色々、大変な状況ですが。
諸々、ここまで大変になる以前に、東京に行っていたんですね。
で、意気揚々と銀座を闊歩し、「チョウシ屋」さんのコロッケを買い、銀座の片隅で齧り付いた後に、この町中華へと向かった訳です。
「チョウシ屋」さんから徒歩三分ほど。
まだコロッケをモグモグしつつ目にしたのは、何か「朝のテレビ小説」に出てくるかのような「ハイカラ」な風景。
思わず写真を撮ってしまいました。周りのビルより建物が低いのは、このお店の歴史を表す証拠ですね。たぶん。
映画のセットにそのまま使えてしまうような、瑞々しいまでのレトロ感。
さすがは大正時代から続く、町中華の老舗「萬福」さんです。
店内にはカウンターとテーブル席。モダンな内装に、年季の入ったアイテムが至る所に。
アクリル板の仕切りが置かれたカウンター席に座り、まずは瓶ビール。
期待通り、「赤星」があるのがありがたい。渋い店には「赤星」があるもんです。
換気のため、入口が開け放たれて割と涼しい風が吹き込んでましたが、町中華といえば瓶ビールです。
お料理は最初にエビチリを。この盛り付けにも郷愁を感じます。チリソースは辛さも程よく、エビはこれまた期待通りプリッとしています。
もう一品、何か欲しくなって卵とキクラゲと豚肉の炒め物を。オイスターソースの風味は、ビールにもご飯にも合います。
そして、外せないのが餃子。
そして、外せないのが餃子。
ニンニクの入っていない餃子ですが、肉と野菜の旨味は十分。
一度、茹でてから焼いているらしく、そのためか、まるでパイのようなサクサク感ともっちり感。
元々、焼き餃子は冷めた水餃子を温かく食べる為に焼いたのが始まり、なんて説もありますから、それに倣った焼き方なのかも。
そして「萬福」の真骨頂。
「中華そば」です。
美しい。
直角二等辺三角形の形をした薄焼き玉子が独特。
チャーシューに、ナルトにメンマ、そしてやはり「中華そば」にはホウレン草が必須。
スープはひたすらあっさり。
澄み切った動物系の出汁に醤油が香り立つ。
これが老舗町中華の味かと、しみじみと食べてしまいました。
こちらのお店、元々は洋食と中華を両方出していたらしく、メニューには「ポークライス」なるものも。
ケチャップで炒めた「チキンライス」の豚肉版、といったところだと思うのですが、写真などを見る限りは完全に洋食。
これも食べたかったのですが、前菜がコロッケでしたし(笑)、やむなく今回は諦めました。
それにしても、この雰囲気でいただく町中華は格別。
ふと、窓の外を眺めたら「モダンボーイ・モダンガール」が歩いていそう。
そんな事を思いながら、中華そばのスープを飲み干しました。
いやはや。
「チョウシ屋」さんにしても「萬福」さんにしても、やはり東京の老舗には、積み重ねた歴史に裏付けされた凄みがあるなぁ、と感じましたね。