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タップちゃんの看取り・・・

2009-06-04 00:00:11 | Weblog
先週から10日間入院していたタップちゃんを、一時退院後に再入院して看取らせていただきました・・・。
ラブラドール・レトリバーの15歳、かなりのおじいちゃん犬ではありましたが、
つい最近まで全く病気ひとつしない頑丈なワンちゃんだったそうです。

当院は初診でしたが、立てない状態の大型犬で口から出血しているとのことなので往診しました。
お家にうかがった時には脱水状態で立てない感じであり、口からの出血が認められ弱っていました。
すぐに持ち帰ってすぐに総合検査、左側顔面の腫大が悪性腫瘍があることはすぐに判明していました。
サンプルを専門家に確認してもらったところ、厄介な「メラノーマ」(悪性黒色腫)と判断されました。
細胞を顕微鏡で観察して、当初その形態からメラノーマだろうとは感じましたが、
通常よくある黒い顆粒が観察されなかったため、その場での判断は避けて専門家の判定を待ちました。
少々お時間はかかりましたが、無色素性のメラノーマと断定していただきました。

診断はついたものの、すでに進行していて下顎や頬部の骨が破壊されていたため、
よい治療方法の選択が提案できず、飼い主さんご家族にはつらい思いをさせてしまっていたと感じました。
外科手術の適応時期は過ぎている、放射線治療を行うには東京まで犬を運ばなくてはならずかつ麻酔が必要、
抗がん剤は効く可能性が低く、他の代替医療は根拠に乏しい・・・。
非常に悪性度の高い腫瘍であるため、希望的なことが言えなくてご家族にはつらい思いをさせてしまいました。

毎日お見舞いに来てくださり経過をみてきましたが、予後(今後の経過)は不良というつらい状況の中、
いったんは自宅へ連れて帰ってあげよう、ということになりご協力させていただきました。
車でお運びした時のうれしそうな顔・・・忘れられない表情でした。
その後お亡くなりになるのですが、帰る時は悟っていたというか覚悟ができていたのか妙にいい子で、
この子は全部わかっているんだなあ、と感じました。

再入院して私と二人になった時に、「もう少し家族の方々と一緒にいたいだろうが、おまえこのまま行くとしんどいぞ・・・」
話しかけたらおとなしくなって、「わかってますよ」みたいな目で私をみてくれていました。
その後は、ご家族のお姉さんが付き添って看取りました。
皆に迷惑をかけず、本当にいい子で旅立っていきました。
看護師の菅野と小林も一緒でしたので、彼女たちが前週の入院担当であったこともあり、
涙の中でのお別れとなりました。
タップちゃん、私にお迎えがきたら天国で会おうな。 合掌

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