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福岡髭爺の今日も絶好調!!

労働法、神社、郷土史、グルメ、他
※記載事項について、一切責任を負いません。

健康保険料率の改定、後期高齢者医療制度

2010-02-18 21:15:44 | 社会保険労務士

全国健康保険協会(協会けんぽ)が、平成22年度の保険料率を発表しているが、その増額改定幅の大きさには驚く。

福岡県の場合、現行料率は82.4/1000(8.24%)であるが、これが94/1000(9.4%)に改定される予定。
報酬月額が30万円の場合、現行料率で24,720円(本人負担12,360円)であるのが、28,200円(本人負担14,100円)への負担増だ。

※主な都道府県の料率は次の通り。
 北海道 9.42%(全国最高値)
 宮城県 9.34%
 東京都 9.32%
 埼玉県 9.30%
 千葉県 9.31%
 神奈川県 9.33%
 長野県 9.26%(全国最低値)
 愛知県 9.33%
 京都府 9.33%
 大阪府 9.38%
 兵庫県 9.36%
 広島県、山口県 9.37%
 佐賀県 9.41%(九州最高値)
 長崎県、熊本県9.37%
 大分県   9.38%
 宮崎県 9.34%(九州最低値)
 鹿児島県 9.36%
 沖縄県 9.33%
※たまに沖縄県を九州と考える方がいらっしゃるが、これは誤り。

なお、介護保険料率も現行料率11.9/1000(1.19%)から15/1000(1.5%)に改定される。
報酬月額30万円の場合なら、現行3,570円(本人負担1,785円)から4,500円(本人負担2,250円)への大幅増だ。

ちなみに、雇用保険率も本人負担で4/1000から6/1000への改定が予定されている。
賃金月額30万円の場合、本人負担額は1,200円から1,800円と1.5倍になる。

収支が悪化しているのはわかるが、制度運営に要する費用等の削減努力が必要だ。
また、保険料負担のあり方、さらには社会保険方式から税方式への移行も検討すべきだろう。

ちなみに、通常の社会保険料の納付時期は、「当月分翌月末口座振替」だ。
即ち、3月分から変更されるということは、4月の賃金から控除する保険料からの改定だ。
賃金締切日・支払日が当月末締切翌月10日払いの場合は、4月10日支払の賃金から、当月15日締切当月25日払いの場合は4月25日支払の賃金から控除額改定を要する。

任意継続の場合は、4月分からの改定。
任意継続は当月分保険料を当月に支払うため、通常の場合と比較して納期が早い。
そのため、納付時期を4月にあわせて改定したようだ。

本日2月18日は、小職の父の誕生日。
満75歳となる。
これで後期高齢者医療制度の対象となる...近いうちに制度改正があると思われるが。
父の健康と長寿を祈念する。


健康保険任意継続、労働判例研究会

2010-02-16 21:50:40 | 社会保険労務士

任意継続
健康保険任意継続は、退職後も引き続き最長2年間健康保険制度に加入することが認められる制度だ。
会社等に在籍している期間は、勤務先が保険料の半額を負担している。
退職後の任意継続では、当然全額本人負担となる。
(よく「任意継続は保険料が2倍になる」という言い方をするケースが多いがこれは誤りで、半額負担が全額負担になる、というのが正しい)

健康保険制度では、退職日の翌日が喪失日となるが、この喪失日を含めて20日以内に手続をすることを要する。
ここで気付いたが、従来は社会保険事務所の窓口で手続をしていた。
政府管掌健康保険から全国健康保険協会(協会けんぽ)に移管したが、まだ旧社会保険事務所に協会けんぽ窓口が残っていた。
しかし、1月の途中くらいでなくなったため、福岡市の場合は博多区呉服町の協会けんぽ福岡支部が受付窓口となっている。
原則は郵送手続だ。

過去に任意継続の経験がある方は、かなり戸惑うようだ。
それもそうだ。
社会保険労務士である小職もかなり戸惑っている(笑)。

第39回労働判例研究会
2月15日は第39回労働判例研究会。
テーマは、精神疾患等と労働災害、労働災害と不法行為・債務不履行責任について。

前半担当は小川剛弁護士。
横浜南労基署長事件(最高裁平成12.7.17)を中心に、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準(平成13.12.12基発1063)等について研究。
精神障害と業務起因性の因果関係の認定は極めて難しい。

前記通達は、過重労働に関する時間外労働時間数の目安としてかなり浸透しているが、単に時間外労働時間数をもって機械的に認定する傾向には素直に賛成できない。
逆に、過重労働として80時間や100時間の基準を示すよりも、80時間以上の時間外労働を法律で禁止した方がいいのでは?とも考える。

後半担当は小職。
電通事件(最高裁平成12.3.24)、自衛隊車両整備工場事件(最高裁昭和50.2.25)を中心に、安全配慮義務、不法行為との法律構成の差異、損害賠償額算定等について研究。
遺族の損害賠償請求における労災給付との相殺に関し、特別支給金の取扱いや遺族補償年金との関係の矛盾等について、確認した。

弁護士5人と小職、という6人が輪番で担当しているが、不法行為と債務不履行についてその訴訟実務上の微妙な差異等の問題になるとやはり弁護士にはかなわない。

労働判例研究会平成22年企画
第39回研究会では、その後平成22年の研究会企画について会議。
最初に無料メルマガ。
既に小職がフライングでスタート準備している「まぐまぐ!」の無料メールマガジン発行は、弁護士メンバーの協力を得られることとなった。
基本的には小職が担当するが、メンバーにも時折ご出演願うことにする。
未登録の方は、↓ぜひご登録を。
http://www.mag2.com/m/0001097223.html

次に合宿。
1泊2日で労働判例研究を行う予定(?)。
日程は他のメンバーにご迷惑がかかるとまずいので伏せておく。
このような行事は研究会開設から足かけ4年目に入ったが初めてだ。

そして労働法セミナー。
詳細は今から詰めていくが、概ね次のような感じだ。
・月1回、6回~10回開催
・講師はメンバーが交代して担当
・参加対象者は、中小零細企業の事業主、管理職等
・使用テキストは、もちろん労働判例研究会著作『労働判例に学ぶ中小企業の労務管理』
・会場、参加費設定、広告等は未定

本年も、労働判例研究会、リスク法務実務研究会とも充実した1年となるよう魅力ある取り組みをしていきたい。


社労士会労働紛争解決センター福岡うちあわせ

2010-02-10 20:57:06 | 社会保険労務士

今日は、社労士会労働紛争解決センター福岡の関係者5名で軽く飲みながら打ち合わせを行った。
参加者は、センター所長、センター副所長2名(うち1名が小職)、事務局長と運営委員長。

主として労働紛争あっせんセンターの組織と、無料相談を受け付ける総合労働相談室との関係や、福岡県社会保険労務士会との関係等について、今後どういいう方向にすべきか、という話し合いだった。

昨年からスタートした労働紛争解決センターだが、既にあっせん申立も数件出ており、完全に稼働している状態といえる。
将来的に、この組織がさらに社会貢献できることを祈念する。


社会保険新規適用届

2010-01-28 21:25:47 | 社会保険労務士

社会保険事務所がなくなり、そのまま年金機構事務所になった。
見た感じとしては名称が変わっただけのように思われそうだが、社会保険手続においては激変だ。

先月まではまだ窓口があったため、通常の社会保険取得届や喪失届等を提出することができた。
しかし、年金機構事務所はこれらを取り扱わないので、原則としてすべて年金機構福岡事務センターへの郵送による届出だけとなった。
ただ、従来から電子申請が可能なので、極力電子申請を活用するようにしている。
やはり郵便事故もこわいし、届いても紛失される可能性もないとはいえない。
電子申請なら、確実に記録を残すことができる。

適用関係の手続で、従来との比較で最も変わったことを実感させる手続が、社会保険新規適用届の手続だ。
社会保険労務士業界では「新適」と略すこの手続き、かなり以前は「新適調査」とも呼ばれる「調査」だったのだ。

振り返ると、新適調査は大変だった。
まず、毎月1日から5日までしか受付がなかった。
この期間を経過すると、翌月にまわされてしまうのだ。
そして、原則として事前予約が必要だった。
書類一式をもっていくと、「社会保険調査官」と面談しながら調査を受けるカタチでの手続進行だった。
無事終了すれば、その月の1日付けで晴れて社会保険制度加入が認められる。

これが数年前激変し、いつでも受け付けられるようになった。
そして、適用課の担当者が「手続」として書類をチェックするようなカタチになった。
添付書類も減った。

そして今月から、すべて郵送となった。

これらは、わずか10年くらいの間での変遷だ。
記憶が不確かだが、5年くらい前まで「新適調査」だったような気もする。
今になって思えば、かなり無駄な時間を強いられたように感じる。


研究会、研修会と解雇法制

2010-01-22 21:16:46 | 社会保険労務士

昨日今日は、2日連続で研究会、研修会だった。

昨日21日は、第38回労働判例研究会。
毎月1回開催しているが、本年は初回だ。
平成19年から毎月欠かすことなく足かけ4年目に突入した。

テーマは、①産前産後休業、育児介護休業と賞与との関係等、②年次有給休暇の時季指定、時季変更権、時効・繰り越し等について、の2つ。
それぞれメンバーの堀繁造弁護士、林田太郎弁護士が担当。
次回2月も2テーマだが、小川剛弁護士とともに安藤も1テーマ担当予定だ。
メンバー6人の輪番制で、毎回2人が担当するため、3回に1回は担当となるしくみだ。

第38回研究会では、今年の行事の検討も行った。
昨年は出版(「労働判例に学ぶ中小企業の労務管理」)の執筆のため、他の行事としては出版記念懇親会を開催したが、今年は現時点で研究会による出版予定がない。
そこで、今年は「合宿」を計画することになった。
1泊2日で労働判例・労働法務の研究を行うものだが、懇親会的要素の方が強くなることが想像される(笑)。
2泊~3泊の親睦旅行も考えられないわけではないが、全員のスケジュールが合う日を設定するのが困難。
1泊2日、温泉地でゆっくりと、というくらいでちょうどいいだろう。

本日22日は、福岡県社会保険労務士会の研修会に参加した。
講師は、労働法で有名な安西愈弁護士の安西法律事務所所属の弁護士・渡邊岳先生に東京からお越しいただいた。
ちなみに、日本の労働法専門弁護士として、安西愈先生、高井伸夫先生は全国的に有名人だ。

テーマは「解雇ルール」について。
当然ながら労働裁判を前提とした法理論だが、社会保険労務士が押さえておかなければならない基本でもある。
社会保険労務士が直面する労働紛争等の多くは、「裁判外労働紛争」で、訴訟に至らないものが圧倒的に多い。
しかし、裁判外であっても過去の労働判例を意識して検討することは当然だ。

小職がいつも感じていることは、わが国の労働法制は「ゴネ得」的な実態がある、ということだ。

一般に「解雇は難しい」といわれるが、実は簡単だ。
一方的に解雇することを通知すればいいだけだからだ。
しかし、解雇された労働者が不当解雇として訴訟を提起すれば話は変わる。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、解雇は無効とされる。
そして、客観的合理性や社会通念上相当性を判断するのは裁判官であって、一般社会人の認識とは大きく異なる。
結論として、解雇が有効と認められるためには、かなりハードルが高いといわざるをえないのだ。

以上の通り、解雇された労働者は、そのまま黙っていれば解雇されたままで終わるが、提訴すれば解雇が無効とされる可能性が高いのだ。

裁判外労働紛争を考えると、単純に判例一点張りのアドバイスでは相談者を納得させられない理由がよくわかる。
解雇された者が訴訟を提起する正確な確率は知らないが、感覚的には1割あるかないかだろう。
即ち、解雇しようとする経営者は、過去の経験、周囲で起こったこと等を総合的に判断した結果、「裁判になれば負けるとしても、解雇する」という選択肢があるのだ。
そして、その結果として、多くのケースにおいてそのまま問題が解決してしまうのだ。

小職は、このような実態に極めて不公平を感じる。
しかし、これが現実だ。
このような背景があるため、労働紛争に関しては、通常裁判の他にも労働関係調整法による労働委員会の斡旋・調停、労働審判、裁判外紛争解決促進法・個別労働紛争解決法によるあっせん手続等が準備されている。
ちなみに、社会保険労務士会で設立した「社労士会労働紛争解決センター福岡」は、あっせん手続による紛争解決機関だ。

話が逸れるが、先日、社労士会労働紛争解決センター福岡におけるあっせん手続で、あっせん成立した事案があった。
センター福岡は昨年11月に開所したばかりだが、全国の他の社労士会センターにさきがけた実績となった。

ということで、研修会で法律論と実態との乖離について思いをはせた小職だった。
ちなみに、社会保険労務士会の研修会等は定期的に行われているが、小職はここ数年出席率が低い。
いつの間にか、参加者(社会保険労務士)の大多数が「知らない人」になってしまった。