そして、そこには湖があった。
カップルが一組いて、気持ち良さそうに山に囲まれた湖を眺めていた。
しばらくするとカップルは去っていき
山と、湖と、空と、湖に映る空と、太陽と、月がいて、真昼の月は白く薄い儚げな星に見えたけれど
でも、僕にとっては、いつも眺める大好きないつもの月だったので
それらの中に安心して身を置けた。
湖っていってもね、人口の湖なんだって、書かれてある説明文を読んで
遠くの山を眺めたり、真上に浮かんでいる本物の空ではなくて、湖に映る空を眺めたり
『本物の空が頭上にあるのに、なぜ湖に映る空に惹かれるんだろう?』
…って不思議に思ったり
『太陽と月は向かい合って、何を思うんだろう?「やぁ、今日も元気?」かな?』とか
『こんなに綺麗だと写メ撮るのは失礼な気がするな』とか
いつもの如く、あまり高尚なことは考えずにブラブラと時間を過ごした、湖の上の空の下。
電気を生み出す沢山の水、時には風、時に火、時に太陽光、時に原子、僕らのエネルギー。
あるエネルギーが、違った形の、歪んだエネルギーになって僕らを脅かす存在になるなんて、子供の頃は知らなんだなぁ。
明治維新なんてついこの間のことと思える。(のは僕だけ?)
つい最近まで、僕らは、電気に頼らずに暮らしてきて、山は山のまま、河は河のまま、海は海のまま、
森林は、深々と大きな呼吸を続けてきてたね。
今までずっと太古から、僕らと共生してきたものを壊すようになったのは、いつからだったかな。
あっちが欠けて、バランスがとれなくなって、こっちが欠けて、またバランスがとれなくなって
銀河に浮かぶ青い星は、今どんなことになってしまってるんだろう?
今、失ったら、壊してしまったら、大変なものばかりを抱えているこの世界だ。
…なぁんて思うような、穏やかなようでいて沢山の事を孕んでいるその姿が
美しくも見え、秘めた力に圧倒される気もした、小さな湖の畔の小さな僕なのだった。
また、思い出日記になってしまった。
今年の春は、色んなサイドから季節を眺めている気がするなぁ。
山の中は、静かな景色で湛えられていました。
日本、東日本、東北関東、みんな、君も僕も、ホッとできる
本当の春を迎えられたら良いね。