東京・ウサギSATELLITES

兎についてきた人だけが迷い込む不思議な衛星

踏み込んでます3-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-05 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

※BLについて綴っております。ネタバレも含みますので、ご注意をば。

※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。






お次は、たなとさんの『SNEAKY REDスニーキーレッド』

SNEAKY=陰険、臆病、コソコソとかの意味があるようですが(何か他にもありそうな)、読んでみた感じではどれも含まれているような気がしました(というかしばらくスキニーレッドと勘違いしていたのだけれども)。

内容はサドとマゾがテーマに盛り込まれていて(ヤンキー云々という感じではなかったよね)、といってもプレイ的に行為が描かれているわけではなく、日常に潜む歪み、そういう性癖を持った人間の心の難しさ...のようなものが表現されていると思いました。

主人公のM気質の青年は、もう1人の主人公であるS気質の青年に目をつけられて暴力を振るわれるようになります。逃げようと思えば逃げられるだろうし、避けようと思えば避けられるのに、それをせずに受けに行く自分の‘おかしさ(主人公が心で述べている)’に、ある日気付く。一方の振るう側も相手のその‘おかしさ’に気付いて、そこに互いに恋心が芽生えてしまったものだから...もう、難しい。。。

特にS気質の青年は好きになることで相手を痛める気持ちが失せているので求められても困りますよね。振るう振るわれる、その対象が別の相手となると互いに腹を立てるとか、一筋縄ではいかない難しさもありました。

でもその辺はおいおいコントロールされていき作者の方があとがきで“殴ってきた相手と幸せになってほしい”と綴っていた通り、歪みを抱えながらも2人は恋人としてやっていくようで円満解決。内容が内容だっただけに、キスしあうだけの何気ないシーンにホッとさせられました。

ところで...この作者の方の絵なんですが、なんともクセがあるといいますか、学習漫画等で見るような絵というか(好みは分かれるかもですが)そのクセの強さがいい意味で目の表現に生かされて印象深かったです(表紙を見れば分かるかな?)。あと、道に転がる2つの傘の演出とか良いな~と感じる場面もありました。

...が、これだけは。

タイマンとしてではなく一方的に振るわれるDV描写は相手が男でも女でも嫌なものだなと強く思いました。痛みを感じる描かれ方というか。

で、そんな1巻の感想を考えていたら、こちらも2巻が発売されました。

...そうか、1巻に1と打たれていなくても2が出る可能性のある世界なんですね(知らなんだ。いや前回の踏み込みでもそういえばあったか)。

というか、あとがきにて前回から3年の月日が~...と記されているのを見て、この世界への乗り遅れにヘコんでいた気持ちが少し癒されました。今年に入ってからで良かった点もあったのですね(待つのが苦手なのです)。

早速その2巻を読んでみたのですけど、こちらの方が好きかもしれません...特にM君(ミサキさん)の様子が。

1巻で晴れてお付き合いすることになった2人ですが、2巻ではS君(ハル君)の就職活動開始と共にまた抑圧された関係が復活してしまいます。物事が上手く進まずストレスを感じたハル君がそのイライラをミサキさんにぶつけてしまうんですね。

でも...ミサキさんの愛は深かった...。

ハル君のあまりにいきすぎた態度(肩を噛みちぎられる←痛そう過ぎて読んでいて辛かったです)に、さすがのミサキさんもおかしいと感じ、ハル君は傷つけた後悔やらストレスやらで発症した偏頭痛の苦しみの中でひどく苛まれるのですけど...そこに現れたミサキさんの「そんなに駄目かよ好きな奴のこと気にかけちゃ」という言葉は、苦しむ彼を救うのに充分でしたよね。ハル君はS行為をしてやる自分だからミサキさんは側にいると思っていたけれど、ミサキさんは(行為は別として)普通にハル君を好きになってくれていたのですから。どんな態度をとられても優しく包み込むその包容力に私もミサキさんを好きになりました。

その後は就職問題が一段落ついてマイナス的な諸々も終息してハル君はやけに甘えん坊になって、読んでいるこちらもホンワカな展開...元の仲良い頃に戻って良かったです。

ところが、、、SM問題は一歩進んで、本当にソレ的プレイがいたされることになってました(1巻の感想にてプレイ的行為はないと言った私の立場は一体...)。暴力以外の方法...ちゃんとした(といっていいのか)ソレがハル君の出した答えだったようです。そしてミサキさんもまんざらでもないというね...アハハ‥ハ。

でもまあ家族とか性癖とか色んなことをなんだか補い合ってしまった2人が幸せそうで何よりでした。それと本編ラストでミサキさんが「けっこうなマゾだったんだな...俺って...」と呟いた時は今頃か!?と全力でツッコミ入れました(漫画に)。

ちなみにこちらのあとがきでは、ハル君の偏頭痛が続いていくと記されていて胸が詰まりましたね。私も偏頭痛持ちなので。偏頭痛って、もの凄く辛いですからね(種類によりますが、私はコーヒーを意識して飲むようにしているのと、痛くなったら氷で冷やすようにしています)。可哀相にハル君...でも優しいミサキさんがいるから大丈夫でしょうウラヤマシイ。

絵は変わらず個性的で、ただ、ハル君が就職活動のために黒髪にした時2人がそっくりになってしまったのは少々見づらかったです。そんな時見分ける術は瞳の書き方の違いでした。やっぱりインパクトのある目ですね。

簡単ではないテーマをなんともいえない雰囲気で描いた作品でした。

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