10/27 (金)に東京国際フォーラムで開催された、『薬師丸ひろ子Concert Tour 2023~愛しい人~』に参戦してきた。ライブではなく、“コンサート”と呼ぶに相応しい、大人な雰囲気に溢れたステージであったが、今まで参加したライブとは全く異なる感動を覚えてしまった。
僕は元々1980年代から薬師丸ひろ子が結構好きだった。アイドルとしては松田聖子、中森明菜が特に好きであったが、薬師丸ひろ子は普通のアイドルとは一線を画した魅力があったし、女優と歌手の“二刀流”のハシリで、若い頃から“大物オーラ”のある女優であった。女優 x 歌手という意味ではその後、原田知世、松たか子、柴咲コウなどが継承していった。まさに当時彼女が主演していた角川映画などを良く映画館に観に行っていたが、今でも『探偵物語』や『里見八犬伝』などは懐かしい映画館での思い出だ。
そんな薬師丸ひろ子も今年なんと59歳。来年はいよいよ還暦である。彼女は女優として本当に素晴らしいキャリアを積んできたと思うし、今でも第一線で活躍しているのが素晴らしい。まさに息の長い女優である。そして歌手としても第一線で活躍を続けているのは本当に凄いと思う。あの透明感のある高音域は耳、そして心に浸み渡っていくようで、何とも心地良い響きであり、彼女の歌声は唯一無二である。
会場の東京国際フォーラムは、過去に一度倉木麻衣のライブで訪れたことがあるが、ホール会場としてはなかなかの規模感で、設備も素晴らしい。久しぶりに来たが、改めて良い会場であることを実感。立地的にも東京駅や、丸の内・大手町のオフィス街からも近いので、便利である。
そして・・・今回初めて薬師丸ひろ子コンサートに参加したが、大きな衝撃を受けた。
薬師丸ひろ子の見事な歌声は当然CDなどで良く聴いていたので知ってるつもりであったが、生(ライブ)で聴く彼女の歌声は、予想を遥かに超えて圧巻の一言であった。59歳になっても若い頃と変わらない歌唱力に、年輪と共に増した表現力で更に曲に幅が出ている。歌い方も当時と変えることなくオリジナルに忠実で、ただひたすら透明感のある歌声で下記21曲(メドレー曲含む)を熱唱してくれた。
セットリスト
~第一部~
- セーラー服と機関銃
- Come Back To Me ~永遠の横顔
- あなたを・もっと・知りたくて
- 素敵をあつめて
- コール
- 語りつぐ愛に
- 潮騒のメモリー
- うるわしの白百合
~第二部~
- もう一度
- メドレー (星紀行~キャメルの伝説~ / うたかた / 100粒の涙 / 雨は止まない /過去からの手紙)
- 時代
- 探偵物語
- メイン・テーマ
- Woman”Wの悲劇“より
- 愛しい人
~アンコール~
- 元気を出して
- 時の道標
~クロージングBGM~
夢で逢えたら
ミュージカルのように、途中15分の休憩を挟んで2部構成となっていたが、2時間を超える素晴らしいコンサートであった。最初はドラムのソロから始まり、そして豪華な赤いドレスで薬師丸ひろ子がステージ中央に登場!そしていきなり『セーラー服と機関銃』に曲が展開されて掴みから最高!2曲目の『Come Back To Me』はユーミンから数年前に提供して貰った比較的新しい曲だが、とてもいい曲だ。そして僕の大好きな『あなたを・もっと・知りたくて』が3曲目に来て、気分は既に最高潮。中盤、NHK朝ドラ『あまちゃん』でお馴染みの『潮騒のメモリー』を届けてくれて、会場も大いに盛り上がった。
そして第2部は、竹内まりや提供曲の『もう一度』から始まり、これまでのアルバム曲、B面曲から5曲をメドレーで披露。そこから終盤怒涛のヒット曲ラッシュ!やっぱり、『探偵物語』、『メイン・テーマ』は懐かしいし、改めて聴くと実にいい曲であることを痛感する。そして歌唱という意味では、やっぱりユーミン作曲の『Woman”Wの悲劇”より』が最高である。“あ~、時の河を 渡る船に オールはない 流されてく~”、とサビ部分は薬師丸ひろ子の切ない高音ボイスが最も見事に表現されており、生で聴くと更に心が揺さぶられる・・・。いや~まさに感動ものである。アンコールでは、これも竹内まりや提供曲として有名な『元気を出して』、そして来年1月に発売予定の6年ぶりオリジナルニューアルバムに収録される予定の新曲、『時の道標』を先行披露してくれて、見事なセットリストが締めくくられた。
今年も松田聖子、森高千里、ユーミンなど多くのライブに参戦する機会に恵まれたが、薬師丸ひろ子のライブはまた他とも全く違う魅力に満ちた、素晴らしいコンサートであった!健在どころか、進化していたその透明感のある歌声は見事で、とても大きな衝撃と感動を受けた。そして、意外にも薬師丸ひろ子はコンサート中にかなり多くのMCを挟んで会場との一体感を醸成していたが、何とも可愛いコメントも多くて、その人柄にも改めて惹かれてしまった。派手な演出は一切なく、それがむしろ薬師丸ひろ子の美しい歌声をただひたすら届けるのに最適な形式であり、このシンプルさが素晴らしかった。来年もまたぜひ参戦したいと思わせるコンサート体験であった!