半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長は19日、半導体製造装置最大手のASMLが主導する次世代の半導体製造技術プロジェクトについて「投資を検討中だ」と明らかにした。
半導体大手の米インテルが9日にASMLへの出資を含めた投資を表明済みで、TSMCの動向が注目されていた。
●半導体大手に支援
TSMCが台北市内で開いた決算会見で明らかにした。
投資を検討しているのは半導体を微細化できる次世代露光技術「EUV(極紫外線)」を使った装置の開発など。金額などの詳細は明らかにしなかった。
次世代半導体の技術開発には巨額の投資が必要で、ASMLは顧客の半導体大手に支援を求めている。TSMCの参加で技術開発が加速しそう。
インテルは最大41億ドル(約3220億円)を投じ、ASMLの株式も最大で15%取得するが、張董事長は「出資は考えていない」とした。
同日発表した2012年4-6月期の決算は、最終利益が前年同期比16%増の418億台湾ドル(約1100億円)だった。主にスマートフォン向けの半導体の受注が好調だった。
売上高は同16%増の1281億台湾ドルで、四半期ベースでは過去最高となった。
半導体市場では世界景気減速の影響が懸念されているが、張董事長は「7-9月期の売上高は4-6月期より7%増える」と説明、他社よりも競争力が高いことを強調した。
ただ、10-12月期以降は「顧客の在庫が増えて需要が鈍る。回復するのは13年4-6月期頃になる」との見通しを示した。
【記事引用】 「電波新聞/2012年7月20日(金)/3面」