
写真:ジョン(韓国風お好み焼き専門店の看板)
羽田空港から午後便でソウル入りしました。
市庁前のホテルにチェックインしたのが20時近く。
ロビーで、韓国人の旧友と20:30に待ち合わせていました。2人とも、提携先の社員でしたが、最近退職。今は別の仕事をしています。
皆「パンガプスムニダ」(お会いできてうれしいです)
Kさんとは昨年9月にも会いました。もう一人のIさんは10年ぐらい振り。
K「店は予約しましたか」
私「してないですけど、セマウル食堂なんてどうですか」
K「ああ、ペク・ジョンウォンの店ですね。行きましょう」
ペク・ジョンウォンというのは韓国の料理研究家。セマウル食堂という大衆的焼き肉屋をチェーン展開しています。ところが行ってみると潰れていました。
K「何が食べたいですか?」
連れの日本人(Nさん)は猫舌で辛い物が苦手。実は私たちは羽田空港のラウンジでビュッフェを食べていて、機内食も食べたのであまりお腹がすいていない。
N「クルジョン(牡蠣のお好み焼き)が食べたいなあ」
一同「いいですね!」
ちょうどジョンの専門店(冒頭写真)があったので入りました。メニューにはクルジョンもありました。
私「クルジョンください」
店員「クルジョンは品切れです」
(!!!)
仕方なく、モドゥムジョン(いろいろなジョンの盛り合わせ)と豆腐キムチ、プルコギなどを注文。
私「いつ退職したんでしたっけ?」
I「昨年の10月です」
私「定年退職ですか?」
I「いや、そうじゃなくて…」
K「いちおう、法律では60歳定年なんですけど、実際は55歳過ぎると辞めないとなんない雰囲気なんですよ。名誉退職っていう名の解雇です」
Kさんが解説してくれます。
私「じゃ、今は別の会社?」
I「いや、55歳の再就職は難しいから…」
私「ぺクス(白手、失業者)ですか?」
K「いや、こいつ、いろんなことやってますよ。カリグラフィーを教えたり…」
私「カリグラフィー?」
I「ソエ(書芸)です。ハラボジ(おじいちゃん)、ハルモニ(おばあちゃん)相手に自願奉仕(ボランティア)で」
書芸というのは日本の書道。毛筆で、独自にくずし書きをしたりする芸術の一種です。
K「大学院にも通ってるんですよ。教育学の」
私・N「すごいですね!」
I「いえ、いえ」
私「お子さんは?」
I「息子が二人で28歳と25歳ですけど、会社員じゃなくて…」
K「上の息子はすごいんですよ。会社を3つ経営してる」
私「何の会社ですか?」
I「会社というか…。ま、ゲームセンターです」
私「もう一人は?」
I「ダンサー。えーと、普通のダンスではなくて、こういう…」
スマホの写真を見せてくれます。なんか、音楽に合わせて踊るゲームダンスのようです。ユーチューバーなのかな?
韓国の大学卒の就職が厳しいという話は、前から聞いていました。ゲームセンターにしろ、ダンサーにしろ、本人が本当にやりたかった仕事とは思えない。韓国の就職事情を垣間見ることができました。
私「Kさんの娘さんはサムソンでしたよね」
K「はい。でも、サムスンはもうだめです。つい最近、社長があと5年持たないかもしれないといってました」
私「あのサムスンが…」
半導体で世界をリードしていたサムスンは、台湾企業などに追い上げられて凋落の道をたどっているんだそうです。韓国企業の栄枯盛衰は激しい。
この世相ですから、話が政局に及ばないわけにはいかない。
私「弾劾宣告は今週ですか」
K「金曜日か、来週か。いずれにしても罷免でしょう」
私「最近、与党支持者が増えているとか」
K「だめですよ。いちばん悪いのはキム・ゴンヒ(尹ソンニョル大統領夫人)です。嘘ばかりついてます」
私「でも、ハンドバッグ収賄事件はテレビ局のやらせでしょう?」
K「それだけじゃないんです。これを見てください」
スマホ画面に映ったのはキム・ゴンヒの若いころの写真。

K「あの顔は整形なんです。顔も言うことも全部ウソ!」
私「……」
(韓国の女性は整形していないほうが少ないとも言われてるんだけど…)
K「あしたから仕事ですよね。あまり飲み過ぎないほうが…」
私・N「そうですね」
I「これ、お土産です」
Iさんがくれた封筒に入っていたのは、1冊の本でした。
I「私が書いた詩集です」
私「詩集! 詩人なんですね」
I「まあ、自費出版ですけど」
K「3冊目ですよ。こいつ、すごいんです!」
韓国は日本に比べ「詩作」が盛んで、書店には必ず「詩集コーナー」があります。これまでもいろんな人から自費出版の詩集をもらったことがある。
그리워 그리며 그리고
クリウォ クリミョ クリゴ
私「懐かしく 描きながら そして…」
K「そうじゃなくて、描いて、描きながら、描いて…。うまく訳せないけど、ぜんぶクリダ(描く)の活用形です。言葉遊びみたいな詩が多いです」
Kさんは大学時代、日本語専攻で、日本語ができる。
ページをめくると、毛筆のサインがありました。さすが書芸の先生です。
私「ありがとう。毎日、1編ずつ読みます」
K「またソウルに来るときは連絡ください」
私「また飲みましょう!」
ホテルに戻ったのは11時過ぎでした。
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