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文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性 P3 P4 (現代ビジネス 2019/08/19)

2019年08月19日 | ネット・ニュースなど

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性 P3 P4 (現代ビジネス 2019/08/19)

訪日客は確かに減っているが…

 韓国経済にはこのようなアキレス腱があるために、まともなマクロ経済政策を打ちにくいのも痛いところだ。

 対外的な経済危機のときには、国内マクロ経済政策として、変動相場制を採用している先進国においては金融緩和によって為替安状態を作り、同時に積極財政によって国内での有効需要を創出する。

 ここでポイントになるのは、金融緩和である。もし、金融緩和を行わずに積極財政だけを行うと、国内で国債発行するために金利が上がり、それが通貨高を招いて輸出減少へつながり、国内での有効需要創出が相殺されてしまう。これが、有名なマンデル=フレミング効果であり、しばしば先進国で見られる現象である。

 しかしいずれにしても、韓国がこのオーソドックスな金融緩和と積極財政を行うと、為替安を誘発し、韓国経済にはかえってマイナスになる可能性があるので、金融緩和を行えない弱みがある。この点も、韓国のマクロ経済構造は日本より不利であるといえる。

 日本に対する韓国の「報復措置」は、こうした条件の上に行われている。(1)日本を「ホワイト国」から外すこと、(2)日本製品をボイコットしたり日本行きの旅行をキャンセルする動き、(3)WTOに提訴する、(4)日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新を行わないといった施策は、日本に対して影響がないばかりか、むしろ韓国自身への打撃になる。

 まず(1)について、日本にとっては痛くも痒くもない。前述した通り日本は内需依存国であり、輸出依存度が高くないからだ。しかも、日本はEUなどから優遇国として扱われているので、韓国からの扱いは、はっきり言ってどうでもいい。

 では(2)についてはどうだろうか。2018年の韓国からの日本への訪問者は753万9000人と、中国からの838万人に次いで2位。3位は台湾からの475万7000人だ。

 しかし、2018年の訪日外国人旅行消費額でみると、韓国は5881億円であり、中国の1兆5450億円に次ぐ2位だが、3位の台湾の5817億円と大差ない。ちなみに1人あたりの消費額でみると、中国18万4000円、台湾12万2000円なのに対し、韓国は7万8000円とかなり低い。

 確かに最近、日本を訪問する韓国人は減少している。昨年6月から今年5月までの毎月の訪問者数を対前年同月比で平均してみると、韓国は4・6%減だ。

 ただし、中国が10・2%増、台湾は0・3%減なので、韓国からの訪問者の減少は中国が補ってあまりある。中国からの訪問者の消費単価は韓国の倍以上なので、全国平均であれば、韓国からの訪問者数減少が日本の消費にもたらす影響は、あまり大きくないだろう。

 むしろ、韓国からの訪問者数の減少が、韓国の旅行業者やLCC事業者など韓国側の企業に悪影響が出ているというレポートもある。先行き業績の悪化を懸念して、韓国LCC各社の株価も低迷しているのだ。

 (3)のWTO提訴については、WTOの上級審は事実上機能していないので、当面の解決策にはならない。

 また(4)について、これはそもそも米国が許さないし、韓国の軍事的協力がなくとも、アメリカとさえ情報共有できれば、日本としては何の問題もない。

 

日本にはまだ手がある

 

 今後はどうなるのか。いずれ韓国はアメリカに泣きついて、政治的な仲介を頼むしかなくなる。

 8月2日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合が開催されているバンコクで、日米韓外相会談があった。ポンペオ米国務長官は日韓での対話を促しただけで、積極的な仲介はしなかった。しかも日米韓外相会談の前日の1日、日米外相会談が行われており、アメリカは日本の事情を理解している。

 つまり、表面上アメリカは日韓のいずれにも肩入れしないが、実際には日米両国が駄々っ子の韓国を持て余している、という状態だ。

 さらに、韓国が感情的に主張する、「日本の措置はいわゆる徴用工問題への報復だ」とする構図も、アメリカからの情報をきちんと分析すれば、あまり筋が良くない。

 アメリカは、いわゆる徴用工問題については「日韓協定により解決済み」という日本の立場を支持していることがすでに明らかになっている。韓国がこの程度の情報さえ入手しないで、感情的に対応しているのは呆れるほかないが、ここでも韓国の勝ち目はなく、詰みの状態だ。

 日本は今のところ「安全保障上の措置」をとっているに過ぎないが、本格的に韓国経済へ打撃を与えようと思えば、まだ手が残されている。

 今回の輸出規制管理の見直しは「モノ」に対する措置であるが、財務省管轄の外為法を使えば、韓国のカントリーリスクを高めることも、金融庁のさじ加減で可能になる。これは韓国経済の息の根を止めうる措置であり、発動すれば1998年の金融危機の再来になるかもしれない。

 韓国は、今回の日本の措置が安全保障上の問題であるという原点に戻って、冷静に対応したほうがいい。

 

髙橋 洋一