▲「すみません!」「いやいや、もういいから」・・・って、土下座じゃありません、コケを見ているんです。松濤園にて。(東京都大田区池上)
風前のともしびな五重塔のホンモンジゴケを確認した私たちは、
そこから徒歩10分ほどのところにある、池上本門寺所有の庭園「松濤園」へ。
普段は一般公開されていないのだが、
今回のコケ観察のために特別に入れて頂く。
▲松濤園
なんせ予想もしてなかったこの大所帯(もちろん嬉しいのですが)。
ルーペでコケを見たことがある人もいれば、見たことない人もいる。
種類をすでに相当数ご存じの人もいれば、そうでない人もいて、
「コケを観察する」という点においては、
今回の参加者の皆さんのレベルは実にさまざま。
そこで今回は超初心者に全員足並みを揃えて、
「まずはコケ目(め)になろう!」
を今回の第一目標とすることに。
コケ目になる、つまり「コケに目を慣らそう」というわけです。
それにはまず、体の中の「コケ目スイッチ」を
ONにすることから始めなくてはならない。
といってもなにも難しいことはなく、ポイントは一つだけ。
歩くときに「視線をいつもより意識的に下げる」のだ。
そうしてコケのことだけを考えて歩いていると、
自然とコケの方から近づいてきてくれるというもの ←(そんな気がするくらいコケ発見率が高くなるって意味ですw)。
でも下を向きすぎて首が痛くなったのでは困る。
時々は頭を上げて、ぜひあたりを見回してほしい。
なぜってコケは地面だけじゃなく、
木や岩、石垣などにもいるのだから。
そんなことを皆さんに説明しつつ、
ルーペの見方も簡単に指南していざ庭へ。
▲人数が人数なので、早水住職チームと私チームに分かれてコケさんぽスタート。
今回は初心者でも何回か観察すれば、
すぐに同定ができる大型のコケを中心に紹介。
▲ルーペによる各コケの特徴の見方や、霧吹きで水をかけながら休眠状態のスナゴケについて説明。
また、↓このように↓事前に群落の中にちょこちょこコケPOPを挿しておき、
私や住職が側にいなくても、何ゴケかわかるようにしておいた。
▲スナゴケ
▲ギンゴケ
▲フタバネゼニゴケ
このほかコツボゴケやナミガタタチゴケ、ジャゴケ、
ミカヅキゼニゴケなど大型のもの10種近くについて一通り説明をして、
あとはフリータイム。それぞれにコケとの時間をすごしてもらう。
▲左:コツボゴケ、右:ミカヅキゼニゴケ
▲フリータイム。コケを見る人たち。
写真なゆえ躍動感に欠けるが、
これでも皆さん、けっこう盛り上がってます!
「おぉ~」とか「わぁきれい!」「かわいい」とかあちこちで感動の声がする。
そうそう、そうなの!コケってきれいなの!かわいいの!
お一人で参加された方も多かったのだが、
皆さん側にいる人同士で感動をわかちあっている。
「いつもはコソコソとしか見れなかったんですけど、今日は堂々と見れて嬉しいです」
と言ってくださる方も。
そうそう、そうなの!
コケを一人で見てると怪しまれるからね。
わかります、その気持ち。
また、
「これがギンゴケで・・・こっもギンゴケですよね?」
と別種のコケ(おそらくギボウシゴケ科の一種)を指して言う人もいる。
わかる!似てるけど、でも違うんですよ!
「えっ、違うんですか!? ギンゴケが乾燥したらこうなるんだと思った」
ではこの黒っぽいコケに霧吹きで水をかけてみましょう。
コケが乾燥した休眠状態から、
水を含みモコモコと膨らんで緑を取り戻していく。
「うわっ! 全然ベツモノになった!」
「コケって、奥が深いですね~」
本当に。パッと見ただけじゃ、
たしかに種類の区別がつけにくいですよね。
でも不思議でおもしろくて、
もっとコケのことを知りたくなってきませんか?
最近の私といえば、なじみのコケ友たちとプチ観察会をしたり、
日本蘚苔類学会の観察会などに参加したりと
ディープなコケワールドにどっぷりとつかっていたもので
初めてコケと出会ったときの、
「なんかよくわからんけど、すごいモノ見つけた!」
っていう新鮮な感覚からちょっと遠のいていたのだけど。
皆さんのおかげで、久々にあの興奮を思い出すことができた。
こんな感じで1時間ほど松濤園でコケ観察をしたのち、
次は早水住職のお寺、本妙院へ向かう。
<追伸> 参加者の皆様
写真は真正面や個人をアップにしないように気を付けていますが、
もし顔出しNGの方がいらっしゃったら、ご一報ください。
当日バタバタしていたもので、皆さんにブログに載せることを言えずじまいでした。すみません!