京都の立命館大学国際平和ミュージアムで、「ジミー・ツトム・ミリキタニ回顧展」が開催されている。そう、映画「ミリキタニの猫」で取り上げられていた日系アメリカ人画家の作品展だ。見に行ってみたいけど、ちょっと日程的に無理かな~?昨年10月に92歳で亡くなられたことを知ったのはつい最近だった。
映画「ミリキタニの猫」はすごく良かった。その年の映画マイ・ベスト1に輝いたくらい。ミリキタニさんも、この映画のおかげでずいぶんと人生に変化が訪れ、苦労もされたけどいい人生を終えられたんじゃないかな。当時、レビューを書いていたのでここで紹介いたします。
『ミリキタニの猫』 (2008年/監督:リンダ・ハッテンドーフ / アメリカ)
ニューヨークの路上アーティスト、日系アメリカ人であるジミー・ミリキタニを、アメリカの女性監督リンダが追ったドキュメンタリー。
2001年、ミリキタニは80歳。韓国人が経営するデリの軒先で路上生活をしながら絵を描き続けている。寒い最中、毛布をかぶり「平気だ」と言う。背中も曲がってこのままのたれ死んでしまうんじゃあ、と思ってしまうほど。
彼にとっての転機は、9.11。騒然とするニューヨークの路上で平然と絵を描くミリキタニを、この女性監督が「家にこないか」と誘うのだ。
監督とはいいながら、彼女は立派に重要な登場人物だ。ミリキタニと彼女の会話がいい。互いに気兼ねも気負いもやさしさの押し付けもなく。本当に昔から分かり合えている親戚同士?のよう。ついこの間出会ったばかりなのに。
だんだん、ミリキタニが居候なのに偉そうになっていき、リンダがいらつくもんだから観ているこちらはハラハラ。でもそんなことはたわいもないエピソードだ。
アーティストとして兵隊になることを拒否し、広島からアメリカに戻ってきた(元々カリフォルニア生まれ)彼は、戦争によって日系人収容所に入れられ、姉とも生き別れ、つらい体験をしてきた。日本の芸術を広げるという大きな夢を持っていたのに、市民権を棄てることまで強要され、彼は以来アメリカを憎み続けている。社会保障だって受ける気は、さらさらないのだ。9.11によりアラブ系への風当たりが強くなるのを、ミリキタニは苦い思いで見つめる。彼のそんなアメリカに対する罵倒を、本当にナチュラルに受け止めるリンダが、なんというか、スゴイ。
そして、リンダの尽力により、ミリキタニは市民権を回復していたことがわかる。年金を支給され、住むところも見つかった。頼まれて絵を教えたりもするようになった。ミリキタニは、だんだんキレイで表情が豊かなおじいさんへと変わっていく。
生き別れた姉も見つかり電話で話す。久しぶりの日本語なのか、言葉が出てこない。素っ気ない会話のようで実は感動に満ちている。電話を切ってから会話の様子をリンダに伝えるのに、興奮してもう日本語が止まらない…。
最後のシーンは、ミリキタニが60年ぶりにかつて送られた収容所を訪ねる。そこで亡くなった、かわいがっていた少年を弔い、いつも描いていた山を再び描く。彼の心の重いものが少しずつ浄化されていくのがわかる。表情は晴れやかだ。
エンディングでは、お姉さんと再会でき、さらにHPを見ると、広島への帰郷も果たしたとのこと。なんだか壮絶な人生ではあるが、ハッピーエンドで本当によかった。そうそう、猫はもちろんこの映画にピリリと効いてます!
(2008年3月 滋賀会館シネマホールで鑑賞。なつかしいな~)
この展覧会のチラシを見つけた時、記憶が甦ってきましたよ。
肝心の作品はどんなだろう?ってとても興味あるんだけど~。
確か選考会でもこんなギャグを飛ばしたような・・・
それもこれもなつかしいですね・・・