)/23面」