司会:女性に、意に反した売春をさせたのは誰か。
秦:朝鮮人慰安婦の身の上話は、時とともに内容が変わる。ある段階から、動機部分の主語がなくなった。おそらく挺対協(韓国の民間団体)が意図してやったのだろう。それは、主語が朝鮮人だからだ。朝鮮人の親が朝鮮人のブローカーに売り、ブローカーが抱え主に売った。抱え主には朝鮮人も日本人もいた。しかし、証言をする親やブローカーは出てこないので、内情はわからない。抱え主は御用商人のようなものだ。親とブローカー、ブローカーと抱え主の間には契約書がある。しかし、抱え主や慰安婦は軍のメンバーではないため、民法上の関係は切れる。軍の責任は問えない。
司会:業者には許可証のようなものがあったのか。
秦:なかった。軍は、女性がどのように連れて来られたかわからない。
吉見:業者は、軍または総督府が選定したものであり、身分は軍属の待遇が与えられていた。
秦:軍属ではない。軍属名簿にないし、軍属なら給料が払われたはずだ。
吉見:無給軍属だ。昭和43年社会労働委員会の厚生省の役人がそのように答弁した。民間人だと軍用船に乗れないし、軍の施設も使えない。
秦:慰安婦が軍属待遇というのはありえない。軍用船の乗船許可を与えるために便宜的に「軍属とみなす」ことにしただけであって、辞令のあるような正式な軍属待遇ではない。厚生省の役人の認識が間違っている。
吉見:外務省の公文書では、慰安婦、業者は「軍従属者」という待遇になっている。また、軍の慰安所では、業者が人身売買や誘拐を行ったかどうかチェックしている。
秦:どのように。
吉見:書類などで。
秦:書類にそんなことを書く人はいない。女も言わない。仕事を失うから。補充はいくらでもいるのだから。
吉見:事例がある。漢口慰安所の軍医の記録だ。日本から連れて来られた、売春経験のない若い女性が、性病検査のとき、「こんな仕事だとは知らなかった、帰りたい」と言って検査を拒否した。これは騙されているのだから誘拐罪に該当する。
秦:騙されたことをどのように立証するのか。
吉見:女性がそのように言っている。
秦:それを信じるのか。
吉見:もちろんだ。その女性は重い借金を負っていた。これは誘拐罪であると同時に人身売買でもあった。これが犯罪だという認識が軍にないのはおかしい。女性は結局慰安所に入れられたが、本当なら女性を解放して送り返すべきだったし、業者は逮捕すべきだった。送り出した警察にも問題がある。
司会:女性は「嫌だ」と言えば帰れたのか。
秦:借金を返せば帰れた。
吉見:返すまでは何年間か拘束されて売春をさせられる。それが性奴隷制度だといっている。
秦:親が返さなければならない。親が売ったのが悪いんだから。
吉見:秦さんはわかっていない。借金を返せば解放されるというのは、人身売買を認めることになる。
〈犬鍋コメント〉
議論の論点は、女性が騙されて売春させられたケースで、女性を騙したのはだれか、というところに移ります。
秦氏は、多くの場合、騙したのは朝鮮人の業者であり、業者は軍の一員ではないので、軍の責任は問えないとする。
これに対し、吉見氏は、業者がやったとしてもその業者を選定したのは軍であり、業者には軍属待遇を与えていたのだから、軍に責任があると主張します。
業者や慰安婦がはたして軍属として扱われていたのかどうか、ここでは意見が割れたままです。
むしろ、面白いのは、被害者の証言に対する見方の違いです。吉見氏は、被害者の証言を無条件に信じるのに対し、秦氏は証言には裏付けがなければならないと考える。これは、韓国の元慰安婦の証言に対する態度にも共通するものです。
そして、秦氏は娘を売る親や甘言を弄した業者も悪いと考えているのに対し、吉見氏は親や業者の責任を問うことはせず、すべての責任を軍や日本政府に帰します。
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