しばらく草取りをしていなくて
草取りの時は至福の時だから、久しぶりに草取りをして
鳥のさえずりと、空高く飛行機の飛ぶ音
ささやかな町の音を聴いていたい。
山茶花の木には何種類もの鳥たちがやってきて、
梢から梢へと飛び跳ねるようにしている。
まるでダンスしているように軽やかだ。
鳩だけは、ずっと同じ梢にとまり
何か探しているみたくキョロキョロしている。
そういえば、友人が独身だった頃
『アパートのベランダで鳩の卵が孵ったんだよ』と
嬉々として話していたことを思い出した。
東南の良く日が当たる部屋には、何度か泊まりにいって
夜通し、話をしたっけ。(僕は聞役ばかりだけど)
その友人は結婚して遠く、東京へ行ってしまった。
正月には、年賀状に『おかわりありませんか?』と書いてあった。
『おかわりありませんよ』と心の中で言って、
自然と顔が笑っていた。
一人でにやにやするのは、誰も見ていないとはいえ恥ずかしい…。
そんな時は、頬をグニャグニャしておく。
そんな友人のベランダの鳩は、その子孫たちがきっと元気に
街の空を飛んでいるのだろうな。
僕の家の荒れた庭に遊びに来る鳩は、色んな種類の鳥たちと
隔てなく仲良しみたいで
まさに平和の鳥なのだ。
鳥のさえずりは、空高く舞っていたヒバリを思い出し、
僕は、鳥たちを見て、花を見て
梢の先の空を見る。
飛行機は白い線を空にまっすぐ引いていく。
まっすぐすぎて、見惚れてしまう位、鋭い線が空を飛ぶ。
そんな草取りの時は、空と大地の間で、至福の時。
とんでもなく優しいものたちは
すぐ傍でそんな風に、まっすぐ軽やかに
dance している。
虫に、こんにちはと言って
鳥に、お変わりないですよと言って
草に、取らせて頂きますよと言って
花に、いつも綺麗ですねと言って
空を、しばらくただ見上げる
僕の願いは届きますか
みんなの願いは届いてますか
僕らの世界は何処へ行きますか
大切な人は幸せでいますか
そこは神様と出逢える場所
荒れてはいるけど、天使が翼を広げダンスする
光を指さし軽やかに