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ルネサスエレクトロニクス、大規模リストラ 国内半導体工場半減、脱「寄せ集め」へ始動

2012-06-16 | 半導体業界



 ルネサスエレクトロニクスが大規模なリストラを始める。

 全国19カ所の半導体工場は10カ所程度に半減し、全従業員の約3割を削減。3割の世界シェアを握るマイコンに経営資源を集中する。

 NEC、日立製作所、三菱電機の半導体部門を寄せ集めただけの事業構造を転換し、名実ともに独立した半導体メーカーに生まれ変わることができるか。


●背水の覚悟

 NECなど主要株主3社と三菱東京UFJ銀行など4行は、総額1000億円をルネサスに融資する方向で最終調整に入った。

 15日の東京株式市場ではルネサス株が前日比4円(1%)高の320円で取引を終えた。一時は65円(21%)高の381円を付けたが、経営再建の行方を見極める必要があるとの見方から伸び悩んだ。

 ルネサスは1000億円を早期退職者への割り増し退職金や、工場閉鎖費用に充てる。

 全国に19カ所ある工場の内訳は、半導体回路を基板材料に形成する「前工程」工場が10カ所、半導体チップ製品に加工する「後工程」工場が9カ所。

 設立母体のNECと日立、三菱電機の3社がそれぞれ半導体部門を抱えていた時代に建設した工場が、事業統合後も整理しきれずに全国に点在している。

 「業績回復のためやるべきことは分かっている」。日立出身の赤尾泰社長は背水の覚悟でリストラに挑む。


●資本増強への道

 赤字のシステムLSI(大規模集積回路)事業は主力の鶴岡工場(山形県鶴岡市)を半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に売却する方針で、交渉を重ねている。

 マイコンは規模が大きい那珂工場(茨城県ひたちなか市)と西条工場(愛媛県西条市)、熊本川尻工場(熊本市)に集約するとみられる。

 他の小規模工場は建設から20年以上経過した拠点も多く、製造設備が老朽化している。余剰人員を抱える要因にもなっており、売却・閉鎖の対象となる公算が大きい。

 同社の従業員は4万2800人で、2012年3月期の売上高は8831億円。1人当たり売上高は2000万円強にすぎない。

 米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)の11年の売上高は137億ドル(1兆823億円)、従業員は3万5000人。1人当たり売上高は1.5倍の3000万円。

 工場の閉鎖・売却には1-2年かかる見通し。まず営業や設計開発、製造部門などの従業員を対象に5000人の早期退職者を募る方針。7月に労働組合に伝え、9月末までに削減する見込み。

 システムLSI事業は富士通、パナソニックとの事業統合に向け交渉中。実現すればルネサスの売上高は2000億円目減りするが、一連のリストラで1人当たり売上高は20%増の2400万円程度に改善が見込める。

 ルネサスは14年3月期に9期ぶりの最終黒字転換を目指す。そのシナリオが現実味を帯びてくれば、資本増強への道が開ける。





【記事引用】 「日経産業新聞/2012年6月16日(土)/9面」


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