アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

本の未来に挑戦する内沼晋太郎さんの仕事

2014-04-03 | 

 本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

本好きとしてはフォローをはずせない内沼晋太郎さん(@numabooks)が、最近新刊を出されました。Chim↑Pom園子温監督でおなじみのアイデアインクシリーズ、今度は全身みどり色です。

ブック・コーディネイターとして、また斬新な本屋「B&B」の経営者として活躍されている内沼さんが、不況と言われる出版界や書籍のデータ化という世の中の流れの中、「もやは本に未来はない」などと言っている輩に、「目玉をひっくり返せ。あなたの手からこぼれた本が拡張して逆襲してくるぞ!」と主張している内容です。(だと思ってます…)

初めてこの本を読む人には、とても新しい視点が与えられることでしょう!私はそれ以前に、この本で内沼さんと出会いました。

  本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本 

本のいろいろな側面をコンセプトにした、数々のプロジェクトのアイデアの斬新さに驚かされました!内沼さんは本のことをとても愛していて、コンテンツとしてもプロダクトとしてもリスペクトされているけど、フツーの本好きではない。本に対して刃物を入れるプロジェクトもいくつか出てくるのだけど、そこはちょっとショックだったんですね。例えば、ヘアスタイリストにカットしてもらう本。オブジェのようになった本は美しいけれど、少しいたたまれない気持ち…。でもそこに彼の独自性と強さがあるように私は思いました。

この本は、とってもおもしろいのです。上の写真ではよくわからないのですが、タイトルが2本立てになっているとおり、2つのテーマが表と裏(表と表?)の両面から語られています。左開きは当然横書き!カラーもそれぞれの面をブルーと赤に塗り分けてて、紐の栞もブルーとブルーと赤の2本ついており、かなり凝った作りです。まさしく本へのこだわりがあるな~という感じで、持ってて嬉しい一冊です。(今、amazon見たら、新刊の発売はもうないようで…残念)

この本は2009年の出版なんですが、そこで全国の個性的な書店をめぐった内沼さんが「書店をやってみたくなった」と書かれていました。それから4年ほど経った今、実際に下北沢で「B&B」を始めて、新たな本への関わりを展開している内沼さんの姿を、新刊では拝見できます。

「B&B」、行ってみたいですね~。この前紹介した「スタンダード ブックカフェ」は、本をカフェに持ちこむことができますが、「B&B」では、ビール片手に書棚を見て歩くことができるそうです。そっちの方が魅惑的!また、店内で行うイベントも「本」ととらえ、毎日やっていくことを決めて、続けているということです。そう、彼にとっては情報を媒介にした人と人とのコミュニケーションはすべて「本」なのです!そう考えると、ネットの隆盛でますます新しいコミュニケーションの形が生まれている今、「本」は限りなく可能性に満ちている気がいたします。


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