14:00 トラファルガー広場を経て大英博物館へ向かう。
14:30~ 大英博物館(The British Museum・Google Map)を駆け足で見学。
大英博物館・展示空間の様子
空間が贅沢だ。展示物がそれなりに大きいものであるせいもあるが、日本に較べると、一回りも二回りも展示空間が大きく、天井が高い。日本人だと、こういう空間をいくつもに分節してしまったり、二層にしてしまうだろう。デザインの質以前に、建築の規模という面で、欧米と日本では基本的な差があるような気がする。
ロゼッタストーンなんていう、教科書にも出てくるような超重要な発掘物も、展示スペースの片隅にひょいと置かれていたりする(レプリカだったのかもしれないけど)。
エジプトのミイラ展示
ただ、ロンドンでエジプトのミイラを見るのは、どうも変な気分だ。その他の展示物の多くも世界中の遺物であり、世界各地から集めたといえば聞こえはいいが、収奪したとも言えるわけで、なんだかしっくり来ない。戦利品の展示を見ているようで、しかもそれが過去の栄光の遺産でもあるわけなので、すごいねぇ、でもイギリスの遺産ていうのはどれなのよと、いちゃもんをつけたくもなる。
日本だったら「エジプトからはるばるやってきたミイラを今回特別に展示します!」という感じで、厳重に管理して、薄暗い部屋で厳かに御開帳というぐらいになるはずなのだが、大英博物館ではなんだかガサガサした部屋の中央にヒョイとガラスケースがあって展示されているだけ。中には棺が立てられているものもある。おまけにノーフラッシュなら写真撮影もOKなのだから、かなり拍子抜けしてしまう。
メソポタミアの門の彫刻とレリーフ
やれやれ、貴重なものだと感じたら、根こそぎ剥がして持ってきてしまうのだから、すごい話だ。
ギリシャの神殿の軒先にあった彫刻を展示しているスペース
いやはや、古今東西、あちこちから持ってきている。少し早く産業革命を迎えて、世界屈指の海軍を持ち、世界中に植民地を確保し、世界中から文化財を奪い集めた。そのちょっとした先進性と先見性が、今に続く観光地を抱えることにつながっているわけで、経済力や軍事力をつけたら、それを上手いこと文化に振り向けるのが、後々、文化国家として生き延びるためには良いのかもしれないな、などと、妙なことを考えてしまう。
ただ、最近になってWikiなどで見てみると、博物館ができた当時、他の国ではまだ文化財保護が充分ではなく、大英博物館にまとまって集められたことで、散逸を防ぐことができたという面もあるそうだ。確かにそのへんは評価できる。だがそれなら、もともとの国での保護状況が改善したら、順次返してくのが筋なんじゃないかなぁと素人ながらに思ったりもする。だが一方で、ここに集まってるってのは便利といえば便利。ただやっぱり古代の遺物などは、その場所で見るからこそ感動するのではないかとも思う。見学している内に、凄いなぁと、でもねぇとの間で、考えが何往復もしたのだった。
17:00 大英博物館見学終了。本当は一日かけても見切れないのだが、それを2時間半で終わらせてしまう。オリエンテーリングのように、チェックしてまわったみたいな感じで、そこで見たことが重要なのさ、またこんど機会があったらじっくり見に来ようと諦める。こんどの機会がいつになるのか、本当にそんな機会が訪れるのかは分からない。
Wikipedia > 大英博物館
ヨーロッパ旅行記 1993.2.28~3.21
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