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激しさ増す微細化技術開発 

2007-12-04 | 半導体技術


 次世代回路線幅30nm台以降の半導体製造回路形成で、主役の座を睨んだ技術競争が激しさを増してきた。

 ニコンは、現行の技術を応用した二回露光タイプの液浸露光装置の開発に着手。EUV(極紫外線)露光では、光源を開発するウシオ電機とオランダの家電大手フィリップスが中核部品の共同開発を決めた。

 大日本印刷などはナノインプリントの技術開発を急ぐ。半導体メーカーへの採用が固まれば一気に商機が拡がるだけに、微細化技術の開発にしのぎを削っている。


●ニコン開発に着手 30ナノ2回露光が有力

 2009年にも量産が始まる30ナノ台対応の実用化可能な技術として注目を集めているのが液浸露光装置。

 レンズとシリコンウェハーの間を空気の代わりに純粋で満たして解析度を高める技術だが、1回の露光を2回に増やすことで一段と回路線幅を狭める技術開発が進んでいる。

 現在、1回の露光タイプではオランダのASLMが36.5ナノ対応の液浸露光装置を開発、出荷し始めた。

 ニコンは同タイプでは45ナノ以下対応を量産済みで、東芝が同装置を使って2008年3月にNAND型フラッシュメモリーの43ナノ生産を開始する。

 ニコンは2回の露光装置の開発に着手。2回露光でも1回露光と比べ、生産効率の低下を最小限に留めた装置で、08年中にも半導体の生産技術を開発するための機種を半導体や材料メーカーなどに出荷。

 09年にも、半導体の量産をできる機種を出荷する方針。

 10月に韓国サムスン電子が30ナノのNAND型フラッシュメモリーを開発したと発表。これは既存の露光装置技術を使いながら、サムスンが独自の工夫で一回の露光で二つの回路パターンを形成できるようにしたとされる。

 同技術を応用して、20ナノ台までは製品化できるという。

 2回露光は、回路線幅の微細化を進めコスト削減を急ぐ半導体メーカーにとっては一刻も早く量産に採用したい技術。露光装置メーカーも2回露光に対応するよう改良に凌ぎを削っている。

 
●EUV 実用化に前進

 一方、EUV露光は現在の露光装置の主力であるArFレーザーより波長が短く、半導体の回路線幅を細くできる。液浸2回露光よりも細くするのに有効で、30ナノ台以降の本命技術の一つ。

 光源部分の技術開発が実用化のネックの一つになっているが、ウシオ電機は10月30日に次世代光源の開発でライバルのフィリップスと共同開発すると発表。実用化に大きく前進するとの期待が高まっている。

 EUVを巡っては、ウシオ電機などが開発した光源を使い、露光装置大手のニコンやASMLなどが実験機を開発している。

 ただ、現状では量産に必要な光源の出力が不足している上、EUVは大気やレンズ材料を通過できないため、露光装置を一新しなければならない技術的な問題やコスト高の課題を抱える。

 今のところ、30ナノ台対応が本格的に求められるとみられる09年の実用化は難しいとされている。


●開発進むナノインプリント

 EUVや2回露光の影に隠れているが、将来、微細化に対応する有望な技術として開発が進んでいるのがナノインプリント。

 石英ガラスで作った型を特殊な樹脂を塗布したシリコンウェハー上に押し付けて回路パターンを転写する技術で、判子のように型を押して形成するため、露光方式ではぼやけて鮮明に回路が形成できない線幅でも正確な回路を形成できる。

 現在の露光装置で必要になる回路原版を手掛ける大日本印刷やHOYAが開発中。

 現行の装置で必要な高価なレンズなどの部品が必要なくなるため、装置価格は現在の半導体製造装置よりも半額以下に抑えられると期待される。

 量産性も高いが、回路を作る型を高精度で生産できるのか、複雑な回路を形成できるのかなどの課題をどうクリアするかが実用化のカギになる。

 30ナノ台では、2回露光での量産が始まりそうだが、量産まで時間的猶予がある。さらに微細な20ナノ台ではEUVやナノインプリントが応用される可能性が高いとみられる。




【記事引用】 「日経産業新聞/07年11月6日(火)/3面


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