スマートフォンやタブレット端末などにおける高周波対応部品の高性能化、小型、薄型化技術が進展している。
また、搭載されるブルートゥース、W-LAN、WiMAX、GPS、ワンセグチューナ、ZigBee用など、各種モジュールの小型、薄型化技術も飛躍的な進歩を見せている。
引き続き、最新のマテリアル、プロセス技術を用いて、高周波対応部品の新製品開発が活発化する。
●進む小型化
高周波回路でのキーデバイスの1つであるアンテナは、セラミック材料による超小型のSMD単機能アンテナやセラミック混合樹脂材料および、三次元電極形成技術による筐体組込みアンテナなどの小型化が進む。
デュアル、トリプルといった複数の周波数帯に1個のアンテナで対応する複合小型タイプの開発が活発化している。
多機能モジュールの搭載点数が増えている。これまでのモジュールは薄型で小面積の基板による微細パターン化、超小型、薄型部品の搭載、さらにはLTCC(低温焼結セラミック)基板の採用などによって、小型、高機能化を推進してきた。
LTCCは、一般的なアルミナが約1500℃の高音で焼成されるのに対して900℃以下の低温で焼結可能なことから、電極をはじめとする異種材料を同時に焼結できるのが大きな特徴。
これによって、電極のほか、抵抗やコイル、コンデンサといった受動部品を構成できる。技術的には機能内蔵化と同時に微細化の進展で、小型でありながら高機能、 多機能化に向けた動きが活発化している。
パターン形成には厚膜技術が用いられ、パターンビッチは一般的に100-120μmだが、微細化技術が進展し、50μm程度までファイン化。さらに薄膜技術を利用することで、同20μmの微細パターン形成が可能になった。
●進む技術開発
このLTCC技術に加え、最近では部品内蔵基板技術を用いて、小型で大規模回路をモジュール化する技術が注目されている。
部品内蔵基板は、多層板の内層回路に電子部品や半導体を印刷形成したものや電子部品や半導体を埋め込んだものなど、様々な技術開発が進んでいる。
基板は、薄くて高周波特性、耐熱性などに優れた材質が利用されているが、ここにきて銅コアを内蔵した回路基板やコアレス回路基板などを用いた部品内蔵基板が登場している。
また、薄型化を追求。内蔵するICを50μm厚に加工したものだけを内蔵することによって、部品搭載高さを含めて全体基板厚みを0.3mmに極薄化。現在、様々なモジュールの設計が展開されている。
樹脂系部品内蔵基板は、多層化については基板全体を薄くするためにビルドアップ工法が用いられ、パターン形成に一般的なサブストレート工法を使う。
微細化をするためにはアディティブ工法を採用することによって、L(ライン)/S(スペース)=25μm/25μm程度まで超微細化が可能とされる。
また、層間を接続するビアホールは面積効率を高めるためにレーザー加工によって極小径化する。内蔵するSMDは、基板厚みを薄くするために基板内蔵用の極薄チップの開発が活発化している。
積層セラミックコンデンサは、最新技術として1005サイズの0.05mm厚で0.1μF、 0603サイズの0.05mm厚では0.01μFを実現。チップ抵抗器では厚み0.15mmの製品が登場した。
電極も基板内蔵に対応して銅電極を採用し、基板内で鋼メッキ接続を可能にしている。
●技術一段と高度化
半導体デバイスの内蔵化は、 WLPを用いている例が多い。その中で、最近では半導体パッケージを特殊な技術で薄型にして利用する技術も開発された。
また、ガリウムひ素(GaAs)アンテナスイッチを内蔵したモジュールが開発されるなど、一段と技術が高度化してきた。
また、 ICチップをウエハーレベルで極薄に加工したものを内蔵するIC内蔵基板が実用化されており、モジュールの薄型化に貢献している。
【記事引用】 「電波新聞/2012年7月5日(木)/7面」