アマオケ活動記ブログ版

所属しているアマオケ(群馬シティフィル)での活動を中心に演奏会案内や練習状況など零します。

マーラーを聴く

2012年02月21日 | Weblog
マーラーと言えば10年以上も前に「巨人」をやったくらいで、やはりなかなか縁はないのでさほど聴かないのだった。
あまり聴かないできたCDファイルを引っ張り出し、久々に聴いてみた。
「さすらう若者の歌」「リュッケルト歌曲集」「亡き子をしのぶ歌」だ。
歌はフィッシャー=ディースカウ、演奏はフィルハーモニア管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮はフルトヴェングラー(ウィルヘルム)、ケンペ(ルドルフ)。
ともかく歌が良い。あまり歌曲は聴かないのだけど、ディースカウの歌は良いと思う。感傷に過ぎずそれでいて抒情は豊かで細やか。
「亡き子をしのぶ歌」は二人の幼児を亡くしたマーラーが亡き子を偲んで作ったという風によく書かれるらしいが(確かにWikiの説明にもそう出ていた)、私が読んだCDのライナーノーツではそれは誤りで、この曲を書いた時にはまだ子供はいなかったそうだ。子を亡くす経験をしていたらとても書けなかっただろうという哀切に満ちた曲。
この曲を書いた後に二人の愛児を亡くしてしまう…というのはあまりにも過酷な運命の皮肉としか言えない。哀しい未来の為にこのような美しい曲を書いた偉大な作曲家。
才能ゆえにこの曲が悲劇を呼び込んだようにさえ見えるし、本人も妻も辛かっただろう。

「さすらう若者の歌」はどこか聴いた旋律があるな?と思ったら「巨人」にも一部使われてるらしい。マーラーはどれも大曲が多いし、歌が入るしなかなかアマチュアオケでやれないが、「巨人」はその中ではまだやれる長さ、編成…とはいえ、この時はうちのオケも弦楽器管楽器ともにかなりな団員の充実ぶりで、それでなければやれなかったろうな。難曲だし大曲だし大変だったな~~と思いだすw

マーラーといえば私にはなんといっても「ヴェニスに死す」なんだけど、トーマス・マン原作の主人公は職業が作家なのだがそれが交際のあったマーラーがモデルらしい。ファストネームもマーラーから取って容貌もモデルにしたみたいだ。ヴィスコンティ監督の映画ではそれがさらに作曲家になっていた。
映画に使われてる交響曲第5番の第4楽章アダージェットも美しいし、画面も美しいし主人公が恋に落ちる美少年(ビョルン・アンドレセン)は美しいし(見てるだけで幸せというプラトニックな恋である)、その母は美しいし(シルヴァーナ・マンガーノ)、眼福ないい映画なんだよね~。
調べたら美少年タジオにもトーマス・マンがヴェニスで出あった貴族の美少年が実在であったのだねえ。。。。
なんせヴィスコンティ映画なので衣装も豪華でシルヴァーナ・マンガーノの着用してるドレスの絹のレースの質感とかがもう本当に高価なのがよく分かるw
服はデザインは真似できても質感は素材で分かるからなあー、インテリアから衣装から妥協なしにイイもの使ってある映画だから眼福もしかるべきです。
アダージェットがホントに効果的に使われていたのだった。

WIKIより
≫トーマス・マンの小説『ヴェニスに死す』の主人公は、マーラーにインスピレーションを得て創作された人物といわれる。同書をヴィスコンティが映画化した際、原作での小説家という設定は作曲家に変更されてさらにマーラーを思わせるものになっただけではなく、マーラーの交響曲第5番の第4楽章が映画音楽として使われた。さらに同著者の『ファウスト博士』の主人公は作曲家に設定され、こちらもマーラーを想定して創作されているとされている。


横道ですが、トーマス・マンは「ヴェニスに死す」も良いけど「トニオ・クレーゲル」の方がさらに好きだったなー。