アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

杉本文楽「曾根崎心中」

2014-04-07 | その他

先週、大阪フェスティバルホールに、杉本文楽を見に行ってきました。昨年、橋下市長のもと補助金問題が取り沙汰され、にわかに注目を浴びた文楽。10年以上前に1,2度見に行ったことあるのですが、歌舞伎以上に江戸時代の雰囲気を色濃く残している気がしております。

今回、行ってみたのはもちろん、アーティスト杉本博司が演出し、何と束芋の映像も使われるという、その空間を体験したかったからに他なりません。席についてみると、広い会場では、舞台がかなり遠い…。人形の表情を直に見るのは難しそうです。

それにしてもシンプルな装置、というか何もないと言っていいほど。以前見たときの記憶では、一応、人形が足を付ける台のようなものがあったと思うのですが、今回は、何もないところで、人形遣いが人形を操る。人形は宙に浮かんでいる形となっているんです。最初は違和感ありましたが、そのうち、人形の動きに集中が高まり、だんだん生きているように見えてくる…。最後の「徳兵衛・おはつ 道行」の感情の昂ぶり、心中の場面の迫力は、たいそうなものがありました。

舞台が終わった後、まずは人形の二人がお辞儀したのを見て、いや~、この人形たち「役者」やわ~と感心しました。もちろん、巧みな人形遣いの技があってこそなんですけどね。

舞台空間は幻想的で、シンプルなモノクロームの世界のようで、杉本さんの作品の世界に通ずるものがあったように思いました。束芋の映像も斬新!…とはいえ、普段から文楽を見ているわけではないので、フツーとこんなに違う!みたいなことはわからないのですが。

それにしても、今回、本当に素晴らしいと思ったのは、三味線の音と太夫の声。あの異空間を醸し出すのにも、大きな役割を果たしていました。三味線はホント、カッコ良かったっす!チントンシャン、みたいなイメージを根底から覆すソウルフルな感じがすごいよかったです。ストーリーも人形役者の台詞も、すべて太夫が語るわけですが、その情緒たっぷりの抑揚のある唄声、聞いているうちに人形が本当に言葉を発しているように思えてくる。言葉のすべての意味を聞きとれなかったのは残念ですが(文楽劇場などでは、字幕があるそうです)、気持ちは伝わりますよね。ホント、日本人なんだから、英語勉強する前に、ひと昔前の言葉くらい、理解できるようになれよっと思ってしまいました。勉強します!

もっともっと舞台に近いところで鑑賞したいな~と思いました。人形の表情が、場面場面でどのように変化するのかを体感したいものです。文楽って、歌舞伎などに比べると地味だし、何かと公演の制約も多そうですが、こんなに独特の文化なのだから継承の灯を絶やさないでほしいですね!


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2 コメント

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ぜひ大阪文楽劇場へ (yoshikoo)
2014-04-07 07:05:20
ご無沙汰しています。
文楽は20年前ぐらいからずっと好きでよく見ています。
ぜひ大阪文楽劇場行ってみてください。素晴らしいですよ。観ている最中はとても人形には見えませんよー。
残念なのは、専門劇場なのにガラガラなこと。そして東京の国立劇場は今や心中物は全く切符が取れないぐらい人気なのです。なんだか不思議です。
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20年!筋金入りですね~ (art-around)
2014-04-08 00:27:27
お元気ですか!コメントありがとうございます!
今もご覧いただけてるなんて、とっても嬉しいです。
大阪の文楽劇場、身近なのに、なかなか足を運べないんですよね。
気分の高まっている今、ぜひ挑戦してみようと思います。
また大阪もいらしてくださいね!
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