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コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

コケ目になれたかな!?(「お寺 de コケさんぽ in 池上」その3)

2012-06-21 11:24:25 | 東京コケスポット

▲苔庭の定番、ウマスギゴケ。本妙院の庭にて(2012.6月 東京都大田区池上)


さて、ちょっと日があいてしまったが
「お寺 de コケさんぽ」ののつづきおよびまとめ。

池上本門寺の裏手にある庭園で1時間ほど
各自コケ目になってコケ観察をした私たち。

次は早水住職のお寺、本妙院へ向かった。



▲まずは涼しい本堂でちょっと一休み。さらに本堂のご本尊や日蓮宗についてなど、
 普段はなかなか聴く機会がない仏教について住職にお話しいただく。


そしていよいよコケ観察、第2ラウンドがスタート。

本妙院のお庭でコケを見るに際しては、
このような、ちょっとこだわりのテキストを用意した。


▲テキスト表紙。見た目はテキストというより「コケさんぽのしおり」といったところか。



▲中を開くと、本妙院の庭で見られる主なコケを写真と短いコメントで紹介。
 余白には、実際に庭で見つけたコケを張ってもらう。



▲裏面。池上本門寺、本妙院を含む周辺地域MAP。
 実はこの日のために地図は永井ひでゆきさんに描いてもらった。


池上本門寺の庭でコケに目をならした前段階をふまえて
ここ本妙院でのコケ観察のコンセプトは、

「皆さんがどれだけコケ目になっているか、
 自分でコケを探し出して証明してもらおう!」


というもの。

本妙院の庭を自由に歩き回ってもらい、
テキストに載っているコケ8種類を探し出してもらうという
宝探しならぬコケ探しスタイルである。

そして正解していたコケについては
採取してセロテープで余白部分に張ってもらい、
即席標本として持って帰ってもらう。

こうしておけばコケの姿かたち、スケールも一目瞭然、
さらに自分が発見したことなどもメモしておけば、
今後、身近なところでコケ探しをするときにも
このテキストが自分だけのミニコケ図鑑として使えるというわけだ。


そして裏面にMAPを載せたのもこだわりポイントで、
今回訪れた池上本門寺と本妙院、さらには他のお寺や梅園など
池上周辺のコケスポット、さらに住職オススメのグルメスポットを掲載した。

というのも今回のコケさんぽをきっかけに、
またコケさんぽをしに池上の街を訪れてもらえたら、
さらにさんぽ途中に地元の美味しいものなどを食べて帰ってもらえたら、
コケも地域に少しは貢献できるかもという考えがあってのことなのである。



さてさて、前置きが長くなってしまったが本妙院でのコケさんぽの様子、
実は私自身がガイドに忙しく、写真をほとんど撮ることができず・・・(残念無念)。



▲唯一撮っていた本妙院の庭での写真。テキストを手にホンモンジゴケを観察されている参加者さん。
池上本門寺の五重塔とはうってかわって、こちらは青々として状態も良好だ。


おそらくほとんどの皆さんはテキストにあるコケを発見されていたと思う。

ただ中には、まったく別の種類を間違えてテキストに張りつけていたり、
ツメクサ(種子植物)をコツボゴケと思われていたりする方もいて、
ちょいちょい「あっ、それは違う!」ということもあった。

しかしこうしてコケ目になることで、他の小さな植物や地衣類、虫など
庭に息づく小さな命たちの存在にも気づかれたりと、
プラスアルファの発見があったようだ。



▲観察後は室内に入り、座学で初心者向けコケ講座。
 コケドリンクと池上名物くずもちを頂きながら。






▲ちなみにコケドリンクはもちろんコケは使っておりません(念のため)。
 ただし、「苔の白」という御名のついた抹茶を使用したのが隠れたこだわり。



さらに座学の後は、参加者の皆さんのコケファッションチェック。
コケから連想して緑の服を着てこられた方は多かったが、
私のコケ友Yさんはなんと、本物のコケとキノコ(しかもスーパーで売っているシメジ)を埋め込んだ自作のヘアゴムを着用。
アイデアもびっくりだし、かわいいしで、個人的にかなりテンションが上がった。





▲こちらもヘアゴム(Mさん持参)。
前日に百均で買ったというヘアゴムの布の白地部分を、緑のマジックで塗るだけという簡単リメイク。
このモコッとした丸さがまさにコケの群落のよう。ナイスアイデア!


最後は、拙著「コケはともだち」のイラストを担当してくださった
永井さんがコケ好き女子の恋愛指南を説いた紙芝居を披露。そして19時前に解散。

時間にしてわずか5時間ちょっとの会だったのだが、なんだかコケとそしてコケ好きの皆さんと
「丸一日、触れ合った~!」と感じるくらい、とても濃厚な時間を過ごした会だった。

参加者の皆さんも私と同じ思いでいてくれたら、さらに嬉しいのだが。
でもまぁ、まずは「コケ目になる面白さ」だけでも発見してもらえていたらいいなと思う。


またチャンスがあれば、ぜひ今後もこのようなイベントを開催したい。

ただし人数がちょっと多すぎたので、
もし今回のように大勢に集まって頂けるなら、
次回は2回に分けたほうがいいかな!?



▲解散後、リトルモアのスタッフの皆さん、早水住職(普段着に着替えずみ)、永井さんと一緒に記念撮影。
 前列の住職がコケ色の強い人たちに挟まれちゃってます。



●おまけ

本妙院の庭で、コケ界の錬金術師「ヒョウタンゴケ」と偶然遭遇!





わりと人に身近なコケで、庭や植木鉢、たき火の後の焦土などアンモニアを多く含む土によく生える。
なぜ〝錬金術師〟かというと、最近の研究でこのコケが体内に金(ゴールド)を蓄積する能力が偶然発見されたから。

とはいえ、触ったりピンセットで分解したりしたくらいでたやすく金が採れるわけではなく、
特殊な装置を使って細胞レベルに溜まった微量の金を回収する技術があることが大前提なのであしからず。

※参考:理化学研究所ホームページより
 理研ニュース2011.1月号特集「コケ植物でグリーンイノベーションを実現する」
http://www.riken.jp/r-world/info/release/news/2011/jan/fea_01.html



▲初夏にできる(サク)は洋ナシ形。

若いころは黄緑色、その後、熟していくと、黄色→オレンジ→茶褐色と色が変化していく。
ランタナみたく、そのカラフルな色の変化を見るだけでもじゅうぶん楽しい。


▲熟し、朽ちかけた(サク)。