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アトピー性皮膚炎にたいする減感作療法

2015-03-04 23:33:06 | Weblog
昔に習った、アトピー性皮膚炎に対する減感作療法・・・、
理屈は理解していたものの、あまりに面倒くさくてとてもやる気にはなれませんでした。
忙しい日々の中でやるには、あまりに煩雑すぎ、専門家の仕事だろうと考えていました。

しかし最近提案されてきた、新しい減感作療法は検査が陽性の犬にだけ実施する上に、
週一回で計6回で終了できるシステムなので、最近がんばって実施しています。

仲間うちでは、「そんなに劇的には効かないよ・・・」

と聞いていたのですが、なかにはすごくよく効いてくれた子も出ています。
少なくとも、全く効果が無かったな・・・というケースはないですね。
それ相応の改善効果は出ていると感じています。

何度も何度も皮膚病を繰り返す犬がいて、獣医師の頭を悩ませます。
種々の感染症や食物アレルギー、脂漏や湿疹体質など、原因が複合的で分析が難しいのが、皮膚科です。
それが動物病院の仕事のおよそ30%を占めていますから、皮膚病苦手では獣医さんはできません。

外科が好きな私は「一発全治」を目指すほうが性格に合っているんですが、
コツコツと理詰めでいく内科の典型である・皮膚科は案外深い興味をもっています。
「形成外科」的な視点で皮膚病を観察しているせいか、ごく普通の皮膚科の診たてとは違うと自覚しています。

研修医の頃に、初めて皮膚科を教えてもらった先生二人が、異なるタイプであったことが幸いしました。
コテコテの内科系皮膚科医の先生と、外科手術をするが皮膚科も診ている先生でした。
双方共通の概念もありましたが、やはり外科の視点がある先生はちょっと感覚が違っていました。

どちらがいいとか、悪いとかではないのです。
観察している目、解析している世界観が違うのですね。
未知な部分がまだたくさんあるのが皮膚科です。
専門家から「ニキビダニは培養できないから生態がよくわかっていない・・・」
と伺って、ちょっとびっくりしたことがあります。
また毛包で「ブドウ球菌がなぜ感染するのかはわかっていない・・・」
これも当たり前に考えていた身からすれば未解明・不思議です。

分からないことはわからない、とはっきり自覚して、できる「火消し作業」をやっています。
皮膚科はなかなか奥が深く、新型の減感作療法という新しい武器を手にできて幸いでした。
私の場合、わけがわからない場合はバイオプシーして病理の専門家の意見を聞いてしまいます。



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