≪ほんとうに見た夢の話≫
談志がなくなって
生前の記者会見の
テレビを見ながら
寝てしまって
退院の記者会見で
談志の体が
どうも透明に見えるんだ
それで骨の変わりに
いろんな微細な歯車など
機械が見える
ちょうどプラモデルの
部品が付いてる
枝のようである
私は記者で出席していたので
『体が透明に見えます』
と聞くと
そのとき
なだらかに
談志はタケシ北野に変り
その質問について
二人の答えが聞けた
◇
タケシは
ひややかな目で
『ひとの気持ちが分からない
ダメなヤツだ』
という目だった
むしろ談志のほうが
『そうなんだよな
面白くなっちゃってよ』
みたいな
例のクセの
両ヒジをパタパタ
させながら
記者全員にむかって
おどける
これは
談志の気の小ささを
表わすものである
事実を
受け止めきれないんだ
◇
わたしは
ひとの気持ちの
分からないダメな
人なので
さらに
『体が全部機械で
意識だけあるって
それお釈迦様状態じゃ
ないですか』
とダース・ベイダー
状態のタケシ・談志に言うと
タケシは
さらに冷たい目で
にらんだ
それで退場
『おまえなあ
お釈迦様っていったって
おりゃそんな上等なもんじゃねえよ』
という雰囲気だけ残す
談志は
話にのって
私を相手にしないで
記者全員にむかって
お釈迦さま状態の
感想を
言っている
◇
どうも
談志は
機嫌のいいときと
心を許した人には
イメージよりは
優しい
みたいである
気がちいさいから
◇
別に気の小さくない
タケシは
人の気持ちの
分からないヤツには
冷たい
◇◇◇
◇◇◇
ここで夢から覚めて
本当の
談志の記者会見で
談志の奥さんが
広い家を
掃除はしない
と宣言していて
『掃除してみたって
日本中のゴミを
あっちこっち
寄せているだけだ』
と言っていて
そりゃなるほどなあ
と思う
と
それで自分で
冷蔵庫など掃除していると
あっちもやってくれ
こっちもやってくれ
と奥さんは言う
と
それはあんたに
アドヴァイス
してやってるんだ
と奥さんは言う
なるほどと
談志は思って
掃除をするって
言ってるんなら
それはサボタージュだが
しない
って言ってるんだから
それは確かにアドヴァイスだと
納得して
お礼を言う
と
◇
気を許した相手
自分の大事なひとには
確かに
気の小ささが出ている
◇
記者会見でついでに出た
エピソードが
おかしかった
名人円生の
話で
名人だなんて言っていても
昔は随分ひどい事をやったと
楽屋で
お公家さま
あがり?の男を
げんのう
(トンカチのでかいゴツイやつ)
で殴って!いて
なにもげんのうで
殴る事は
ないじゃないか
と言うと
円生いわく
『いいやクゲの
曲がったのは
げんのうじゃなきゃだめだ』
と
なるほどねえ
確かに
◇
これはおかしかった
ですな
◇
談志の
この世でいちばん
見事な番組の
話がひとつだけ
のこっていますが
それは
また
次の機会に
◇