美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

医療崩壊とは?

2009-10-24 15:17:26 | Weblog

 

医療崩壊とは?

 2009WHOの保険統計によると、日本人の平均寿命は83歳で、昨年続いて世界一です。その要因は、社会的安定、経済力、食生活、地理的要因など総合的なものでしょうが、誰もが手軽に医療サービスを受けられるという国民皆保険制度が大きく寄与していることは間違いないでしょう。しかし、世界に誇るべき日本の医療制度が危機に瀕していると言われ、‘医療崩壊’という言葉まで度々使われるようになった背景は何でしょうか。

 私が以前、形成外科医長として勤務していた病院で、数年前に外科が診療科からなくなったことを聞きました。何か問題を起こした訳ではなく、結局 病院の経営上 採算が合わないからという事情のようです。今の保険点数では、高度化した様々な手術機械、薬などの経費を補うには至らず、手術をすればするほど、赤字になるものもあり、入院後のケアーなど人的負担を考えると致し方ないと考える病院もここだけではありません。一方、病気が治らなければ、医師が責任を問われがちな最近の風潮で、救急医療や小児科、産科などから撤退する病院、医院、医師も増えています。結局医師の特定科や、都市偏在現象が生まれる所以です。

 日本も韓国も少子高齢化社会に向かって突き進んでいます。高齢者が増えれば、当然、病人も増えますが、半面、労働人口は減少するため、医療費を賄う財源は、不足します。そのため、国は医師数と医療費を抑え続けてきました。2007年経済協力開発機構(OECD)による医療実態調査では、人口1000人あたりの医師数は、日本は2.0人、韓国は1.6人と加盟国中下から4番目、2番目の少なさです。

 医療費は抑えられ、医師数は不足しているにも拘らず、高度な医療を、誰でも何時でも手軽に、受けられる日本のシステムは、奇跡だと感じる諸外国の専門家もいます。しかし、実態は、過酷な条件化でも献身的に働いてきた医師たちが支えてきた面もありました。

 医療崩壊とは、社会構造の変化の中、医療現場でようやく支えてきた柱が、高齢化という重さと、柱自体の老朽化で崩れ始めたことであり。一部政治家の票集め目的でのリップサービスや医師の怠慢、努力不足のみを取り上げるマスコミの報道で解決できるレベルではない、危険領域だと思います。

 

アジアン美容クリニック

 

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