ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

サン・ルイス・オビスポ周辺探訪 その2

2021-09-28 11:10:49 | 生活
 サン・ルイス・オビスポ周辺探訪とは、筆者が2021年のレイバーデイ連休に、カリフォルニア州のやや南に位置するサン・スイス・オビスポ周辺を探訪した記録である。サン・ルイス・オビスポの安宿からソルバングへは、101号線を南へ約1時間のドライブだ。前日からの疲れもあったので、午前中はサン・ルイス・オビスポでのんびり過ごそうかとも思ったのだが、今回の探訪で最も有名な観光地のソルバングでは、土曜日の方がイベント事に期待ができると考えたのだ。サン・ルイス・オビスポから小高い丘を一越えすれば道は砂浜沿いになり、海を楽しむ人々のための別荘のような家々が並んでいる。だがそこを抜けて再び内陸へ向かえば、都市の間には山々とワインのブドウ畑や牧草地があるばかりだ。朝は海風の影響で曇っていたが、日が高くなると雲はなくなり晴れてきた。



この探訪の詳細は以下の通りだ参考にしてもらいたい。



①ソルバング
ソルバングの町は、むき出しの黒い木製の梁や柱、白塗りの壁、そして傾斜の大きい三角屋根のメルヘンチックな建屋で統一されていて欧風な雰囲気がある。メインストリートにはデンマーク風のベーカリーや北欧ファッションブランドの店など、観光客相手の店が並んで賑やかだ。もとはといえば19世紀後半から20世紀前半の期間に、経済貧窮から多くのデンマーク人が米国に移り住み、コミュニティを作ったのだという。といっても今のようにデンマークをフューチャーし始めたのは、ロスからほど近い立地も利用した観光産業目的な風合いが強いようだ。要は長崎オランダ村的なものと言ってもいい。それでも一般的カリフォルニアの町とは全く違った風景は楽しいし、この地のデンマークコミュニティ設立に尽力した人の像などもあって歴史を感じつつ、通りを歩いた。



②ミッション・サンタ・イネス
デンマーク風に模された賑やかな観光通りを歩いても、残念ながら孤独な30代独身日本式サラリーマンはその楽しみを他の人々のようには満喫できない。だが東端に静かな教会があった。ソルバングはもともとはスペインカトリック教会の先住民への布教伝道、所謂ミッション・カリフォルニアのための町であり、そのための教会(伝道所)が残っているのだ。先住民へのカトリック布教には残酷で、キリスト教を簡単に嫌悪できる歴史があるのだが、今の教会は喧騒に隣接しているにも関わらず静かで穏やかな姿を残していて、30代独身日本式サラリーマンにはむしろ居心地がよい。ベージュの粘土壁の南欧風建築や十字架に、ソテツやサボテンの中南米風の植物がエキゾチックな魅力を添える。教会は入館料を払えば中も見ることができ、入植当時の様子をうかがい知ることができる。庭園はきれいに整備され、鳥や蝶がのんびりと生活している。カトリックならではの偶像や十字架が盛りだくさんで、当時の彼らの敬虔さと共にややオカルティックな雰囲気も楽しいものだ。小さなギフトショップで買ったしおりにはアッシジの聖フランシスコの画が描かれていた。ウィキによればこの人はフランチェスコ会の創始者とされる10~11世紀のイタリアの修道士で、考え方はやや初期仏教に近いように見える。これが数世紀経後には侵略・殺戮を肯定する考えになるのだから、ニンゲンは永遠に鏡を見ることができないまま滅びゆくのだろうと、そう思う。




③バイキング・ガーデン・レストラン
そしてニンゲンは腹が減る。教会を出れば昼時前だ。食堂が混雑して孤独にさらされる前には食事を済ませようと、教会脇にあったバイキング・ガーデン・レストランに入ることにした。店名、それにレンガ造りの外観や北欧っぽいフォントの看板などがいかにもデンマーク料理のお店だと期待したが、メニューにはハンバーガーやメキシコ料理がずらりと並び、デンマーク料理は数種類あるのみだ。そして店員もヒスパニック系の人々だ。いちおう伝統的デンマーク料理の“BIKSEMAD”というものを注文した。出てきたのは、ハッシュドポテトの上に牛肉と玉ねぎをグリルしたものが載り、さらにその上に目玉焼きが載ったものだ。なかなかおいしくて、デンマークビールと楽しむことができだ。付け合わせはキャベツの漬物とさらにマッシュポテトで、ジャガイモが多めなので見た目よりもヴォリュームがあって腹が膨れた。


 
 デンマークは国民の幸福度がとても高いとのことで、インターネットではいろいろな人がその理由を考えて、書いている。国民全体に競争意識が高くなく、争いを好まずに共存する意識が高いようだ。日本の次に長い歴史を持つ王室もその国民性に一役買っているのかも知れない。だが筆者の予想では、EUに加盟せずに自国通貨を使用していることや、エネルギー・食糧の自給率が高いことから、外部の影響をあまり必要とせずに暮らせる地盤があるのが理由ではないかと想像する。つまり強い国なのだ。強ければ、生活はできるだけ誰とも関わらない方が幸せだ。弱い30代独身日本式サラリーマンはどうしても、『ソルバングは土曜日に行けば楽しいかな・・』と、外部に期待したりするから厄介だ。期待するがゆえに傷つく。その後も繁華街の本屋や雑貨屋や靴屋を見て回ったりしたが、ほどなくしてすることが無くなり、サン・ルイス・オビスポに帰ることにした。まだ夕暮れには時間があるので、帰り道はいろいろと寄り道しようと決めた。

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