歌わない時間

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PCA『ラッスス/聖週間の音楽・4声のレクイエム』

2006年02月09日 | CD 中世・ルネサンス
Lassus
MUSIC FOR HOLY WEEK and Easter Sunday
REQUIEM in four parts
Pro Cantione Antiqua
Bruno Turner (Lamentetions and Easter Music)
Mark Brown (Requiem)
CDD22012

2CD。1981年録音。64分21秒/65分59秒。Hypeion。CD1は木曜日、金曜日、土曜日それぞれ3曲づつのエレミアの哀歌。CD2は復活祭のためのモテット5曲と、4声のレクイエム。いまはハイペリオンからRegisにレーベルが移って、CD1枚ごとに分かれて出ているようです。メンバーは、ブレット、ペンローズ、グリフェット、パートリッジ、ジョージなどで、レクイエム以外の曲にはソプラノが加わる。女声が入ったプロ・カンツィオーネ・アンティカは初めて聴きました。

このCDのプロカンはいいですよ。ざっくりとしたアナログな雰囲気を残しながら、アンサンブルはじゅうぶん練られている。ああこういう演奏をしたいなあと思わせられる。当時すでにバロックのソリストとしても活躍していたイアン・パートリッジにしろ、特別参加の女声陣(ややハスキー)にしろ、ノン・ビブラートではなくほのかにビブラートのかかる感じ。しかしけっして嫌みではなく、むしろ自然で、よい意味で大らかな雰囲気を醸し出しています。

わたしは、CD1の《Three Lamentations for Maunday Thursday》を歌ったことがあって、その同じパート(Tenor2)を歌っているパートリッジの声が特によく聞こえてくるんですが、この手の曲を完全に手中にしているベテランが気持ちよく歌っているという気配がただよいます。

プロカンが、80年代に入ってからも、ヒリヤード・アンサンブルやタリス・スコラーズに代表されるデジタルっぽい緻密さとは一線を画しつつ、このように優れた演奏を聴かせてくれていたことは感慨深い。プロカンというと、70年代の、もわーんとした音のアルヒーフ録音をつい連想してしまいますが、あれとはぜんぜん違う。ただしCD2のはじめのほう、復活祭のモテットは、アンサンブルの精度の点で、他の曲、エレミアの哀歌やレクイエムよりもやや劣る。

プロ・カンツィオーネ・アンティカが80年代に入ってもまだ録音活動を続けていたというのをわたしは知りませんでした。しかし80年代どころか、1994年には、あのボウマンやブレット、ジョージも参加して、ハイペリオンにパレストリーナの『ソロモンの雅歌』を録音していたんですよ。驚きました。

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