2015年、十二支では未年。漢字の「未」は象形文字で木の上端に生えたまだ伸びきらない部分を表したもので、故に「未だ~していない」ということ。まだ小さく、細いけれど、これから発展途上の意味をもちます。本来十二支も植物の生長過程を現したもので、子(種)に始まり収穫し全て人々にいきわたるまでを示したものですが、難解な漢字を覚えやすいようと動物をあてはめたと言われます。その「未」に対応する「羊」は、これまた羊の頭の形からできた象形文字ですが、古代から最も大切な家畜であったことから、神への最高の供え物とされました。特に大きく立派な羊は「美しい」とされた訳です。韓中日問わず女性の名前に多く用いられる「美」という漢字ですが、私のクリニックに訪れる患者さんの名前には特に「美」の付く方が多い気がするのは偶然ではないような気がします。
一方今年の十干は「乙」。甲乙つけ難いと言う様に、甲に続いて二番目の干ですが、漢字の意義、語源については諸説があり定かではありません。『説文解字』によると「春に草木の婉曲して出るを象る」と書かれており、種子から新芽が芽吹いた発芽の状態を形容した象形文字だとしています。過去の「乙未」を振り返ると、60年前の1955年は朝鮮戦争(1950~1953)後、焼け野原からの復興を懸命に目指していた時であり、日本はその特需を受けて、一気に高度成長を歩み始めた年です。さらにその前の1895年には日清講和条約(下関条約)締結に続いて三国干渉、台湾制定と日本の植民地政策の始まりとともに、東アジアは強国の荒波に呑み込まれていきました。日本の駐朝鮮公使が指令し、外交官、軍人、政治浪人などを動員して景福宮を襲撃し、朝鮮王妃、閔妃が暗殺された「乙未事変」はまさにこの時代を象徴する事件でした。
干支からみる「乙未の歳」の2015年は、新しい芽が生まれ、若枝が伸びようとするように、そこにはやはり生みの苦しみや、成長痛も伴うかも知れません。しかし東アジア、世界はもがきつつも新しい未来に向かい進んでいく年となるような気がします!(全く私流の勝手な予想ですが、あしからず!!)