手相と医学
先日 中国人の男性が来院されて、指と指の間の隙間を埋めて欲しいという相談を受けました。理由を聞くと、占いで指の隙間からお金がこぼれてしまうと言われたということでした。脂肪を移植したり、安全な吸収性の物質を注射するなど治療自体は可能でも、一般的には、あまり治療の例がない事と、本来の美容医療的目的とは異なることなど説明し再考を求めました。また私の指も同様に隙間があること見せると、納得したように笑って帰りました。日本や韓国でも同じような手相(指相?)判断は聞いたことがあります。多分、昔 裕福で肉付きのいい人は手指もふっくらし、貧しい人は痩せて、手指もゴツゴツ骨ばって隙間だらけに見えたからではないかと想像します。
手相は3千年から5千年前 古代インドから発祥し、中国や中近東、ヨーロッパへと伝わったと言われています。ギリシャでは特に広まり、プラトンやアリストテレスも手相に関する著書があります。中国では、運命判断とともに、その人の健康状態なども診る手段としても用いられました。漢方医学で、手掌に多くのツボがあることは良く知られていますし、‘手掌医学’という学問まで存在するぐらいです。一方 現代医学でも、手の色の変化や、特徴的な指や爪の変形は、患者さんの診察時に診断のための重要なサインとして知られています。肝臓に障害のある人が、手のひらが赤くなったり、黄疸の人は黄色く変色したりするのは、よく知られている例です。ちなみにミカンを食べて黄色くなるのは柑皮症ともいって、ミカンに含まれるカロテノイドという黄色い成分が脂肪細胞に溜まって一時的に起きる事で、勿論心配ありません。
ところで、逆に指と指の間に隙間が全くない人は、手相学ではどうなのかと調べてみると、「自己中心的で他人のために何かするようなことはせず、欲張りな人が多い。」とありました。やはり手術を勧めなくて良かったようです。
アジアン美容クリニック
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