東京・ウサギSATELLITES

兎についてきた人だけが迷い込む不思議な衛星

2016年について色々

2016-12-31 | 日記

さて、11月に都心にて54年振りの雪が観測され、史上初の積雪になるという...なんとも稀有な年となった2016年。

詳しくは書けませんが年も押し迫る頃、大変稀有なことが私自身にも起きました(仕事関係や病気とかではない)。

以前の自分なら慌てふためいたであろうに、ここ数年の極限状況にもまれたせいか心はほぼフラットで、冷静に結論を出しておりました。一言でいうならば“私はもう違う世界にいる”。

不思議なのは、それが起きたタイミング。あと数ヶ月早かったら多分状況はかなり変わっていたでしょう。でも、まるでそれを予期していたかのように先に私の状況に変化があったという事実。

現在が正しいのか正しくないのかは分かりません。霊感も無いしスピリチュアルなことも詳しくないです。だけどふと、何がしかの存在によって全ては操作(あるいは創作)されているのでは...と考えさせられる出来事でした。。

なんとなく暗くなってしまいましたけれども、プライベートでは漫画復活年でもありましたね。BLというジャンルに初めて踏み込みました。勇気を出してアングラ系にも踏み込んでみたかったのですけどそちらは無理でした。

あとは、昔から気になっていた某モンスター漫画熱がここにきて再上昇してきているのと(アニメも見たいしマスターキートンももう一度見たい漫画もアニメも見てry)、それと完全に失せたと思われた少女漫画熱が某届いてくれ的漫画で復活しかけているという現象も起きました(どちらも確実ではないので意味なくタイトルを伏せてます)。

ただ、少女漫画の方は主人公が好きになる男の子に中学時代からの幼なじみがいて、ずっとそばで彼を想ってきた彼女のことを考えると(実写映画を見た限りだけど)手放しで喜べないといいますか...昔なら、嫌な感じの子だからいい気味~とか単純に考えたであろうに、世間にもまれあらゆる人の感情に共感できるようになった現在、進化した己の面倒な心に手を焼いております。

あと、ノイタミナアニメ枠(甲鉄城のカバネリでハマった枠←続編始まるらしいよヒャッハー)で知ったクズ的話しにも興味を持ちまして、確かにクズばかりで共感したくもないのに(する気もないのに←そもそも私もクズだry)それぞれの視点のモノローグによって共感してしまうという現象が発生しつつあります(ちなみに私にとって人間とは素晴らしくも恐ろしい存在)。

とにかく色々トライして、熱く語りたいな~と思っています(全ジャンルいけるとしたら最高のスペックなんだが自分)。でも、海外もの含め見たい映画やドラマも沢山沢山あるのですよね......そして体は1つで1日は24時間(全て追うのは無理だ、多分)。前向きに諦めてご縁があったものと向き合っていこうと思います。


漫画以外では、後半になってaimerさんの「RE : I AM」という曲にドはまりして聞きまくっておりました。聞く度に、作った人天才だ~歌声も素敵だ~と思いながらの聞くだけじゃ飽きたらず、カラオケで歌いまくっておりました。

調子にのってONE OK ROCKさんの「The Bigining」にもトライして原曲キーで唄えたことに唖然としました。ボーカルの方の声が高いのか己の声が低くなったのか...(多分前者)。


それと...毎年のことですが、自分の心の中で深く印象に残っていた方々が旅立ったのを知り、なんともいえない気持ちになったりもしました。

その中には才能溢れる方もいて、私には何もできはしないのだけれども、その命を惜しみ涙が流れました。

どうにかできそうで、どうにもならないことがこの世にはあります。苦しみから解放されたんだと思いたいけれど…。本当に、喜びも悲しみもあらゆることが混在している世界だと思います。真実がどうであっても。


さて、、、と、まとめる前に忘れてはおりません英語とピアノの進捗状況。

…ほとんど進んでおりません(小声)。

ピアノはキーボードとはいえ、ちょっと弾ける状況ではないのと、英語は現在実践でほとんど必要としないので……といういいわけは、この辺にしておきます。


というわけで、平行世界の別の世界にふと移動したんじゃないかとも思えた2016年でしたが、いつかオカバンゴにたどり着くことを夢見てとりあえず過ごしていこうと思います(オカバンゴについては、またいつか)。

そんな感じの2016年でした。




踏み込んでます18-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-30 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

さて、二度に渡って踏み込んでみたBLというジャンル。

ようやく少し分かってきたかな…と思います。

以前も記したように殆どの作品で性的描写を含むので一線を画されるところもあるけれど、確実に分かったのは、絵もストーリーも様々で、そうした中には宝石のように光る名作があるということ。どれが輝いて見えるかは個人的な感性や好みによるところも大きいのでしょうけれど私はそれを見つけました。

で、ここで改めて昔を思い出してみたのですけど、、、

同性同士の恋(BLというジャンルなのだろうか)に初めて触れたのは、以前も少し記した竹宮惠子さんの『風と木の詩』(未読)。少女漫画と思ったら…だった高河ゆんさんの『源氏』(“やおい”という言葉に初めて触れるも当時は深く追わなかった←というか主人公はどっちもいけるのね!?と今気付いた問題)。そして尾崎南さんの『絶愛』(未読)と、小説ですが桑原水菜さんの『炎の蜃気楼』(未読)。

悔やまれるのは、源氏以外ペラペラと捲ってドキドキして本棚にササッと戻してしまったこと。耐性がなかったというのもあるのでしょうけど、何か切なさを感じさせる雰囲気にそれ以上踏み込まなかったのですよね…。その性質は時を経た今も変わらなくて、やっぱり絶対的に幸せな結末が好きなのですけれども、あの頃踏み込んでおけば初期の頃から関われたのになぁ…と少し後悔。

そして今回、感想を書いたものの他にも幾つか読んだ作品があったのですが、それらもハッピーエンドではなかったり理解しがたい暗さを含んでいたりで心にしみず。せっかく出会えたからには、なにがしか~と思うのですけれど、上手く説明できないのですけど(そしてこのジャンルに限ったことでもないのですけど)、物語の中には明るく見えても実は全体が暗さの上にあるものと、暗く見えても明るさの上にあるものが存在するような気がするのですよね。それらは結構作家さんによって固定されている気もして、そして前者を軸とする作家さんはどの作品を読んでも(名作であったとしても)私とは合わないな…という印象を抱きました。

それとはまた別として、今回ちょっと困ったのが、ふと気持ちが冷めてしまいそうな時があったこと。

ドキドキワクワクして読んでいたものが何かの記号のように見えてしまう謎な現象が発生(読みすぎたのだろうか…)。でもそういった時も好きな作品が再び興味を持つきっかけになってくれたので良かったです。私としては乾ききった心に水を与えてくれたBLというジャンルへの興味を失いたくなかったのもので。

あと興味の幅も少し広がりましたね。CDや小説との出会いがありました。&同人誌なるものを発見しました(いつもと違う書店を利用した時のこと)。オリジナルコーナーとやらに(というか、あの作品やらあの作品やらあの作品やらのR付きの世界が広がっていたけどこれいかに)市川けいさんのブルースカイコンプレックスのものがあったので(『インディゴブルーのグラデーション』なるもの)、生まれて初めて買ってみることに。

いや~感想云々の前に、それこそ20年以上も前に高河ゆんさんが同人誌の話しを書いていて、なんでっしゃろ?くらいにしか思わなかったものが、手元にあるというのが不思議で不思議で。。。

内容は、私が気にした前の彼女をふまえたいちゃこら(ラブシーン)話しでした。レアな感じで読めて楽しかったです。が、でもこれ…誰もが読めるものでもないところで物語があるってどうなんでしょうね?平等じゃない気が…ゴホッ。

それにしても、小説もCDも同人誌も山のようにありますね…(←今更すぎるゼ)できればその全てと関われたらいいのですけど、予算や時間のことを考えて今は踏み込むのをやめておこうと思いますヌググ。

そしてそして(熱く語り中)実写化とかもあるんですね。見てないのでなんともですが、漫画のキャラが実写になると考えただけでザワザワするのはなんなのでしょう?特にBLは絡みのシーンがありますからね…それを実写で見たいかと言われたら正直見たくないかなぁと(表現方法にもよるかもだけど)。漫画の質感の中にあってこそキャラの魅力が生きるような気がするので、なんとも複雑な気持ちになりました(とはいえ、よくできているかもしれない)。

というわけで、前回はループ現象が起きて(色々読んだあげく好みの作品に戻ること)もういいかな…となったのですが、ご縁があってこうしてまた踏み込んで変わらぬ自分の嗜好を再確認して、でももういいかな…とは思はなかったので、深くても浅くても、今後も読み続けていけたらなと思います。

That’s all.


踏み込んでます17-2-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-29 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

※BLについて綴っております。ネタバレも含みますので、ご注意をば。

※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。





話しをマイベストに戻しまして、、、

ハヤカワノジコさんの『くらやみにストロボ』と、キヅナツキさんの『リンクス』(の佐渡氏と中条氏ペアのお話し)文善やよひさんの『鴆』も好きでした。

こうしてみると、初めての踏み込みから変わらぬ高校生&幼なじみもの好き。この嗜好は多分変わらないでしょう。そしてファンタジーの良さも知ることができました。

逆に新たに分かってきたのが苦手系。
不特定多数ものは読めるようになったのですけど、どうしても無理だったのが子持ちと○角関係もの(感想未記入)。

子持ちとなっても恋をするだろうし色々あるのだと思いますけど“かつて女性と子を持つ程の経験をしている”人の新たな恋に興味が持てず(知り合いの子を…なら読めるけど)。○角関係は、誰の恋も実らない、実っても誰かが除け者になってしまう感がどうにも(そう単純じゃないかもだけど)。今回はトライしてみましたが、基本幸せ気分を求めて読んでいるので、嫌な思いをしてまで読む必要もないだろうなというのが結論。

でも嫌悪していたものが読めるようになったので、これらもいつかそうなるかもしれません。そしてきっと名作もあるのだと思います。つまりは、やっぱり私の心が狭小なのでしょうね。

あとは、苦手なキャラパターンとかシーンも幾つかありました。自分の好き嫌いが何か自覚させられたようにも思います。とはいえ、好みは人それぞれだと思うし時期的なもの経験からくるものもあると思うので、今の私はこうだということなのでした。


さて、マイベストをあと2つほど。

1つは青井秋さんの『爪先に光路図』

BLというジャンルに踏み込まなければ出会うことがなかったであろうこの作品。お話し自体はとても静かなのですが、その幻想的な雰囲気と優しい恋の表現にため息をつきながら何度も読み返しました。

特にその中の〈さかなの体温〉は、長いお話しではないし大きな出来事も起きないけれど“好き”という気持ちの表し方にドキッとさせられて、これまで読んだ全ての漫画作品の中でもベストといえるほどこのお話しが好きになりました。本当に出会えて良かった。


で、ラスト1つですが…小説です。とある方に教えて頂き出会いました。

安西リカさんの『好きで、好きで』

もう、、、設定が私の好み過ぎて軽くめまいがしました。高校の終わりで一方の片思いが実り、恋人同士となった社会人2人のあれやこれや(あぁ説明下手よ…)。

互いに全てが初めてで、どちらも一途で切ないすれ違いもあって、一端離れてみないか?もあるという…。文章も巧みで表現力豊かで(ラブシーンは勿論のこと全てにおいて)何度か涙もこぼれましたね。本当に、こんな我得なお話しがあっていいのかしらと夢見心地にもなりました(私大丈夫か…多分大丈夫だ)。

今回の踏み込みでは感想を書けなかったので、機会があったら綴りたいですし、こちらも本当に出会えて感謝なのでした。




というわけで、二度の踏み込みを経た上での現在のマイベスト作品たちでした。


踏み込んでます17-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-29 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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最後は、2度の踏み込みでマイベストとなった作品を挙げておこうと思います。


まずは、ゆき林檎さんの『玉響』

こちらはやっぱり試練の末に愛を選んだことと、2人の晩年が描かれていたことが大きかったですね。

私は両想いというのは本当に尊い奇跡にも近い事象だと思うので、例えどんなに困難であっても(不倫だけはどうしても受け入れられないのだけど)それこそ駆け落ちしてでも寄り添ってほしいのです。なので、悲しむ人も確かにいたけれど…決断した2人には幸せになってほしいと思ったのでした。

そして10年後20年後をも越えて人生の最後まで描かれていたのも印象的で、時として悲し過ぎる感情を呼び起こしかねないのですけど、それを払拭させるものがこの作品にはあったと思います。全てのカップルがこうであったならと思わせる金言が残されていたのも胸を打たれました。2人寄り添って生きた時間がいかに幸せだったか分かる気がして、幸せな気持ちになりましたね。


お次は夏目イサクさんの『タイトロープ』

最初の踏み込みの時にも好きだと書き、何を読んでもこの作品に戻る現象が起きたのですけれども、当時程ではないにしても、やはり色々読んだ後はこの作品を思い出す…という感じでした。

龍之介氏の子供の頃からの直樹氏へのブレない想いが安心させてくれるといいますか、そんな彼に深い愛情へと直樹の気持ちが変化(自覚?)するのも好きで、男らしい(雄々しいのではなく)2人が恋人となることが、逆に愛という存在の性別の垣根を取っ払ったように思いましたね。

で、、、ドラマCDなる存在を見つけまして、生まれて初めて聞いてみることに!

なんでしょう…息吹を感じたというか、二次元のキャラがこちらの次元に歩んできたような不思議。

主役の声を充てている方はどちらも知らなかったのですけど(と思っていたらアニメ『迷い家』に出ている方だった)、もうキャラクターそのもので、龍之介氏は男らしくもコミカルで、そしてなんといっても直樹氏の声がカッコ美しいのですよ。しばし聞き惚れてしまいました(関西弁は…いいのよあれで、うん←)。

内容は漫画とほとんど同じで、終盤まで幼なじみの友情物語といった感じ。が、忘れておりませんこれはBL…。ラブシーンもきちんと入っていて、そして声優さん方はきっちりと演じられておりましたよ。…なんのためらいも感じさせないようなその潔さに強い職業意識を見せられたような気がしましたね。

その流れでこのお二人のプロフィールなるものを見てみたのですが、普通に人気アニメにも出ていらして、そこから更に気になって私が覚えている声優さんを検索してみたら[BLCD]という覧に幾つか作品名が。

そうか…時代はもうそうなっているのか。。。

どう捉えてよいものか少々複雑な気持ちもしたのですけど、どの方も結構な数に出てらっしゃるので一つの産業として確立しているのでしょうね(事務所云々大人な事情もあるかもだけど)。なんとも贅沢な時代になったものです。

つづく


踏み込んでます16-3-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-28 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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続き物で手にしてしまった作品、お次はヨネダコウさんの『囀る鳥は羽ばたかない』です。


これまで色んな感想を書いてきた私ですが、ここまで悩まされた作品ってそうそう無かったと思います。というか作品全体というよりは、主人公である矢代という存在に関して。

最初に書いてしまうと、彼は幼い頃に性的虐待を受けているのですけれども(辛すぎるシーンだったさ…)、子供の頃に受けた肉体的、精神的苦痛は通常大人になってからも化膿し続けて大なり小なり今の自分になんらかの影響を与えると思うのですよね…しかもそれはマイナスの影響で、そこから生まれた怒りや憎しみの感情は自分自身であったり他の誰かに向かったりする。

でも矢代という人は一見己に牙を向けているようで、実は巡り巡って全てを受け入れて吸収しているようなのですよ。それを表すような「俺の人生は誰かのせいであってはならない」という言葉が、あまりにも新鮮?衝撃?斬新な考え方で目からウロコがボロボロ落ちました。誰のせいにもしない、つまり自分の人生は自分のものという完全なる肯定というのでしょうか(上手くいえないよ涙)…とはいえ、そう思い込もうとしているだけで揺るぎない気持ちなのかどうかは分からないのですけれども。。。とにもかくにも半世紀近く生きてきた私が初めて出会った存在という感じがしました。

で、この矢代という人は不特多数と経験云々の話しどころではなくてですね、淫乱も淫乱、36年生きてきた中で何人を相手にしてどんなプレイをして…と、とんでもない人なのですが─

…魂が汚れていないという奇跡。

苦手設定に変わりは無いので色んな人とのシーンにはムッカムカしたのですが、それ以上に彼の性格やストーリーが魅力的だったので、読むきっかけを与えてくれたヨネダコウさんの別作品『それでも、やさしい恋をする』には感謝だなと改めて思いました。

ストーリーの方は、そんな過酷な生い立ちをもつ矢代氏の過去と現在を彼が身を置く裏社会と共に描いている感じ。そこに、矢代氏の汚れなき魂を見ることができる百目鬼氏(どうめき氏)との出会いなどもあるのですけれども、もう、とにかく矢代という人間を救ってくれ~と、そればかり考えていました。部下となった百目鬼氏にも色々ありますし(登場人物それぞれにも色々あるのだけれども)、矢代を幸せにしていただきたいと(なにをもって、そうといえるか分からないのだけれども)。

とはいえ、ちょっと気になる点もいくつかありまして、まず百目鬼氏についてなのですが、SHOOWAさんのイベリコ~の感想でも書きましたけど、がたいのいい誠実ワンコタイプが私は苦手でして…彼もまたそのタイプ。しかも矢代氏が彼に対して「いい目だな~」とおっしゃってるんですが、その目をまったくいいと思えない問題発生。

他にも、25歳にしては態度がなんとなく幼なかったり(靴脱げるし)、寡黙なようで結構おしゃべりだったり(自分の歩んできた道や矢代氏の惚れた相手の町医者に矢代氏の想いを勝手に言いそうになるとか…)うーんという感じでした。そこいら辺りがもっと好みであれば完璧だったのですけれども。。でもまあ、矢代氏を救うのは彼しかいないと思いますし、これから成長しそうでもあるし、何より互いに一目惚れだろうとも思うので、頼んだよ!という感じ。

それをふまえた上でもう一つ気になったのが、その矢代氏がかつて惚れていた町医者について(同い年で三十路)。

高校時代のその恋話が1巻にて描かれていたのですが、私、お相手が町医者の方だと気づかなくて、この初恋の方と幸せになってほしかったな~と思っていたんですね。でも1巻の最初で三十路の町医者の方に恋人ができるお話しが載っていたので無理だと気づくのですけれども(囀る~はここから派生していった感じ)、なんというか…あそこまで過酷な人生を歩んできた矢代氏の惚れた相手の恋が実る状態を見せるって(単純な作品でないにしても)酷すぎやしないかい?と思ってしまいました。

まあ、それを言ったら元も子もないですし、今は百目鬼氏がいますからね…なんともかんともなのですけれども(いっそ矢代氏は誰にも恋してこなかったじゃ駄目だったのかな…駄目か)。矢代氏に情が湧いた上での勝手な不満なのでした。

で、この作品も正直いつ終わるか分かりません。悲しいことに私はタイムマシンを持ってませんので(作者様は持ってらっしゃる)、ヌググ…と待とうと思います。


ところで、

矢代氏が吸っていると思われるタバタバ[GARAM](写真ので多分いいはず)を吸ってみました。

鼻に残る上品さとか思ったよりとっつきやすかったんですが、なんだろう…それ以外の癖が色々強くてですね、、、

まずはぜます。パチパチいいます。そして唇が甘くなるんですね、なんとなくではなくて本当に甘~くなる(何か塗ってあるのかな?)。でも一番気になったのは所持する際の匂い。バナナの香りが鞄に広がるというか…病院の待合室的な香りもするような…。鼻にあてるとチョコっぽいのですけどね。

結論、矢代氏は常に不思議な甘い匂いを漂わせていると思われます。あと、対立相手の平田氏がPeaceというのがなにげにショックでした(※煙染みる春参照のほど)。




踏み込んでます16-2-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-28 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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全5巻と長かったので、とりあえず感想を延ばした日高ショーコさんの作品『花は咲くか』。

ある意味不思議な作品といいますか…というのは、何度読んでもしっかり内容が頭に入ってこないのですよね。読んでも読んでも(あれ?え~っと…)という感じ(私の頭のスペックは別として)。

といっても、とてもよく書かれている作品だと思います。なので、この現象はなんなのだろう?と考えてみたのですが、多分絵柄も含め全体の雰囲気が優しいからではないかと思いました。内容自体も色々起こったりもしているのですが、嫌な棘が無い感じ。

で、全部読み終えて知ったのですけど5巻書き終えるのに9年くらいかかっているようでして…ちょっと理解し難い事象なのですけれども(なんでこうなったんだろう)そのゆったりとした流れが反映されているのかもしれません。


で、正直に書くと読み始めの段階では苦手かも…と思いました。

主人公とおぼしき男性はどうやら三十路のサラリーマン(大人は色々背負っていて面倒くさい)。実際早い段階で、女性と付き合って上手くいかないことを繰り返してきたと記されており、本人にくたびれ感もありで、それだけでうーんと思ってしまいました。しかもお相手となる人物が18歳下の大学生ということで更に拒否感が(純粋な子が酸いも甘いも知った大人に展開も苦手)。なので一度めの踏み込みの時はサラッと読み流してしまったのですけれども、二度めの踏み込みで改めて読み直してみると、人物含め作品に散りばめられた良さがポコポコ浮き上がってきたんですよね。多少なりとも己が進化して良かったです。


内容はというと、この2人の成長(もしくは復活)を互いの恋心を交えながら描いている…という感じ。その舞台となるのが蓉一氏が両親から受け継いだ古民家。都会の喧噪の中で、そこだけ緑多き別世界を作るほど広く、歴史的にみても価値がある様子。

そこで従兄弟達や親戚の叔父さん、他界した両親の友人に守られながら蓉一氏は暮らしています。ところがこの子、どうも性格に問題があるようでして…こう、色々拒否しているような感じ。それを桜井氏が徐々に融解しつつ、同時に桜井氏自身も広告業界で名を馳せたかつての輝きを取り戻していきます。

とはいえ、出会った当初は鏡のように互いの印象をなぞりあい反発しあっていた2人。同じ時間を過ごす中で大切な人だと自覚してゆくのですが、そうした中で語られるモノローグは心の内がハッキリと描かれていて、良いな…と思いました。

ただ、、、そんな風にモノローグは素晴らしいし、気持ちの変化もちゃんと描かれているはずなのですけど、蓉一氏がふいに絆されたような感じがして…よくあんなにツンツンしていたのにここまで懐いたものだな~?とも思いました。まあ、人を好きになるのはそんなものかも知れませんね。一目で惚れることだってあるのですから。。

ところで以前の踏み込みにて、なんで直接触らないんだい?と絡みシーンの行為についてシレッと書いていましたけれども、現実に沿えばそりゃそうだろうなと思いました。あと、この作者様はドラマを見ているような趣がラブシーンにあって、最後に2人が結ばれるのも感慨深かったですし、前の巻での抱きしめあう一コマも美しく官能的でした。

そんな感じで互いに好きであることを確認して、大きな家にありがちな相続やら維持やら親戚間のあれやこれやも上手くまとまって、ラストに向けては蓉一氏の両親の死についてのクローズアップもあるのですけど、それらを読むと、なかなか人とうちとけない蓉一氏の人格形成の原因は劇的な何かがあったというよりは、全ては病がもたらした悲しいすれ違いによって…という気がしました。彼は置いていかれたのではなく、愛されていたのだとも思います。。

そして物語の中では、母親が残した種がタイトルと絡んでいましたね。最初の辺りで桜井氏と従兄弟によって造られた花壇で植えられ続けた種は、結局は咲かないのですけれども(これは…賛否分かれるんでしょうかね?分かれないか)私はやっぱり綺麗過ぎる終わり方にしても、咲いてほしかったな…と思いました。きっといつかは咲くのでしょうけれども。。。

というわけで(またまとまらなんだ)、柔らかな印象の絵と共に、どこかに本当にあるような、そんな雰囲気も感じた作品でした。9年かかっても読むのはあっという間。でもそれだけ良い作品なのだと思います。




さて、同じ日高ショーコさんの作品で、続き物であるにも関わらず手にしてしまった『憂鬱な朝』。こちらについても少し(?)…記しておこうと思います。

以前に書いた、ゆき林檎さんの『玉響』で素敵な世界観だな~と思った時代もの。この作品も大正時代を舞台としていて、特権階級?貴族社会?(無知ですいません)で生きる主人公を描き、とても魅力溢れる内容となっていました。

日高さんの描かれる(タキエさんという方との供作らしいのですけれども)柔らかくもどこか燐とした人物描写とよく合っているとも思いました。

主人公となるのは家督を継いだ若き子爵とそこで家令として仕える桂木氏(こちらも歳の差あり)。どちらも大変魅力的な人物なのですが、この桂木氏が私の苦手な不特定多数経験有りでして…(お家のためとはいえ)。しかもお話しの始めの頃はツンデレのデレ皆無なツンツンオンリー。そんな彼に幼い頃から厳しく躾られた暁人様にはかなり同情しました。正直、少年期でもっと反抗するところとか見たかったのですけれども、逆に恋心を抱いてしまうのですよね…そして彼が時折見てしまう桂木の情事(キスであったり、着乱れ姿)は、何か昼メロを見ているようで…とてもいけないものを見ているような気持ちになりました。

そうした中で非常に好感がもてたのは暁人様の成長著しさ。あんなにポヤッとした可愛らしい子が巻を増すごとに逞しくなられて、しかも根は誠実ながら大人の駆け引き、ブラックな部分もちゃんと持ち合わせているところが素敵でした。そして、あれほどツンとしていた桂木氏が彼を認め、更に想いが恋へと発展するところは、もうほんと読んでいてなんて素敵な流れだと思いました。

この日高ショーコさんが紡いでいく世界というのは(私の印象なのですが)一つの出来事があったとして、それに向けて脇を固めていくといいますか、丁寧に組み上げていく感じがするんですね。なのでとてもよくできた連ドラを見ているような、そんな感覚に陥りました。

で、正直こちらもいつ終わるか分からないのですけれども…トホイメ、頑張って待って(待つことしかできないけど)、いつか詳しく感想を書きたいと思います。


踏み込んでます16-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-28 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。






さて、2度めの踏み込みにおける感想は大体書けたかな…と思います。

が、ここにきてやってはいけないことをしてしまいました。

それは…続き物に手を出すこと。

といっても、これまでにも何作品かあったのですが、それらはまだBLというジャンルでの刊行の遅さを知らなかったり、1巻完結だと思っていたら続きます…というものだったり。でも今回はそういった感じではなく入り込みました。

ことの始まりはヨネダコウさんの『それでも、やさしい恋をする』でした。

初読の時は、同じヨネダコウさんの別の作品よりはこちらの方が好きかも~という程度で(主人公の1人が私の一番苦手な不特定多数経験ありだったもので)いまいち気持ちが乗り切らなかったんですね。でも改めて読んでみるとなかなかにいい作品だと思えるようになり、その後繰り返し読むうちに苦手設定に関しても別の考えが浮かぶように。

それは、、、結局のところ心が誰を求めているかが1番大事なのやもしれないなあ、ということ。

いい年して何言ってんだこの人?と思われても仕方ないのですが、私は心と同じように体も無視できないと思っていたのですよね(それでも~は好きになってからも色々続けていたのですよ)。なので経験豊富な方が誰かを一途に思い始めてもいまいち同調できなかったのですが、そしてその考えは今も基本としてあるのですけど、幅はできました。だって、世間に出て酸いも甘いも知ってる大人が少年のような恋をしているんですもの。。

で、その流れでこれまでなら絶対読まなかったであろう『囀る鳥は羽ばたかない』と、同じくやっぱり読まなかったであろう日高ショーコさんの『憂鬱な朝』という作品に興味が湧き(どちらも名作と言われてますが、苦手設定あり)手を出してしまった結果、どっぷり。

ということで、締めくくりのマイベストを書く前に少し(少し?)この2作品と、前回触れた日高ショーコさんの『花は咲くか』についても書いておこうと思います。


踏み込んでます15-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-27 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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表紙シリーズ、ラストはハヤカワノジコさんの『くらやみにストロボ』


どこか幾何学模様を思わせるような…そんな不思議な表紙をまとった中に、こんな素敵な物語が描かれているとは思いませんでした。

私の好きな、幼なじみ高校生の初々しいお話し。

主人公2人は、一方が大らかで、一方がネガティブな性格をしています。最初はネガティブな子の片思いなのかな?と思ったのですけど、なんのことはない実はずっと両片思いで、素直になれないせいで(主にネガティブ君が)平行線状態を保っている感じ。なので、ようやく動き出して心が通じ合った時は良かったね~とホッとしました。

とはいえ、そこからすぐにベタベタするわけではなく、照れたり、悩んだり、そして結構シリアスな面もあったり。でも安心して読めたのは(大らか君が女子に非常にモテるという設定こそあれ)特に当て馬が出てくるわけでもなく、辛い出来事も起きず、わちゃこらしている2人を友人達と共にひたすら見守るという感じだったから。ある意味とてもシンプルなのですけど、余計なことを考えずに揺れる恋心のみを追うことができました。

ちなみに、同じ感じで夏目イサクさんの『タイトロープ』や市川けいさんの『スローデイズ』も、主役2人に誰か他の相手がいるわけでもなく(ついていたことも多分なく)、ただただ互いの世界を中心に進んでいてツボだったので、改めて私はこういう設定が好きなのだな…と思いました。

で、くらやみ~では、そんな物語の中にカメラや写真というアイテムがいい感じに絡んできます。告白の際に出てきたネガや、幼なじみのみを写す専用カメラなどいい味を出してましたね。そして絵やモノローグの中でモチーフとしてもいい具合に登場していました。

ただ、そのモノローグが主にネガティブ君視点だったのですけど、この子、一見冷静そうに見えるんですけど心の中でいつも葛藤しているんですよね。それを悟らせまいと“声、震えてないよな…”と度々気にするシーンは切なかったです。

そしてこの子が色々こじらせてしまったのには理由があって、以前上級生(同性が好きな人)がいじめられているところを見てしまったから。なので幼なじみを同じ目に合わせたくない…と、素直になれなかったのですけど、お相手の一途でまっすぐなところにまるっと包まれて、徐々に変わっていったので良かったです。

とはいえ、先に書いたように両想いであったことを確認しあってからも、色々また悶々とするのですけれども(人前で手を繋げないとか)、バランスのとれたこの2人なら大丈夫だろうと思いました。

ストーリー以外では、上手いけれどもラフな感じの絵というか、全体的にきっちり書かれているわけではなく、線とかフリーハンドな部分もあって、コマ割も自由な感じでした。でもそれが人物とよくあっていて、そして主人公2人がどちらも格好いいのですよ。特にネガティブ君は、もろ私の好みでした(←)。他に吐く息の雰囲気とか視線で語るところ等も印象的でしたね。素敵なキャラの我得なお話しで、読んでいて幸せな気持ちになりましたし、ずっと読んでいたいな~とも思いました。

とまあこんな感じなのですが、他に2人を囲む友人メインの話しも載っていて、でもこちらは少々暗め。意味ありげなところで終わっていたので、続きが読めるものなら読みたいです。



というわけで、幾つか書いてきた表紙シリーズ。

タイトル同様、あらすじを丁寧に追えない時は表紙のインパクトで手に取ったりするのですが、そうしたものの中には表紙と中身の印象がだいぶ違っているものもあり(カラー絵は美しいけどペン画は、ん?というような)一概に連動しているとはいえない気もしました。なので、こうして表紙も中身も良い作品との出会いはありがたかったです。

それにしても、当たり前なのかもしれませんけれども、漫画家さんとはカラー絵も本当に上手に描かれますね。。


踏み込んでます14-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-27 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

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次は、おげれつたなかさんの『エスケープジャーニー』


蛍光オレンジをバックに自転車に乗った青年2人の表紙。

シンプルなのですけど、一目見ただけで上手い絵だな~と思いました。というか絵のアイテムに自転車をもってくるところが凄いですよ。私もかつて写生か何かでひたすら書いた思い出がありますが、大変だった記憶しかありません。

とはいえ、これはおそらくPCか何かデジタル技術が使われているように思います。もしかしたら中の絵もそうかもしれません。というのは、線が僅かに不思議な波を打っているといいますか(滲みとも違う)、こう、アナログとデジタルの間に生じる差のようなものが出ている気がして…(もっともらしく書いていて違う可能性も大いにあるのだけれど)、でもどんな技術をもってしても自転車と人物を合わせて書くって大変だと思うのですよね。この作者の方はそれをやってのけてますし、なにより、お話しや人物や風景等の合わせ方の基本的なものが(あくまでも素人目)全て上手いのですよ。360°うまい。凄い方だな~と思いました。

そして全体的にお洒落です。主人公2人の高校時代の制服姿(靴の履き方、チェックズボンの裾巻き上げとか)は、特にツボりました。そして、若い2人の恋に対する複雑な感情も丁寧に描かれていて色々考えさせられました。

で、触れておかねばならないと思うのですけれども、ペンネームのインパクトがなかなかですよね…ある意味潔いといいますか、そして名は体を表すといいますか、その手のシーンの突き抜け具合も半端なかったという…。そういった面もふまえて、この方は全てにおいて私の中の平均ラインを越えてくる気がしました。

でもいやらしいだけで終わっていないのも確か。雰囲気は違うのですけど、ふと志水ゆきさんの『是』を思い出したりもして(※踏み込んでみた5参照のほど)、絡みのシーンがハードで感想を書くのがためらわれつつも、ストーリーが良くて書かずにはいられない現象が今回も発動しました。


で、本題のストーリーについてですね。

友達同士だと上手くいくけれども恋人になった途端上手くいかない同い年の2人。高校時代の激しい言い争いが原因で別れ大学で再会します。そこからまた新たに友達から始まって、それでは物足りずに恋人に戻った途端また…という堂々巡りな感じなのですが、その過程がちゃんと描かれておりまして、その時その時の心情や戸惑いが家庭問題や同性同士の難しさと上手くあいまって、読んでいるこちらの心情を揺さぶり続けてくる感じがしました。

なんというかこの2人は性格が真逆で、一方(直人)はパリピ的なノリで交遊関係も広め、一方(太一)はモテるけれどもコミュ障。そんなコミュ障の自分を高校時代に相手にしてくれたり離婚問題の時も気晴らしさせてくれて、太一は直人に救われたのでしょうね…それからずっと一途に想い続けています。でもそれが焼き餅に繋がって暴力的になってしまったり…しかもその表現も痛々しくて、この辺りはまともに見ていられませんでした。

でも実際チャラいんですよね…直人が。ノリが軽すぎて逆にモテないのでゲスにならなかったのは良かったのですけれども、いかんせん女子に対するスキンシップが多すぎる。なので、単純に考えると直人がチャラさをもう少しおさえれば、太一が体で繋がることばかり考えなければ済む話しじゃないのか?と、元も子もないことを思ってしまうわけですが、それが家庭賑やか安定育ちで培われた直人のパリピ体質であり、真逆の家庭事情からくる太一の歪んだ束縛感なのでしょう。そういうところもきちんと裏付けされています。

でもほんと、親しき中にも…で、暴言は気をつけた方がいいですね。私含めこれで大切な存在を失ったり壊した人多いと思うので。失ってからでは遅いんだよ!(←自分に言ってます)


で、そういった中で常に浮かんでいる問題が‘2人の関係て実のところなんなの?’という直人の思い。友達より先に進んだけれど恋人と公言することもできず、ましてや結婚もできず。太一を好きになる女の子(ふみちゃん←とてもいい子)が出てくることで、その問題が大きくなって結局自分たちは戻る道しかない…と思ってしまうのですが、この辺りの直人のモノローグは読む度に切なくて泣けました。特に“家族になりたかったんだ──”は、胸が締め付けられました。好きになっても容易に認められない同性同士の恋愛ってなんだろう、、、とここでも考えさせられましたね。

その後色んな想いがすれ違ってしまって、また2人は友達に。が、ふみちゃんのおかげで太一の一途さが直人に伝わり、ここから感動のラスト。

高校時代に自転車で海までエスケープしたように、今度は雪の中、後ろに太一を乗せて漕ぎ出す直人。そこでこれまで抱えてきた想いを吐露します。この時の見開きで描かれる背中や、倒れてしまった自転車の向こうに見える2人の姿とか良いシーンの連続で、この作品を素晴らしいものにしているのは、この辺りの流れに大いにあるのではないかと思いました。

からの一切の手抜きのない絡みシーンもまた凄いのですが、気になったのは毎度眠っている直人の薬指を太一がさすっていること。ラストで初めてその理由が分かります。…指輪を贈りたかったのですね。。そんなブレない太一の一途さが私はやっぱり好きでした。

その後ふみちゃんにカミングアウトして、薄々気づいていた彼女はそれをちゃんと受け入れます。そして彼女の助言通りしっかりと互いの気持ちを伝え合う2人。彼らなりに関係に名前がついたようで、それが〈愛〉だというのも素敵でした。


と、感想を考えていたら(例のパターン再び)なんだか2巻が発売されまして、正直「(え?)」となりました。

この物語は1巻でほぼ完璧な終わり方をしているんですよね(私の思い込みだろうか?…回収されずに気になったこともなかったような)。感動して納得して終わったのに続くの?2巻が出てもこれを越えるものは書けないんじゃないの?と余計なお世話的に不安になり、描かれるとしたらなんだろう?と考えてみると、直人のチャラさが気になると言えば気になったので(太一も言及していなかったので)、まさか当て馬が出てきて、押されると弱そうな直人を巡って三つ巴の…とゾワゾワしていたら、まさにそんな感じの2巻でした。

この当て馬といえる新キャラ君がですね、幸せに過ごす2人の間に入ってきて(しかもキス写真で脅す)挙げ句直人に触ったりして、はっきり言ってとっっても嫌なキャラだったのですが、彼には彼なりに辛い過去があり、読んでいるうちになんとかこの子も幸せにしてあげてほしいな~できれば彼を傷つけた子によって~と思っている自分がいました。

そして同性同士であることの問題が加速し、太一の家の話しもやんごとなき状態となっていました(突然異父妹と会わされてもね…)。結果、なんと太一が直人と距離を置こうとします。一端離れてみないか?展開が好きな私ですが、これは何かが違うと感じました。でも新キャラ君との(脅されて絵のモデルをしている)秘密がバレた時、相手の方を庇おうとした直人には確かに腹が立つというか。。

ところで2巻で分かったのは、太一は直人を追って同じ大学に来たのですね。なんとなくそうかもとは思っていたのですけれども。ということはですよ?もし、もしも太一がそうした行動に出なければ2人は復縁していなかったのでしょうか。というのは、1巻の最初の辺りで直人が高校時代の2人のことを棚に上げてしまっているようで気にはなったのですよ。読み進めるうちに、だいぶ太一と同じ愛情レベルになってるようには感じましたけれど、なんともかんとも。

まあ、1巻で拾われていなかった部分を(こうしてみると回収すべきことあったよね)描いているようなので、危惧したよりは直人フラフラ三つ巴~な印象をもたずに済んだのですけれども。

そしてあろうことか完結しておりませんでした。3巻に続くようです。

これは…2巻の印象を良くするも悪くするも3巻次第でしょうかね。私としては2人には必ず幸せになってほしいので、特に家庭に恵まれなかった太一にはこれ以上苦しんでほしくないというのもあり、続きの内容によっては1巻完全完結にしようと思っております勝手に。

とにもかくにも、どういう展開になるにせよ、1巻はなかなかに名作だと思います。


踏み込んでます13-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-26 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

※BLについて綴っております。ネタバレも含みますので、ご注意をば。

※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。




お次はキヅナツキさんの『リンクス』


BLを読んでみようと思い立ち、書店に足を運んで見つけた作品です。なので出会いは早かったのですけど、実際手に取ったのは最近のことでした。なぜそうなったのかというと、表紙に描かれている悲しそうな人物の姿に抵抗を感じてしまったから…

その頃はまだ心身共に疲れていたので暗いイメージのものと対峙する力がありませんでした。それが少し癒えた今、ようやく手に取れた次第。



この作品では4組のペアが登場します。この8人は少しずつ繋がっていて日常が描かれつつ、それぞれのペアに焦点を当てたお話しもあるという盛りだくさんな内容。

そして他にもう1人重要な人物が存在しています。8人のうち3人はこの人物と深い関わりがあって、、、最初に言ってしまうと…私はこの3人プラス1人のお話しが好きでした。


全体としてはカッコ美しい絵とストーリーの印象。胸に迫るシーンもありました。ただ、節目節目に出てくる詩的なモノローグは、そこだけ読むと素敵なのですけれども、所々に含まれたギャグのせいでバランスがとれていないように感じる時も。モノローグの部分が急にカッコつけて見えてしまったのですよね。でも表紙から感じ取ったように切ないお話しが載っていたので、ギャグの部分にホッとしたのも確か。

その切ないお話しというのが、私が注目した3人プラス1人のお話し。

3人のうち、佐渡氏と中条氏は一緒に暮らしていて夫婦のような関係。でも互いに好きだと伝えあったことはなく、深い意味があって寄り添っているのに煮え切らない様子。その意味というのが佐渡氏の兄の存在にあって、プラス1人の重要人物というのがこの人。

女子の扱いが酷かったり色々問題ありの兄は、一方で高校生でありながら育児放棄状態の父子家庭を影で支えています。反抗しつつも佐渡氏はこの兄のことが好きで…でも、、、事故によってこの世を去ってしまいました。

その時、放心した彼を支えたのが中条氏の言葉。でも実は彼は兄をそうしてしまった一番の要因で、彼を避けようとした結果もたらされた結末なのでした。

悲しみと、生きる力を同時に与えてきた中条忍という存在。彼の身内に拾われて同じ高校で過ごし、意識しあいながらも会話はなく、合わせるのは視線だけ。でもある日その距離が縮まります。

中条氏が受付をする図書室にやってきた佐渡氏。均衡を崩したことに腹を立てた中条氏が詰め寄るのですけど、カウンターの内側に背負い投げで入れるところや、覆い被さって迫る目つきの一連の流れが私はとても好きでした(若さ故の直接的な行動っぽいところが)。特にキレた冷酷な目つきはこちらまでゾクリとするほど。が、それにめげることなく逆に迫り返す佐渡氏。負い目につけ込むような…からの背徳感漂うキスも、なんともいえないシーンでした。

で、この佐渡氏の兄に関するお話しも描かれてまして…

読み進めるうちにピアノの才があり、カリスマ性も持ち合わせている魅力的な人物であることが分かってきます。そんな彼に惹かれていたのが3人のうちの残り1人、秋葉氏。兄もまた気があるようで、ピアノを前にしての交流はどこか切なく甘い雰囲気。そして起こる悲しい出来事。。その事故についての描かれ方が酷いな~という部分もあったのですが、そこから時は流れて10年後の8人のお話しへと繋がっていきます。


先に書いたとおり一緒に暮らしている佐渡氏と中条氏。でも相変わらず弱みに漬け込んで傍に置いていると佐渡氏は思っています。

ところが、実は全然そんなことは無くて、中条氏なりに相手をずっと想っていんたんですよね。そして10年前と変わらぬ勢いで「高一の夏からずっと好きだ」と言い切った姿に読んでいるこちらまで心を掴まれました。“愛されたい”と心の中で強く言っているのもまた胸に迫りました。

一方の秋葉氏なのですが、あれから特定の人は作らず過ごしていたようなのに、ここにきて気になる相手が登場(佐渡氏の部下)。

で、、、私の勝手な思いなのですけれども……

ずっと1人じゃだめなのでしょうかね?一生1人じゃだめなのでしょうか?

そう考えてしまったのは、兄とのエピソードがとても美しかったから。正直そこに誰も割り込んでほしくなかったですし、兄の印象が魅力的過ぎたせいか、新しいお相手に愛着も湧かず逆にイライラ(こういう登場の仕方でなければいい人なのに…)、しかも表紙に描かれているのも兄と秋葉氏の姿ですし。なんだか新しい恋のあり方に疑問が生じてしまいました。

もう少し述べると…(熱くシツコク語る)

愛する人と死に別れて、時を経て新しいお相手というのは鉄板の流れのように色んな本で見ますけれども、私は(元もこもないけど)1人であり続けるのも有りなのではないかな…と思ってしまうのです。あの世で再開できたとしたらガッカリされるんじゃないかなという心配も。…愛し合っていたけど君は僕じゃなくても良かったんだね、みたいな(←どうかしてる狭小な我よ)。。。

とまあ個人的な考えを大分述べてしまったのですが、その後の佐渡氏と中条氏はプロポーズを経てようやく落ち着きました(ケンカップルだけど)。それを見届けたかのように弟の夢の中にお兄さんが現れます。それがまた幻想的で切なくて、目覚めた彼の傍で朝食を作っている中条氏の幸せそうな姿と佐渡氏の「唯一無二で、傍にいたい」という呟きに胸が熱くなりました(薬指に指輪があったのも良かった)。


と、私の好きだった3人プラス1人のお話しはこんな感じなのですが、最初に書いたように残り5人についてのストーリーもありまして、1人は秋葉氏の気になる相手、残りは秋葉氏の経営するカフェの店員とそのお相手さん、そして中条氏のお隣さん件用心棒(中条氏はその筋のご子息)とそのお相手のお話し、だったりします。

が、皆でワイワイというのは楽しかったのですけど、私が読み返すのは結局3人プラス1人のくだりばかりでした。濃い内容とライトなものと、そこのバランスも自分の中でとれず、濃い方にのみ集中してしまった感じ。

まあ、カフェの店員さんが私の苦手なヒゲ仕様で(佐渡氏もそうだけど雰囲気にあってる)、三十路で乙女思考(は、いいとしても)そこにヒゲは、なんかちょっと…という感じでしたね。明るい性格はいいのですけれども。

そんなこんなで全て読み終わった後、兄が物語の始まりと最後に登場していることに気づきました。幻想のような形で。

繋がっていたんですね…本の最後の最後まで描かれている形式はあまり見たことがなかったので、不思議な余韻が残りました。



またゴチャゴチャと書いてしまいましたが、喜びも悲しみも含んだ兄の演奏がずっと流れていたような、、、そんな作品でした。