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ルネサスエレクトロニクス、再建難航 日立とNEC、増資に難色 LSI事業の行方焦点 

2012-06-02 | 半導体業界



 ルネサスエレクトロニクスの経営再建が難航しそうだ。事業再構築(リストラ)の原資として日立製作所、三菱電機、 NECの大株主3社が増資を引き受けるかが懸念される。

 現時点で日立、 NECは難色を示している。業績不振の元凶であるシステムLSI事業の立て直しを見いだせるかも問われる。長年の課題である同事業の行く末にめどをつけなければ問題の先送りにすぎず、再建にはつながらない。


●支援の余裕なし

 「あれが最後」。日立幹部は、NECエレクトロニクスとルネサステクノロジが合併して2010年にルネサスエレクトロニクスが誕生した後、こう言い続け、かたくなに金融支援の可能性を否定してきた。

 「あれ」とは、日立を含む大株主3社が新生ルネサスの発足前後に出資した計2000億円を指す。

 日立は09年3月期に巨額赤字を計上した後、社会インフラ事業への回帰を掲げており、半導体事業とは距離を置いてきた。日立はルネサス株式を約3割握るが、一定期間が経過した後は、出資比率を引き下げる検討をしていた。

 追加出資は株主への説明責任が問われかねない。NECも自社の構造改革の真っ直中で、関連会社を支援する余裕がない。

 市場からは「独立会社とはいえ、3社がルネサスの株式構成で約9割を占めるため、NECにも責任が生じる」との見方もあり、今後対応が問われる。

 もうひとつの焦点が複数の機能をワンチップに収めたシステムLSI事業の行方。日本の家電大手の不振が打撃となり、同事業は赤字体質から抜けだせずにいる。


●続く探りあい

 ルネサスは、従業員の3割に相当する1万入超の削減を計画している。

 内訳は明らかにしていないが、システムLSIの主力の鶴岡工場(山形県鶴岡市)やモバイル用システムLSIを手がけるルネサスモバイル(東京都千代田区)が整理対象になっている。

 つまり、システムLSI事業が人員削減の大半を占める。ただ、実現の道のりは平坦でない。

 ルネサスは解決策として、富土通やパナソニックとシステムLSI事業の統合を模索。別会社化することで本体からの切り出しを計画した。だが、富士通とパナソニックは、ルネサスの人員過剰を懸念した。

 加えて、エルピーダメモリの経営破綻が直撃。官主導で進んでいた枠組みだけに、システムLSI事業の統合交渉は停滞。

 ルネサスは鶴岡工場を台湾TSMCに売却する交渉を進めるが、富士通も三重工場(三重県桑名市)を売却したい意図があり、水面下でのさぐり合いが続く。

 赤字続きのルネサスは、マイコン事業に限ると2ケタ前後の利益率と言われている。前身のルネサステクノロジ時代から「マイコン専業会社になるべきだ」との指摘は多かった。

 果たして転身を図れるか。再建策のデッドラインは6月末。残された時間は少ない。





【記事引用】 「日経産業新聞/2012年6月1日(金)/8面」


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