今、日本のユッケは危ない。ユッケを食べたければ韓国に行かなければなりません。
というわけで、ユッケを食べに韓国に行ってまいりました(嘘)。
新しくなった羽田空港国際線ロビー。搭乗口近くの最新型液晶テレビでは、日本の放送局が韓国のユッケ横町を取材しています。
インタビューアー「ユッケで食中毒は起きませんか?」
ユッケ屋のアジュンマ「長いことやってるけど、そんなの一度もないね。うちは衛生管理をきちんとしているからね」
アジュンマはインタビューに答えながら肉塊の外側を薄くそぎます。
(これがトリミングっていうやつか)
しかし、そいだ肉を素手で捨て、その手を洗わずに残りの肉塊をこまぎれにしていきます。
(おいおい、外側についていたかもしれないO111がユッケについちゃうじゃないか)
実に不安をかきたてる映像です。店内にはユッケを目当てに来たお客さんたちで混み合っている。
イン「よく食べるんですか?」
客「ええ。健康のためによく食べますよ」
(出た! モメチョッタだ!)
どうも、韓国では生肉は健康にいいと考えられているようですね。日本で体にいいからユッケを食べる人というのはまずいないでしょう。もしかしたら体に悪いかもしれないけど、おいしいから食べる、というのが普通ではないでしょうか。
さて、出張初日は現地駐在員と会食。会社のそばの仁寺洞のこぎれいな韓国料理屋につれていかれました。主導権は駐在員にあるので仕方ない。頼んだ「モドゥムセンソンクイ(焼き魚の盛り合わせ)」に出てきたのは小振りのサバの開きとサワラの半身、そして太刀魚です。太刀魚は日本ではあまり食べない。韓国らしい一品と言えば言えます。
そのほか、海鮮パジョン、鶏卵チム(韓国風茶碗蒸し)、テンジャンチゲなど庶民的なつまみでまずはビール。私はマックスが好きなので聞いてみると、ない。その代わりに最近出たというハイトの新製品が出てきました。味は可もなく不可もなし。
つづいてマッコルリ。これは二人いる駐在員のうちの一人の好み。もう一人の駐在員は酒が飲めないので、水を飲んで酔ったふりをしています。連れの出張者がトイレから帰ってくるなり、
「ここのトイレ、すごいよ!」
と言います。
犬「どんなふうなんですか?」
出「まあ、行ってきなよ」
韓国のすごいトイレについてはかつて研究したことがあります(→リンク)。
(もはや味のあるトイレは絶滅したと思っていたが、インサドンに生き残っていたか)
しばらくして私ももよおしてきたところでトイレに立ちました。トイレは店の中にはなく、建物の共同トイレです。期待が高まります。この店、店そのものは完璧に改装していてきれいに見えましたが実は建物はかなり古かったようです。トイレの矢印に従って薄暗い階段を降りていくと、ありました。男女共同のようです。
ドアを引っ張ると…。開かない。入っているのかもしれないと思ってノックをします。しかし返答はない。それで今度は力をこめてノブを引きます。開きました。たんに建て付けが悪いだけのようでした。
「おっ!」
トイレそのものは普通の洋式便器なのですが、壁一面に原色で絵が書かれている。
「これか、すごさは…」
仁寺洞は芸術の町。画家の卵が個展を開くお金がなくてここで自作を披露したようです。床には水たまりがあって、匂いが立ち込めている。ドアの鍵は壊れている。たしかに15年前のトイレの雰囲気を今に伝えています。
戻ってみると、もはやお開きが近い雰囲気。一人一万ウォン以下ですみました。安い!
駐在員二人が帰ったあと、知り合いの韓国人女性に連絡しました。実はこの女性(姓を李さんといいます)、少し前にお願いごとをしていて借りがあったのです。その経緯はここで紹介しました(→リンク)。それで事前に二次会で飲もうということで連絡してあったのです。
行きつけのミョンドンのバー。韓国のウイスキーが中心で、スコッチはジョニーウォーカーのみ。
「ジョニ黒か。なつかしいなあ」
と連れの出張者。
犬「大昔は1万円ぐらいしてましたね」
海外旅行に行くと決まって免税店でジョニ黒を買って帰ったものでした。今では免税店でウイスキーを買う人なんで皆無でしょう。大きさは700ミリ、500ミリ、350ミリとある。
犬「350ミリでいいかな」
李「500ミリにしましょう。350じゃ足りませんよ」
ということで500ミリを注文。
犬「この前はすいませんでした」
李「いえ、私も楽しかったですから」
犬「ちゃんと会えましたか」
李「ええ、なんとか。約束の場所で待ってたら、『今、チャムシルなんですけどどうやって行けばいいんですか』って電話がかかってきて驚きましたけど」
犬「えーっ、遅刻したんですか?」
李「ええ、40分待たされました」
犬「ったく、最近の若者は…」
観光ガイドを目指している彼女は、9月まで学校に通って資格試験を受け、合格したら今度は旅行会社への就活なんだそうです。
犬「日本語の試験は?」
李「あ、それはもう受かりました。問題は地理と歴史なんですよ~」
彼女は10年以上前に日本語能力試験1級に合格した実力の持ち主。ブランクがあるとはいえ、いまも会話の中に高度な表現を折り込みながら話すので、感心します。
犬「今日はぼくがおごるから。この前のお礼の印に」
李「でも、でもあのときも自腹を切ったわけじゃないから…」
出「自腹を切る! そんな表現まで知ってるんだ。日本語は特級だね」
李「いえいえ」
犬「そういえば明日ユッケ食べに行くんだけど、来る」
李「行きます、行きます!」
なんだかんだで12時過ぎまで楽しく飲むことができました。500ミリのウイスキーはしっかりなくなりました。
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デパートでは、紙がなく手桶式のトイレが
見受けられました。
バンコクですらそうですから地方では、紙の
あるトイレはそう簡単にはみつかりません。
今はおそらく公共のトイレは紙が置いてある
とおもいますが、どうですか?
韓国の95年ぐらいの地下鉄トイレは紙を自販機で売っていたような。