Catch the words

from Shizuoka/name is "slide"

雲色の夢

2012-04-29 | Weblog









雲の色したスーツを着て
幸せそうというか、安らかというか、そんな風に思えたから
夢の中で僕は嬉しかった


古ぼけたピアノの横で壁にもたれ
椅子に座った姉を、静かに微笑みながら眺めていた
姉は気付いていないようだったけど


そんな二人を僕は見た
夢の中でたぶん
父の、姉への感謝の気持ちを見ていた


雲の色のスーツは三つ揃い、胸ポケットは赤いハンカチーフ
柔和な表情と伊達な彼のすがたは
少し若返って、行きたい場所へ行き、なりたいものになり
優雅で安らかな国に居るにちがいない


最近、甥っ子が、似てきたなと思うことがある
真っ白い雲色のスーツを着こなしていた父を思い出す
何年も前に見た夢のこと


そういえば、まだ姉にこの夢のこと言っていなかったかも
何年も経ってから気付くのは遅すぎて自分でも呆れてしまうけど、
姉に感謝の気持ちを伝えてくれって言いたかったのかな
じゃあ、今度会った時に言わなくては


たぶん、きっと大丈夫だね
だから、ぜったい僕ら
雲のように、やわらかく笑っていこう
















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誰かを

2012-04-26 | Weblog








もし誰かを思って心が震えたら、それはいわゆる
出会い、というものだろうから
何処で何につまづいても、後悔する必要はない


背を向けることも俯くこともしなくていい
首を振ることも泣くこともすることなかれ
少し顔を上げて、軽やかに微笑めばいい


もし誰かを大切に感じていたら、それはいわゆる
愛、というものだろうから
誰に何と言われようと、恥じることはない


もし誰かを、思える心があったら
それはどんな形でも喜びで哀しみで躍動することで
思うことも、愛しいことも、祈ることも
花の命と同じくらい、貴い光なのだと思うのです













コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一等

2012-04-22 | Weblog








似た人を見掛けたから
『もしかして』とふいに思ってしまった
そうだ、居る筈もないのにね
それはただの僕が望む気配だった


数分、巻き戻して僕は言葉を綴る
数日、巻き戻したら僕は夢見心地
数ヶ月、巻き戻して僕は街を歩く
数年、巻き戻したらそこは普遍の景色


似た人は今頃元気だろうか
夢の中で会った時、笑っていたから大丈夫だね
そうだ、日々は笑顔の花が咲くところ
それはただの僕が望む、一等の願いごと

















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

開く音

2012-04-20 | Weblog








傘を開く音
世界が開く音

開いたばしょから春雨が降る
雨が上がったら夜には星が降る
降った後には
明日、皆から祝福されるだろう姉のような
優しげな笑顔がいい

傘を閉じる時
雨が上がる時

春色の恵みの雨を吸って
もっともっと、世界が開いていく時
優美な花が咲く前に
開かれるドアの向こうには、君がそこに
居てほしい















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ファソラ

2012-04-15 | Weblog








出会いの瞬間はあやふやで
本当に出会えているのかさえも僕は分からないなんて
僕の眼はただの節穴で、鈍感のドの字は音階の中でも
いつまでたってもシとレの間で
それにも気付かずにいるに違いない
出会いの時には僕のこと
君に捉えてもらいたいと
願っていることさえ、自分自身で気付かない僕


いつどこでどんな出会い方でも
何だか妙に気になって、何だか不思議と興味が湧いて、
何だかとても安心するような
そんな気持ちを感じられるのなら、きっと本物
そんな気持ちに気付いたなら
僕の音階は、青い空のソまでいってファとラの間で
ずっと一緒に















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする