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歯の処置には全身麻酔が必要!

2010-01-30 18:16:42 | Weblog
人間の歯科医院の現場では、痛みを伴う処置に大半は「局所麻酔」で対応していると思います。
中には、痛みやモーターの音などに不安を感じる患者さんもいるようです。
鎮静剤を点滴してリラックスしてもらい、その間に処置を行う「リラックス外来」も行われています。
子供や障害のある方で説得が困難な場合には、特に重要なテクニックとなります。

動物の歯科治療の場合は、治療に対する説得や協力は期待できません。
「少し右を向いて下さい」とか「もう少し口を開けて」など、不可能な訳ですね。
そして麻酔をかけないと、こちらが咬まれてしまう可能性も多分にあります。

特に動物の歯科治療の場合は、記憶に残らないように処置を進めることが重要です。
一度嫌な思いをさせて記憶に残ってしまいますと、もう次から口を開けて見せてはくれないのです。
動物病院で丁寧に処置をしても、その後自宅でのホームケアーができなくなってしまいます。
また頻繁に殺菌水で洗浄しますので、気管チューブを挿入しておかないと、
誤嚥(ごえん)して肺炎を引き起こしてしまう可能性があります。
この視点でも、全身麻酔と気管内挿管が必須と考えています。

今日は心臓に持病(?)がある犬の歯の処置をしました。
普段は異常なしで、検査でも異常はひっかかってこない。
でも麻酔をかけると異常が目立ってくる。そういう子です。
以前に他院で麻酔をかけて危篤になり、危なかった経歴があります。
2年くらい前に麻酔をかけた際もやはり術中は不安定でした。
今回もやや不安定ではありましたが、トラブルなく乗り切りました。

飼い主さんの中には麻酔に対する不安を訴える方もおられます。
絶対安全という訳にはいきませんが、たいていは安全に終了できます。
手術や処置そのものより、麻酔に対して神経を使うことがけっこうあります。
現在、初心者の獣医師向け雑誌に、「私の好きな麻酔方法」の原稿を書いております。
締切が明後日なんだよな~・・・。



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