美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

美のバランス

2013-05-16 12:59:38 | Weblog

 

 美しさにも法則があるのでしょうか?デザインを専門とする人は勿論、建築家から芸術家、そして美容外科医・・・少しでも普遍的なバランスや客観的な美の存在に関心のある人間なら追い求めているものです。そんな法則の一つとして黄金比、あるいは黄金分割という言葉は誰も一度は耳にしたことがあると思います。黄金比と言われるものの定義は、紀元前300年ごろに、幾何学の一体系を創始したユークリッドによって外中比という言葉で「線分を aとb の長さで 2つに分割するとき、a : b = b : (a + b) が成り立つように分割したときの比 a : b のこと」とされました。ちょっと文章ではわかりにくいかも知れませんが、a:b=1:1.618…となりますからおおよそ5:8くらいの比率となります。

 黄金比が用いられている例として、ピラミッド(底辺と高さ)、パルテノン神殿、凱旋門、ミロのビーナスなどの歴史的建造物や彫刻、そしてダビンチの絵をはじめとする数々の名画や芸術作品がよく紹介されます。しかし、これらが本当に黄金比を意識して創られたものかは明確な結論は出ていません。しかし、私たちの身近にあるものとして、名刺や様々なカード類、新書版、たばこのパッケージなどの長方形の縦横が5:8の黄金比であることは偶然ではありません。円を二つ縦につなげたとき、多くの人が最もバランスが良いと感じるのは直径が黄金比の雪だるま型です。黄金比にはヒトが感覚的に安心して入れやすい何かがあるようです。その理由を説明する一つに、自然界にみられる形や現象が関わっていると考えられています。ひまわりの種の配置やオーム貝のらせん模様、気が枝分かれす数やミツバチの雄雌の比率など様々なところに黄金比は現れます。つまり自然に慣れ親しんだ比率であるからこそ美しいと感じると解釈できます。また人間の視野の縦横比もほぼ黄金比に近く、それゆえテレビの画面比率が決められたていますから、これもこの比率が受け入れやすい理由かもしれません。

 顔の黄金比から理想的な美男美女のバランスを評価する論文も出てきました。確かに、その比率で写真を合成すると欠点のない美しい顔が出来上がります。しかし、韓国のことわざに「自分の目に眼鏡」というのがあります。日本流で言えば「アバタもえくぼ」、美の法則は一つの法則では解き明かせません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 学ランとキョボク(校服) | トップ | 新専門医制度 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事